中央手術部

はじめに

近藤 幸尋

中央手術部は、日本医科大学付属病院で行われる全ての手術において患者さんが安心して高度な手術治療を受けられるよう、手術チームが各々の専門性を発揮しながら質の高い手術医療を提供している部門です。当院では高度救命救急センターを併設しており、超緊急手術(グレードA)に対応するために、手術室の効率的運用および迅速な手術準備に至るまで手術チーム全員が一体となった体制をとっています。

中央手術部 部長 近藤 幸尋

中央手術部の概要

手術室数

最新の設備と医療機器を備えた21室の手術室のあり、特定機能病院として、ロボット支援手術、ハイブリット手術、鏡視下手術、血管再生医療手術、生体臓器移植(肝臓、腎臓)などを実施しています。
また、短期日帰り手術室(2室)を有しており、日帰り手術も実施しています。

年間手術件数

年度 手術件数
平成30年度 11,640件
令和元年度 11,952件
令和2年度 8,113件
令和3年度(令和4年1月現在) 8,515

安全への取り組み

患者さんとご家族が安心して手術医療に臨めるよう、医師、看護師、薬剤師、臨床工学技師が手術チームとして協同しています。毎朝手術室カンファレンスを実施し、患者さんの麻酔方法や安全のための情報を共有しています。

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手術室カンファレンス
(麻酔科医師・手術室看護師・薬剤師・臨床工学技士合同)shou_shu_kanhua

手術麻酔管理 

手術を受けられる事が決定した患者さんには、麻酔科医師が患者さんの病態や状態を把握する為に、直接お会いしてインタビューと麻酔に関する説明を行います。患者さん一人一人の麻酔は、全例、麻酔科の医師が直接担当します。
(麻酔科のサイト http://www.nms.ac.jp/nms/anesth/
また、麻酔や手術室での流れのイメージがつくことで、心配なことが少しでも軽減されるよう成人用と小児用のDVDを作成しております。麻酔科医師のインタビュー前に患者さんのご希望で視聴して頂くことができます。麻酔科医師の説明のあとに、看護師が手術室での流れや安全に関することの説明を行い、患者さんお一人お一人の看護計画を立案し、質の高い看護実践に努めています。
手術室に入られた後は、麻酔全体の責任者(スーパーバイザー)が、その日全ての麻酔業務を監督しており、看護師の責任者とともに、連携を取りながら手術が安全・円滑に手術が進行できるよう指導しています。
さらに、手術には麻酔器をはじめ様々な医療機器が利用され、多くの薬剤が使用されます。手術部では専属の臨床工学技士と薬剤師が常駐し、医療機器および薬剤の安全管理を行っています。

年間手術件数

手術医療は高度化・複雑化をしています。私たち手術室看護師は、患者さんやご家族が安心して手術医療を受けけることができるように、手術チームの一員として手術前・中・後を通して患者さんの安全を守り、手術が円滑に遂行できるよう看護を提供しています。

手術看護認定看護師の役割件数

当手術室には2名の手術看護認定看護師がいます。手術看護領域において、手術治療の安全を保障するために、幅広い知識と熟練した看護技術により、看護実践・指導・相談の役割を果たし、手術看護ケアの広がりと質の向上、魅力ある手術室の構築を図る役割を担っています。

手術看護の実際

術前面接

手術を受ける患者さんが、手術室での流れや麻酔に関して、少しでもイメージがつくように写真つきのパンフレットを用いて術前に説明をさせていただいています。

入院手術用パンフレット入院手術用パンフレット

日帰り麻酔手術用パンフレット日帰り麻酔手術用パンフレット

手術室看護師による術前面接手術室看護師による術前面接

入室時

 患者さんの取り違い、手術部位間違いが起こらないよう、ご本人に、声に出して言っていただくとともに、リストバンドを誤認防止器械で照合し、麻酔科医師、病棟(外来)看護師、手術室看護師で確認しています。

執刀前

WHO手術安全チェックリストに基づき、執刀医・麻酔科医・看護師で患者さんの氏名、術式、部位(左右)の最終確認と、麻酔や手術侵襲、術中体位などによる問題点を共有してから手術を開始します。

術中

輸血・注射を安全に行うために、複数の看護師、医師でダブルチェックを実施しています。また、執刀医、麻酔科医とともに安全な手術体位の確保と体温管理を実施しています。

術後

術後訪問で患者さんよりお話を伺い、看護の振り返りと患者さんのご意見から次の看護に繋げています。

医療機器の安全管理

現在の医療において医療機器は必要不可欠でありますが、近年の医療機器は高度化かつ複雑化してきており、専門的知識と経験が医療機器の操作および安全管理に求められます。当院ではそれらを兼ねそろえた臨床工学技士が院内に30名勤務しており、専門の臨床工学技士が手術で必要な医療機器の管理・点検・操作を行っております。また手術室内ラウンド業務として常時2名が各手術室内のラウンドをおこない、術中使用している医療機器の正常作動や安全確認を随時行っております。
手術室には麻酔器、電気メスをはじめ、開腹せずに手術が行える内視鏡手術装置等の手術室特有の医療機器等があり、また、眼科、整形外科、心臓血管外科、脳神経外科、耳鼻咽頭科等で使用する専門機器は我々が準備・点検・操作致しますが、患者さんに安心して手術を受けていただけるように、手術前点検・終業点検を必ず行い、トラブルを未然に防ぎます。
なにより麻酔科医、外科医、看護師、薬剤師と連携を取り<何よりも安全な手術>を心がけチーム医療を行っています。
私たち臨床工学技士は医療機器を通して患者さんに安心を提供することを目的に勤務しております。

主な設備・医療機器

MAQUET OPERATION SYSTEM
生体情報モニタ集中管理システム
内視鏡ハイビジョンシステム 14セットMAQUET OPERATION SYSTEM   生体情報モニタ集中管理システム   内視鏡ハイビジョンシステム 14セット



手術支援ロボット(ダヴィンチ)
手術支援ロボット(ダヴィンチ)

人工心肺装置 2基人工心肺装置 2基

医療機器位置情報システム医療機器位置情報システム

薬剤の安全管理

手術室では麻薬、筋弛緩薬など、管理について厳しく規制されている医薬品が多数取り扱われており、厳重な管理が要求されます。当院では、麻酔導入に必要な管理医薬品をセット運用しており、それらの払出、使用量の確認、保管・管理を行なっています。手術室担当薬剤師が5名常駐することで、術中に使用される医薬品管理、医薬品適正使用の推進を実行しています。また、多様化する術中使用医薬品の情報収集を速やかに行い、麻酔科カンファレンスに出席し情報提供しています。
医薬品管理業務に留まらず、病棟薬剤師と連携して術前中止薬の中止日の確認やアレルギー情報の収集を行い、必要に応じて麻酔科医・執刀医・看護師に注意喚起を行なっています。
薬剤師は、医薬品の管理、情報提供、注意喚起を行なうことで、安全で円滑な手術の進行に協力し、患者さんのリスクマネジメントに貢献しています。