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血液疾患 |
概要 |
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- 妊娠中は相対的な水血症状態になり、貧血傾向になる。
- 鉄欠乏性貧血が最も多く、全妊婦の30〜50%に出現する。
- 大部分は無症状だが、立ちくらみ、動作時の動悸、息切れなどが出現する。
- 妊娠中の鉄必要量は20mg/日で、より効果的な鉄吸収を促す動物性蛋白質、ビタミン類(C、B1、B6)などとのバランスも考慮し摂取をアドバイスする。
- 鉄剤抵抗性や易感染性が出現する場合、その他の疾患の存在を疑い、専門医への受診をアドバイスする。
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リスクサイン |
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リスク1:立ちくらみ.動作時の動悸.息切れ.
リスク2:皮膚、爪の蒼白感.紫斑.皮下出血.鼻出血.歯肉出血.
リスク3:下血.白血球増加.易感染性. |
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リスクサインへの対応 |
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- 日常生活サポート
- 貧血の大部分は無症状であるが、立ちくらみ、動作時の動悸、息切れなどが出現する。こうした症状が出現した場合、後述する栄養摂取はもとより日常生活においても注意を要する。
- 行動範囲の制限や安静臥床の必要はないが、過度の運動は控え、全ての行動に心と身体と時間的ゆとりを持ち、立ちふるまうようにする。
- 実際の血液検査で貧血が指摘されなくても、立ちくらみ、動悸、息切れなどの症状は妊娠中出現しやすく、この場合も同様に対応する。
- 皮膚、爪の蒼白感や前述の症状が増悪する場合は専門医に相談する。
- 栄養サポート
- 妊娠中は、半数近くの妊婦が貧血状態になるが、その大部分は鉄欠乏性貧血で普段からの栄養管理が大切になる。
- 妊娠中の鉄必要量は20mg/日となっているが、食物より摂取した鉄分の吸収率は約10%程度といわれている。したがって、より効果的な鉄吸収を促す動物性蛋白質、ビタミン類(C、B1、B6)などとのバランスも考慮しなければならない。
- こうした努力にもかかわらず貧血が増悪する場合、巨赤芽球性貧血や再生不良性貧血などその他の疾患の存在を疑い、専門医に相談する。
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病態生理 |
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血液疾患は血球系(赤血球、白血球、血小板)の異常と血漿(凝固系)の異常に大別される。妊娠中、循環血液量は非妊娠時の1.3〜1.5倍に増加する。この増加は主に血漿量の増加に依存し、蛋白や赤血球はわずかな増加にとどまる。従って、妊娠中は相対的な水血症状態になり、貧血傾向になる。主な妊娠中の血液成分の変化には、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット低下、白血球(特に好中球)の増加がある。こうした生理的な変化のため偶発合併症と鑑別が困難なこともある。また妊娠により発症したり、悪化するものもある。 |
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赤血球系疾患 |
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- 鉄欠乏性貧血
妊娠中、母体の造血機能は亢進し、胎児の鉄需要が増加するため、容易に鉄欠乏がおこる。さらに前述の水血症により鉄欠乏性貧血が発生しやすくなる。全妊婦の30〜50%に出現する。
- 診断
ヘモグロビン11.0 g/dl以下
ヘマトクリット33%以下
小球性低色素性貧血(平均赤血球容積MCV 85%以下、MCHC 31%以下)
血清鉄60μg/dl
総鉄結合能上昇
- 治療
鉄分を多く含む食品摂取 鉄剤投与(フェロミア )
- 巨赤芽球性貧血
ビタミンB12、葉酸の欠乏により細胞分裂が障害されるため発症する大球性貧血である。胃全摘後のビタミンB12欠乏が代表的だが、てんかん合併妊娠で、抗てんかん薬による葉酸の欠乏(葉酸吸収障害)がある。妊婦は造血機能が亢進するため、大部分は葉酸欠乏により発症する。
- 診断
ヘモグロビン11.0 g/dl以下。
平均赤血球容積MCV 95%以上。
血清鉄の増加。
骨髄所見:巨赤芽球出現。
- 治療
ビタミンB12、葉酸(フォリアミン )投与。
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白血球系疾患 |
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- 再生不良性貧血
本態性(原因不明)の骨髄低形成と、薬物、放射線、感染症などによる続発性の骨髄造血幹細胞障害により発症する貧血(汎血球減少:赤血球、白血球、血小板低下)。初産婦に多く、妊娠により悪化する。
- 白血病
白血病は造血系細胞が骨髄のなかで、腫瘍化する疾患である。腫瘍は造血幹細胞レベルに発症し、正常血液細胞の産生が低下し、汎血球減少が生じる。末梢血の白血球数、血液像で診断する。妊娠は白血病を悪化させないが、妊娠中であっても積極的に抗癌剤治療を行なう。
鉄剤抵抗性、白血球増加、易感染性が診断の手がかりになる。
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凝固系異常 |
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- 特発性血小板減少性紫斑症
何らかの機序で血小板自己抗体が産生され、血小板が破壊される。慢性経過をとるものは若年女性に好発し、妊娠に合併しやすい。妊娠中は悪化しやすい。
- 症状
紫斑(点状ないし斑状出血)、皮下出血、鼻出血、歯肉出血。時に消化管出血。
- 診断
血小板数10万/mm3以下(赤血球、白血球は正常)。
骨髄所見:骨髄巨核球数は正常あるいは増加。
血小板自己抗体の増加:血小板結合性免疫グロブリンG(PAIgG)
- 治療
- 血小板数5万/mm3以上は経過観察。
- ステロイド投与(プレドニゾロン30〜60 mg/日)
プレドニゾロンは児への移行が少ない。
- γ−グロブリン大量療法(400 mg/kg/日、5日間連続投与)
分娩前2週間頃、血小板数5万/mm3以下であればプレドニゾロンを増量(100 mg/日まで)し、効果がなければγ−グロブリン大量療法を行なう。
- 新鮮血、血小板輸血
分娩前に血小板数の改善がない時に行なう。血小板輸血は抗血小板抗体産生を助長する可能性があり、できるだけ避ける。
- 分娩管理
血小板数5万/mm3以上に保ち分娩にのぞむ。原則的には経腟分娩とするが、胎児の血小板減少が予想される場合(第1子出生時の血小板減少、臍帯穿刺・頭皮採血による出生前診断)は頭蓋内出血を避けるため帝王切開とする。
- 血友病
血友病A(血液凝固第?因子の先天性欠乏ないしは低下)と血友病B(血液凝固第?因子の先天性欠乏ないしは低下)がある。凝固能異常の60〜70%が本疾患で伴性劣性遺伝の形式をとる(p 参照)。妊産婦が保因者の場合、保因者自身の血液凝固能の低下が問題となる。保因者から生まれた男児の半数は血友病に罹患するが、新生時期の発症は稀である。
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