胎児は細胞増殖期、器官形成期などの形態的発育期と各臓器の機能的成熟期を経て、胎外生活に適応する能力を獲得する。子宮内胎児発育遅延はこれらの過程が、何らかの疾患や状態により障害される一種の症候群と位置づけられる。したがって、単に体重や身長が小さいだけでなく、種々の臓器の機能的未熟性も問題となり、正常胎児に比べ、新生児罹患率や死亡率が増加する。
染色体異常など胎児自身の問題による均衡型(symmetrical type, type I)と胎盤循環障害による不均衡型(asymmetrical type, type II)、およびその混合型に分類される。均衡型は頭部、躯幹ともに発育遅延がみとめられるが、不均衡型では頭部に比べ躯幹の発育が遅延する。これは胎盤からの酸素や栄養供給の低下に対し、胎児がバイタルオルガン(脳、心臓)を保護するために循環状態を調節し(再分配)対応する結果と考えられている。
具体的には超音波検査による胎児推定体重が、出生時体重基準曲線で10パーセントタイル未満(全測定値中の10%未満)の場合、本症と診断する。
分類と原因
発育パターンにより以下のように分類される。
均衡型(symmetrical type, type I):発育不全型 胎児自体の障害によるもので、発育遅延児の20〜30%を占める。妊娠初期から中期にかけて発症し(早期発症型)、頭部、躯幹ともに発育遅延が認められる。遺伝子あるいは染色体異常や胎内感染などがその原因としてあげられ(50%が先天異常)、予後は不良である。
不均衡型(asymmetrical type, type II):栄養失調型
胎児への栄養供給障害により、体重増加の障害が中心で皮下脂肪が少ない、いわゆる「痩せ」のもので、発育遅延児の70%を占める。妊娠中期以降に発症し(晩期発症型)、躯幹の発育遅延に対し、頭部の発育は保たれる。比較的予後が良い。