診療内容

消化器内科よりお知らせ


患者さまへ

いつも大変お世話になっております。
現在、人工知能  Artificial  Intelligence (AI) による技術革新は皆さまの日常生活やお仕事にも様々な恩恵をもたらしつつあるかと存じます。医療をとりまく世界にとりましても例外ではなく、日本の拠点病院を中心に AI による内視鏡補助診断の臨床研究が既に始まっています。上部消化管内視鏡診断における AI による拾い上げ診断のレベルは既に、日本の専門医のレベルに達しているとする報告もあります。

当院においても近日中に、この AI を補助診断として用いた内視鏡診療がスタートします。患者さまの上部内視鏡検査は以前と全く変わりなく私どもが検査を行って参りますが、今後は検査中において内視鏡画像上での AI によるサポート診断を受けることができるようになります。私どもは、これまで以上に正確・迅速そして安心・快適な内視鏡診療を提供できるようにスタッフ一同心がけて参ります。

日本医科大学武蔵小杉病院 消化器内科 部長・内視鏡センター長 二神 生

令和元年 9月13日

内視鏡AIの院内掲示サンプル0612.1 - 内視鏡AIの院内掲示サンプル0612.2
※画像の上でクリックすると拡大します。

早期胃癌・早期大腸癌

ポリープや早期癌に対して、今までのポリープ切除術(ポリペクトミー、EMR)に加え、一括で大きく取り切ることができる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行っています。
 胃癌は消化器癌のなかで最も多く、全体の癌の死亡数でも、男性は肺癌についで2位、女性は1位を占めています。自覚症状(食欲 不振、腹痛、タール便、貧血によるふらつき等)を契機に発見される場合もありますが、自覚症状が全くない場合も多く、慢性胃炎やヘリコバクター・ピロリ感染歴などのリスクがある方には、早期発見をするため定期的に上部消化管内視鏡検査を受けて頂く事をお勧めしています。
 当院では、上部消化管内視鏡検査時の色素散布や生検、拡大内視鏡等により、病変範囲(癌の大きさ)や深達度(癌の深さ)を正確に診断し、基準を満たす早期胃癌に対しては、内視鏡的粘膜下層剥離法(ESD)を積極的に施行しております。このため以前であれば外科的手術を要した腫瘍でも、内視鏡で完治できる症例が増えてきています。
 また近年増加傾向にある大腸癌に対しても、20124月から内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が保険適応になりました。早期大腸癌は自覚症状が乏しいため、大腸癌検診等で便潜血検査が陽性であった場合は、大腸内視鏡検査による精密検査を受けて頂く事をお勧めしています。早期胃癌と同様、当院では適応を正確に診断し、早期大腸癌に対してもESD治療を施行しています。
 内視鏡治療にあたっては、消化器外科医師と症例毎の検討を行い、連携して治療を行います。また、内視鏡的に切除が困難な場合や進行癌は、消化器外科での手術による根治や、化学療法での腫瘍の制御を目指します。

超音波内視鏡(EUS)・超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)

 超音波内視鏡は消化管内腔より消化管壁や周囲組織や臓器の精査を行うため、体表エコーと異なり胃や腸管内の空気、腹腔内の脂肪や骨が妨げになりにくいため、詳細な観察が可能となります。対象疾患としては膵癌や膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、早期慢性膵炎、粘膜下腫瘍などが挙げられます。また超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)では病変の病理診断を行うことができ、より正確な診断が可能となります。当科は厚生労働省難治性疾患研究班「早期慢性膵炎の疫学調査」に属しており、積極的に膵疾患に対して超音波内視鏡検査を行っています。

IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)

 膵管から発生する腫瘍細胞が粘液を産生することで膵管拡張をきたす疾患です。腹部CTやMRI検査で診断され主膵管からの主膵管型と分枝膵管からの分枝型及び混合型に分類されます。膵癌の前癌病変と考えられており、主膵管型は手術、分枝型は腹部エコーや超音波内視鏡で慎重に経過観察し、経過によっては手術の方針となります。

早期慢性膵炎・慢性膵炎

 早期慢性膵炎は今後慢性膵炎へと移行する可能性がある病態です。症状としては反復する上腹部痛や膵酵素異常を認めます。超音波内視鏡での精査を行い、所見を認めた場合は内服での加療となります。慢性膵炎の病態が進行すると膵機能の低下も認めるようになるため早期発見、早期治療が望まれます。

肝臓・胆道・膵臓領域疾患

 肝臓領域のあらゆる疾患に対応しておりますが、本院では特にB型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、肝硬変症、肝硬変に合併する食道胃静脈瘤・大量腹水・肝細胞癌の患者様が多く来院しております。
また胆膵領域では、胆石症、急性胆嚢炎、急性胆管炎、急性膵炎、自己免疫性膵炎、膵癌、膵のう胞性腫瘍(IPMN)などを多く診察しております。

~代表疾患の治療方針・治療法~

B型・C型慢性肝炎

 肝炎診療ガイドラインに沿った情報を提案した上で、患者様のお考え・年齢・体調などを熟慮した上で治療方針(インターフェロン療法、インターフェロンフリー療法)を決定いたします。また現在次々と新薬が開発されておりますが、それらを使用して治療ができます。慢性肝炎治療終了後は超音波検査、CT検査、MRIなどにより厳重な経過観察を行います。

肝硬変

 肝硬変では門脈圧が高くなりそのため大量腹水や食道胃静脈瘤、肝性脳症などが発症しますが、これらは薬物療法、内視鏡的治療、また放射線科による血管内治療などで治療ができます。特に難治性腹水の治療については、日本医科大学付属病院は日本有数の治療経験がありますので、本院と連携して治療することも可能です。

