病理学とは細胞、組織を形態と機能変化の両面から解析し、疾患、病態の発生機序の解明や診断を行うことを目的としています。

その中で臨床病理学(clinical pathology)は,顕微鏡を用いた形態観察や遺伝子レベルでの変化を診断に応用した細胞診断学、外科病理学(生検診断学)などからなっています。血液、分泌液などの体液成分や内視鏡や手術などで得られる細胞、組織を検体として病理診断をおこないますが、この病理診断は臨床的な治療法の選択などにも直結する重要なものとなっています。一方、実験病理学(experimental patholgy)は、培養細胞や人体組織、実験動物などを用いて病態の発生機序の解明や病態への影響を解析し、臨床診断や治療に応用することを目的としています。現在、教室では、消化器疾患と血管病変について、新たな分子標的治療法の確立をめざして重点的に研究を行っています。

<教室の沿革>
▽1964年 病理学第二講座が開講し、主任教授に福士勝成現名誉教授が就任。

▽1983年 第2代の主任教授に浅野伍朗現名誉教授が就任。

▽2000年10月 浅野伍朗教授の学長就任に伴い、病理学第一講座 山中宣昭主任教授が第二講座主任教授代行を兼務。

▽2001年4月より2003年6月 日本医科大学付属病院病理部長 杉崎祐一教授が主任教授代行を兼務。

▽2003年7月 第3代の主任教授に内藤善哉教授が就任し、現在に至る。

<研究>
教室では、消化器疾患と血管病変につき重点的に研究を行なっています。

1)膵臓癌と大腸癌:腫瘍細胞と間質組織の細胞外基質、増殖因子、接着因子等の受容体の発現や、これらのmRNA発現を免疫組織学的手法やin situ hybridization法などの分子病理学的手法を用いて研究しています。細胞増殖因子では線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーのなかのFGF7/keratinocyte growth factor, KGFとその受容体の KGFR、細胞外基質では小型ロイシンリッチプロテオグリカンのファミリーのなかの lumican について主に研究を行っています。これら細胞外基質や増殖因子の作用機構について、細胞骨格を介した細胞内シグナル伝達系と関連性に注目し、細胞内における情報発現の調節機構の解明も試みています。また、癌の増殖、転移に重要な役割を果たす血管およびリンパ管にも注目し、 Vascular endothelial growth factor (VEGF) family などの増殖因子と受容体についても研究を行っています。

2) 膵炎:急性および慢性膵炎の病態の進展、回復、再生に関与する細胞増殖因子と細胞外基質の発現と局在を、形態学的また遺伝子レベルで解析し、それらの発現の抑制や膵臓幹細胞同定・分化誘導による治療の可能性について検討しています。

3)動脈硬化症と糖尿病: 動脈硬化症の発症・進展に重要な血管内皮細胞障害、病巣の修復過程での細胞外基質、増殖因子の関与、平滑筋細胞の増殖機序について研究を行っています。動脈硬化の粥種病変における脆弱性の原因究明を目的に、種々の顕微鏡(光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、偏光顕微鏡、レーザー顕微鏡や電子顕微鏡)を用い血管壁組織内の疎水環境や動脈硬化進展と糖尿病の特異的な関連などにつき形態学的解析を行っています。

<病理診断、病理解剖>

1)病理診断業務(診断病理学): 診断病理とは、病院病理部に提出される細胞材料(検査目的で採取された細胞を含む検体)、生検材料(検査目的で採取された微小組織)および外科手術材料(手術により切除された臓器やその一部)について標本を作成し、細胞診または病理診断を行い担当臨床科に報告書を提出する業務で、病院全体の日常の臨床診療活動に必須の仕事です。教室の医師スタッフは、本業務に全員が参加しています。 病理医、臨床各科を広く含む多彩なカンファレンスも行い、有用で高精度かつ迅速な診断ができるよう努力しています。

2)病理解剖(剖検診断): 剖検診断とは、病院において不幸にして治療の甲斐無く亡くなられた患者様について、ご遺族の同意を頂いた場合に病理解剖を行い、主病変、合併症、治療効果の他、生前臨床的に問題になった諸点について病理学的に総合的に検討し、臨床経過と合わせて病気の全体像を把握する仕事です。剖検診断を積み重ねることは臨床診療活動の質を向上させるために大きく寄与するため、特に教育指定病院では必須のものとされています。教室のスタッフは、病理解剖及びその標本作成、剖検診断を行っています。重要な剖検例については臨床医と共に臨床病理カンファレンス(CPC)を開催しさらに詳しく検討しています。

