診療内容

胸腔鏡下肺葉切除術

胸腔鏡下肺葉切除術

呼吸器外科胸腔鏡下肺葉切除術20230207

自然気胸に対する胸腔鏡手術のご紹介

自然気胸とは、肺表面の膜(胸膜といいます)に穴があき、そこから漏出した空気が肺自体を圧迫して肺がしぼんでしまう(肺虚脱)疾患です。
原因は、肺のう胞(胸膜が袋状に膨らんだもの)の穿孔が大半を占めます。男性が8割以上を占め、10代から30代に多い疾患です。この他70代以降の高齢者に多い肺気腫や間質性肺炎など基礎肺疾患に続発する気胸(続発性気胸)も近年増加しております。
私たちは気胸手術症例に対して積極的に胸腔鏡を導入し、早期退院(術後平均在院日数2.2日)と早期就学、就労復帰を可能にしています。また前述の高齢者続発性気胸の症例は呼吸不全を合併していることが多く、呼吸器内科、麻酔科との連携の上入念な術前、術中管理を行い、安全、確実な手術を目指しております(全例胸腔ドレーンは全例1日以内に抜去)。

気胸の重症度と症状

胸腔鏡下手術(気胸)

胸腔鏡下手術(気胸)

前縦隔腫瘍に対する剣状突起下アプローチによる胸腔鏡下腫瘍摘出術のご紹介

胸腺腫などの前縦隔腫瘍に対する外科的治療は、前胸部に15~20cmの縦切開をいれ、胸骨(前胸部にある板状の骨)を医療用のこぎりを用いて切離し開胸、腫瘍を摘出します。その後切離した胸骨を金属ワイヤーで閉鎖する「胸骨正中切開アプローチ」が主流です。
しかしながらこのアプローチは創が大きいばかりでなく、胸骨を切離するため、骨断端からの出血、そして術後の疼痛に加え、高齢者や糖尿病症例などは胸骨閉鎖不全、胸骨感染等の合併症のリスクを抱えていました。
これに対し当院では胸骨を切らずに、胸骨下縁(剣状突起下)に3cmほどの横切開をいれ、特殊なアクセスポートと胸腔鏡を用いて縦隔腫瘍を摘出する「剣状突起下アプローチ」による縦隔腫瘍摘出術を行っています。
この術式は創が小さいという美容的面だけでなく、胸骨を切離しないため出血も極めて少なく、また術後疼痛、感染等を含めた合併症のリスク低減に寄与し、速やかな日常生活復帰が可能となります。

胸骨正中切開アプローチ

胸腔鏡下前縦隔腫瘍手術(胸骨剣状突起下アプローチ)

おもな検査内容

肺機能検査

肺活量などを測る検査で中央検査室に依頼して行っています。術前状態や手術の影響などを検査します。

胸部CT

胸部を断層撮影し、肺野や縦隔の構造を詳細に描出します。病変の位置、病変のパターンなどから診断します。来年度よりマルチディテクターCT(MDCT)が導入予定です。このCTは従来のものより画像処理能力がかなり高く、造影・三次元処理で病変を立体的に詳細に把握することが可能で、外来通院で行うことができます。