肝細胞癌

 肝癌診療ガイドラインを基本にして治療方針を決定しますが、肝細胞癌の存在位置や悪性度、患者様の年齢・肝予備能を十分に踏まえて、個々の患者さんにとって最も良い治療を選択し治療を行います。従って、外科、放射線科と連携して最善な治療を受けることが可能です。例えば患者さんによっては、肝切除(外科)、経皮的ラジオ波熱凝固療法(RFA)(消化器内科)、肝動脈塞栓療法(TACE)(放射線科)の3つを組み合わせて治療を行うこともあります。また肝細胞癌が進行した症例についても分子標的製剤、肝動注化学療法などを行うこともできます。

胆道・膵臓疾患(急性胆嚢炎、急性胆管炎、胆道癌、膵癌、膵のう胞性腫瘍(IPMN)など)

 各種疾患に対して、膵・胆道内視鏡による診断及び治療(ERCP、EST、EPBD、胆道ステント留置術)、外科的な処置(PTCD, PTGBD)を行なっております。胆道疾患、膵疾患は外科との連携が大変重要な分野でありますが、当院では消化器内科と外科が親密な交流がありますため、入院後まもなくして外科とも連携し最善な治療方針を決定し、早期治療・早期退院を目指します。

機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群

 上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査により、胃癌・胃潰瘍・大腸癌などの器質的疾患を除外したのち、機能性消化管障害ガイドライン委員・慢性便秘症診療ガイドライン委員による専門外来を設置しております。必要に応じ、当科では消化管運動機能検査を行い、診断・治療に役立てることができます。


臨床研究

1.多施設共同観察研究「早期慢性膵炎および慢性膵炎および慢性膵炎疑診例の前向き予後調査」(厚生労働省難治性疾患研究班)

2.便秘型過敏性腸症候群患者におけるリナクロチド、酸化マグネシウムのクロスオーバー試験

3.内視鏡的粘膜下層剥離術で治療された胃腫瘍の臨床的特徴と治療成績、長期予後の研究

4.他施設共同研究による大腸憩室出血をきたしたDOAC内服超高齢者に対する調査研究

英文業績 (2017年)

  1. Ueki N, Futagami S, Akimoto T, et al. Effect of Antithrombotic Therapy and Long Endoscopic Submucosal Dissection Procedure Time on Early and Delayed Postoperative Bleeding. Digestion, 96(1): 21-28, 2017.
  2. Kodaka Y, Futagami S, Tatsuguchi A, et al. Impact of Cyclooxygenase-2 1195 G-Carrier Genotype Associated with Intestinal Metaplasia and Endoscopic Findings Based on Kyoto Classification. Digestion, 96(3): 173-183, 2017.
  3. Hashimoto S, Futagami S, Yamawaki H, et al. Epigastric pain syndrome accompanying pancreatic enzyme abnormalities was overlapped with early chronic pancreatitis using endosonography. J Clin Biochem Nutr, 61(2): 140-145, 2017.
  4. Yamawaki H, Futagami S, Wakabayashi M, et al. Management of functional dyspepsia: state of the art and emerging therapies. Ther Adv Chronic Dis, 1-10, 2017.

英文業績 (2018年)

  1. Masu T, Atsukawa M, Nakatsuka K, Shimizu M, Miura D, Arai T, Harimoto H, Kondo C, Kaneko K, Futagami S, Kawamoto C, Takahashi H, Iwakiri K. Anti-CD137 monoclonal antibody enhances trastuzumab-induced, natural killer cell-mediated cytotoxicity against pancreatic cancer cell lines with low human epidermal growth factor-like receptor 2 expression. PLoS One. 2018 Dec 31;13(12):e0200664.
  2. Wakabayashi M, Futagami S, Yamawaki H, Tatsuguchi A, Kaneko K, Agawa S, Higuchi K, Sakasegawa N, Murakami M, Akimoto T, Kodaka Y, Ueki N, Gudis K, Kawamoto C, Akamizu T, Sakamoto C, Iwakiri K. Comparison of clinical symptoms, gastric motility and fat intake in the early chronic pancreatitis patients with anti-acid therapy-resistant functional dyspepsia patients. PLoS One. 2018 Nov 7;13(11):e0205165.
  3. Yamawaki H, Futagami S, Kaneko K, Agawa S, Higuchi K, Murakami M, Wakabayashi M, Sakasegawa N, Kodaka Y, Ueki N, Gudis K, Kawamoto C, Iwakiri K. Camostat Mesilate, Pancrelipase, and Rabeprazole Combination Therapy Improves Epigastric Pain in Early Chronic Pancreatitis and Functional Dyspepsia with Pancreatic Enzyme Abnormalities. Digestion. 2018 Nov 2時1分-10.
  4. Futagami S, Yamawaki H, Agawa S, Higuchi K, Ikeda G, Noda H, Kirita K, Akimoto T, Wakabayashi M, Sakasegawa N, Kodaka Y, Ueki N, Kawagoe T, Iwakiri K. New classification Rome IV functional dyspepsia and subtypes. Transl Gastroenterol Hepatol. 2018 Sep 19;3:70.
  5. Yamawaki H, Futagami S, Iwakiri K. [Duodenum plays the certain roles in functional gastrointestinal disorders]. Nihon Shokakibyo Gakkai Zasshi. 2018;115(2):177-183.
  6. Yamawaki H, Futagami S, Wakabayashi M, Sakasegawa N, Agawa S, Higuchi K, Kodaka Y, Iwakiri K. Management of functional dyspepsia: state of the art and emerging therapies. Ther Adv Chronic Dis. 2018 Jan;9(1):23-32.

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