<卒前・卒後教育>

卒前教育として、通常の病理学の授業や実習に加え、第3学年の基礎配属で種々の臨床検査や手術室での見学、手術生検材料の鏡検-病理診断に学生を参加させ疾患の発生機序から診断、治療、予後に至る一連の過程を理解させるように努めています。選択科目として教室では現在9名の学生が参加しております。昨年よりは臨床実習として5年生が約3名のグループで1週間集中して病理学を学んでいます。剖検症例について臨床歴、解剖所見のまとめを行い教室員の前で発表を行い疾患に対する理解を深めています。また病理解剖の見学、病理標本作成の実施、病理解剖症例検討会への参加なども行っています。 

卒後教育では、病理診断の修練を行うと共に、細胞-組織培養技術、免疫-酵素組織化学的手法、分子病理学的手法ならびに電子顕微鏡による検索法、画像処理システムを駆使し、幅広い分野にわたって研究が進められています。

三年前より「病理基礎実験プロトコール 」を作成、毎年改訂を加え大学院生、研究生が効率良く実験をすすめられるように努めています。

スタッフ紹介
主任教授
内藤 善哉 naito@nms.ac.jp
診断病理学、消化器病理学、腫瘍病理学、細胞診断学
助教授
石渡 俊行 ishiwata@nms.ac.jp
分子病理学、細胞増殖因子、消化器病理学
講師
恩田 宗彦 baltan-5@nms.ac.jp
診断病理学、血管病理学、細胞診断学
助手
亀山 孝二
血管病理学、画像解析
工藤 光洋 kudoh@nms.ac.jp
細胞生物学
藤原 ゆり yuri@nms.ac.jp
研究技術員
川原 清子 (技術主査)
藤井 雄文 (技術主査補)
河本 陽子 (技術主査補)
手塚 潔  (技術主査補)
鈴木 妙子 (研究技術員)
教室秘書
小野 祐子 onoyuko@nms.ac.jp
大学院生
田中 紀子 (日本医科大学第二内科学教室)
石川 温子 (日本医科大学女性診療科・産科) 
張  一光 (日本医科大学第一外科学教室)
寺西 宣央 (日本医科大学第一外科学教室)
川本 聖郎 (日本医科大学第一外科学教室)
研究生
平田 雅彦  (平田医院)
平山 陽子 (王子生協病院)
宮城 由美 (癌研有明病院)
特別研究生
矢野 正雄 (南町田病院)
町田 稔  (国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
堀井 理絵 (癌研究会癌研究所 病理部)
学内研究生
進士 誠一 (日本医科大学第一外科学教室)
吉野 雅則 (日本医科大学第二病院消化器病センター)
松信 哲朗 (日本医科大学第二病院消化器病センター)
兼担
日本医科大学付属病院 病理部
診療教授 土屋 眞一 (兼担)
日本医科大学付属多摩永山病院 病理部
診療教授 前田 昭太郎(兼担)
s-maeda@nms.ac.jp
日本医科大学千葉北総病院 病理部
診療教授 大秋 美治 (兼担)
ohaki@nms.ac.jp
日本医科大学第二病院 病理部
http://www.2hp.nms.ac.jp/byori/index.shtml
部長 松本 光司 (兼担、助教授)
非常勤講師
杏林大学 教授
病理部長 坂本 穆彦
東京警察病院
病理部長 横山 宗伯
muneyoko@mrh.biglobe.ne.jp
中沢 南堂 
細胞生物学、組織細胞培養
nando@nms.ac.jp
森 修 (初石病院)    mori-o@nms.ac.jp
客員教授
財団法人癌研究会癌研究所 乳腺病理
部長 坂元 吾偉 (待遇) 
客員助教授
東京都老人総合研究所 臨床病理部門 
研究部長 田久保 海誉(待遇)
財団法人癌研究会癌研究所 病理部
主任研究員 秋山 太(待遇)