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形成外科

毛巣洞(毛巣瘻)や化膿性汗腺炎(慢性膿皮症)の治療

臀部の皮下膿瘍をつくる疾患

 毛巣洞はお尻の割れ目(仙骨部)皮下に膿がたまる病気で、化膿性汗腺炎はおしりの両側や足の付け根、脇の皮下に膿がたまる病気です。同じお尻の皮下に膿がたまる病気でも全く別の病気です。

毛巣洞(毛巣瘻)とは

 毛巣洞は、臀部に生えている毛が皮膚の下に膿瘍(膿のたまり)を作る病気です。多くは臀部正中上部の割れ目に小さな穴と、その下に触れる膿のしこりとして認識されます。多くは体毛の濃い男性に認められ、タクシーやトラックの運転手など、長時間座位で過ごす人に多く発症します。感染を繰り返さなければ問題ないのですが、長期に感染を繰り返していると、有棘細胞癌という癌が発生する場合があり、注意が必要です。

化膿性汗腺炎(慢性膿皮症)の症状

 化膿性汗腺炎とは、アポクリン汗腺や毛包の機能障害により毛包に炎症が起こり、腋窩や鼠径部、臀部などのアポクリン汗腺の多い部位に炎症性の結節と膿瘍を繰り返す疾患です。臀部慢性膿皮症は化膿性汗腺炎の中で臀部に限局した疾患です。
 臀部(おしり)や腋窩(わき)、鼠径部、乳房下などによく発生します。急に赤く腫れ上がる“おでき”などとは違い、ゆっくりと慢性に細菌感染を繰り返し、時に膿などを出す皮膚疾患です。皮膚内で炎症反応が長期間持続するため赤くブツブツになり、瘢痕化し硬い皮膚となったり、内部に蜘蛛の巣状に膿の溜まりを作り、膿の出口が瘻孔(皮膚の穴)を形成することもあります。長期において放置すると希ではありますが、皮膚がん(特に有棘細胞癌)の発生しやすい環境になってしまう事が知られています。 化膿性汗腺炎とは

化膿性汗腺炎(慢性膿皮症)の原因

化膿性汗腺炎の原因  

 病気の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因が指摘されています。海外では、三分の一の患者さんで家族性に発生していると報告があります。また、環境的要因としては、喫煙と肥満がリスク因子として挙げられています。 そのような患者さんの腋窩・臀部などの毛包が閉塞することから発症します。閉塞した毛包に感染が起こりますが、原因菌は黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌、大腸菌などが多く、感染の勢いが強くなった場合には皮膚の下に膿の塊を作ります。

化膿性汗腺炎(慢性膿皮症)と毛巣洞の治療

(1) 保存的治療

化膿性汗腺炎早期の軽症なものであれば、局所の清潔を保ち、抗菌薬の内服や抗菌薬軟膏等を使用して治療をすることで改善していく場合もあります。重症度が高い場合は、アダリムマブ(ヒュミラ®)の皮下注射が必要な場合があります。また、生活改善(減量・禁煙)はどのような方でも重要です。

(2) 手術治療

外科的手術は、化膿性汗腺炎と毛巣洞において同様で、皮膚を全層で大きく取り除くことが大切です。そのため、範囲が広い場合には皮弁術(皮膚を切って移動させる手術)や皮膚移植を行う必要がある場合があります。長く経過している例では、皮下にトンネルを形成して広がっている場合があり、取り残すと再発してしまう場合があります。また、極めてまれではありますが、どちらの病気でも皮膚がんが発生する可能性もありますので、しっかりとした切除が重要です。

受診を希望の方は、月曜日から金曜日の午前中、形成外科一般外来にお越しください。

毛巣洞や化膿性汗腺炎の植皮手術

毛巣洞や化膿性汗腺炎の皮弁手術

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