診療内容

循環器内科のモットー

血液が循環するために必要な心臓や血管に関連する病気の予防、診断、治療を行う科です。心臓・血管の障害があれば、当然、他の重要な臓器に悪い影響が出てきます。逆に、他の臓器の障害から心臓・血管に問題が生じることもあります。このように、障害をうけた心臓・血管を治療することはもちろんのこと、それを引き起こした他の問題点や心臓・血管が悪くなったことによる他の臓器障害にも目を向けて総合的に診ることが極めて大切なのです。各部門の専門家と密に連携をとりつつ、“統合的に1人の患者さんを診る”。
これが、日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科のモットーです。

どんなときに受診したら良いのでしょうか?

心臓に関係する症状では?と思うような、“ドキドキする、胸が痛くなる、胸が苦しくなる、足がむくむ、等”の症状があるとき、また、血管に関係する症状では?と思うような、“歩くと足が痛くなってくる、足がつりやすい、めまいがする、腕がしびれる、等”の症状を感じる場合は、ぜひ気軽に受診してください。予防を考えて、自分は高血圧や糖尿病で治療をうけているけど、心臓や血管は大丈夫かな?と思う方もぜひご相談ください。
そして、何よりも、急に具合が悪くなった時、いつでも遠慮なく受診してください。普段かかりつけの患者さまはもちろんのこと、そうでない方でも迅速に対応させていただきます。とにかく、心臓や血管かな?で困ったら、当科を受診してください。心臓だと思っても、実は肺、神経、腎臓、消化器の病気であっても大丈夫です。必要に応じて、それぞれ適切な専門医が対応し、診断し、地域実地医家の先生方との連携を保ちながら適切に治療を行っていきます。これが日本医科大学武蔵小杉病院の最大の特徴ですから。

どのような治療ができるのですか?

急性冠症候群

心臓の血管が詰まってしまったときに起こす急性心筋梗塞や詰りかけているときに起こる不安定狭心症をまとめて、急性冠症候群といいます。急性冠症候群の症状は多彩で、肩の痛みや吐き気が最初の来ることもあります。上半身の症状で急に冷や汗が出て、がまんできない症状は必ずこの急性冠症候群を思い起こしてください。
昨年7月からスタッフが強化され、さらに4月から外科スタッフも強化され、緊急体制が整いました。外科・救命救急センターと協力して365日24時間、迅速に対応し、つまったり、狭くなったりしている心臓の血管を治療するための緊急冠動脈形成術や冠動脈バイパス術を行います。心臓カテーテル検査年間350件以上、冠動脈形成術(血管の狭いところをステント等により拡げる治療)は年間150件以上のペースで行っています。もちろん、数が医療の質のすべてを物語るものではありません。医療の質も当然ながら追求していますのでご安心ください。

狭心症

最近、階段を昇るとつらいなど、“体を動かした時に不快感がある”ときには狭心症を考えます。心臓の血管が狭くなっていれば、薬による治療だけでなく、必要に応じて、狭くなっている血管を拡げる冠動脈形成術という治療や、心臓血管外科と連携して別の血管をつないで心臓への血のめぐりを良くする冠動脈バイパス術を行います。

急性大動脈解離

大動脈という心臓からでている太い血管の壁が急に裂けてしまう病気です。緊急で手術が必要な場合と、安静にして内科的に経過をみる場合があります。いずれにしても、命にかかわる重篤な病気ですので、急性冠症候群同様、外科と協力して対応します。

心不全

厚生労働省のデータによれば、急性心筋梗塞で入院する患者さまより、圧倒的に多く、しかも増え続けています。命にかかわる大切な病気です。高血圧を含むさまざまな心臓病が原因でおこり、しかも、さまざまな臓器の障害に悪い影響を与えます。循環器内科で扱う病気の中でも、特に総合的に対応する必要があるものです。急激に息苦しくなる急性心不全と、少しずつ進行して、息切れやむくみを来たす慢性心不全があります。まず主な原因をはっきりさせることが重要です。薬を使って治療することが多いのですが、重症心不全に対する再同期療法という薬を使わない治療も行っています。もっと知りたい方は、循環器内科特設サイト(http://kosugi-cvm.jp/ )あるいは、NPO日本心不全ネットワーク(http://nhfn.jp/ )をご参照ください。

肺塞栓血栓症・肺高血圧

多くは深部静脈血栓症が原因で起こります。安静を強いられたりする状況、たとえば、飛行機による移動中や手術をうけて安静にしていた後など、で、水分をしっかり取られていない場合に、足の静脈に血の塊ができて、それが動いた時などに血液の流れに乗り肺の血管を詰めてしまって起こります。急性の場合は、命にかかわることがあり、緊急に治療を要する重篤な病気です。緊急時は、低侵襲血管内治療センター・救命救急センターと連携して迅速に対応します。また、膠原病や原因不明の肺高血圧患者さんに対しては、種々の新しい治療薬のみならず、血管内に持続的に薬を注入する方法があります。このような治療も積極的に行うことも可能です。

心膜炎・心筋炎

風邪をひいた時や後に、息苦しさや胸の痛みが続く場合は注意が必要です。劇症型心筋炎といって、1分1秒を争うほど重篤な場合があります。この場合は、経皮的心肺補助装置という血圧と肺を補助する機械を使って対応します。緊急時は、救命救急センターと連携して迅速に対応します。

不整脈

最も多いのが心房細動という不整脈です。最近、脈のみだれが気になる、ドキドキする、息苦しいなどの症状がある方はぜひ一度心電図検査をうけることをお勧めします。不整脈に関しても、必要に応じて精査し薬を使った治療からアブレーションや重症不整脈に対する植込み型除細動器といった治療を日本医科大学付属病院の循環器科と連携し治療を行います。

閉塞性動脈硬化症

足の血管が動脈硬化により細くなっているために、歩くと足が痛くなり、休むと楽になるという症状が典型的な症状ですが、重症になると足先の色が悪くなったり、安静でも痛みがあるという状態になってしまします。狭くなった足の血管をバルーンやステントで拡げる治療も積極的に行っています。

高血圧

厚生労働省のデータによれば、正常高値血圧者(主に収縮期血圧130mmHg以上)を約5000万人以上いると報告されています。そして、この高血圧は、増え続けている心不全を起こしたり、狭心症や心筋梗塞をおこす重要な病気です。従って、多少血圧高いといわれたけど何もしていない、ただ薬を飲んでいれば安心というわけではありません。高血圧の中には、体のホルモンの異常や腎臓の血管が細くなっていることで起こる2次性の高血圧もあります。若い時から、血圧が高い場合は特に注意が必要です。腎臓の血管が細くなっていれば、その血管をバルーンやステントで拡げる治療をすることができます。このような高血圧に対して、さらに重篤な心臓の病気の予防を考慮し、当科では腎臓内科と協力してしっかり治療を行っています。

睡眠時無呼吸症候群

なぜ睡眠時に無呼吸になる病気が循環器科で?と思われるかもしれませんが、この疾患が高血圧、不整脈、心不全、大動脈解離等の多くの循環器疾患を発症する引き金や悪化要因となっているからです。この疾患を適確に診断し、呼吸器内科の専門スタッフと連携して適切に治療をします。この治療が適応され効果がでれば、今までたくさんの薬を飲んでいた方も減らすことができるかもしれません。当科ではこのような患者さまに対して呼吸器内科と協力して積極的に治療を行っています。

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