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医学教育センターの概要

 日本医科大学医学教育センターは、旧教育推進室を発展させた、医学教育全般の研究・支援部門として2014年4月に発足しました。
 卒前・卒後の教育全般に関わりながら、本学の医学教育を充実させ、さらに発展させられるように日々活動しています。

センター長 ごあいさつ

センター長 森田林平
 平成26年4月1日より医学教育センターが発足しました。本センターの前身は平成14年に設置された教育推進室ですが、その機能をさらに強化した医学教育センターとして生まれ変わりました。
 本センターは、本学の教育理念である「愛と研究心を有する質の高い医師、医学者の育成」を達成するため、学生選抜から卒前教育、さらには卒後教育を含めた生涯教育を包括的に統括し、効率的な医学教育を展開することを目的としています。


 

 教育推進室は2002年に設置され、旧教育委員会の下部組織として行政機関的役割を担ってきました。初代室長の荒牧琢己教授の時代に礎が築かれ、2代目の志村俊郎教授時代に受け渡されて本格的な医学教育の実働部隊として機能してきました。特に、多くの模擬患者(SP)にご協力いただいて実施してきたシミュレーション教育、OSCE(Objective Structured Clinical Examination、客観的臨床能力試験)は、医学教育学会でも注目を集め、その分野では現在でも指導的な役割を担っています。また、荒牧室長の時代には、すでに現在のIR(機関研究、Institutional Research)に相当する教育の分析などが始まっていました。このように教育推進室には実働部隊としての役割に加え、医学教育の研究開発も求められてきました。
 最近の医学教育では診療参加型臨床実習(Clinical Clerkship;CC)の重要性が叫ばれ、時間配分も大幅に増加させるようカリキュラムの改変が求められてきました。また、今まで以上に卒後の臨床研修へのシームレスな移行や病院との密接な連携が必要となり、卒前教育、卒後教育を分けて考えることが難しくなってきました。さらに、医学教育には生涯教育の意味が込められていますが、従来の組織にはこのような機能を持つ部門はありませんでした。特に子育てで臨床の一線を離れた女性医師が復帰する際の復帰支援などは、どこかの部署が担うべきとの意見が強くなってきました。
 このように、教育推進室にはこれまで以上に多くの業務が課せられ、また期待されることになりましたが、当時のマンパワー、組織では到底処理しきれません。こうした中、生まれてきたのが教育推進室のセンター化構想です。2012年ごろからセンター化の検討が始まり、2013年に準備委員会が発足し数回の会議を経て構想が練られてきました。

 以上のような経緯で2014年4月に医学教育センターが誕生しました。従来の教育委員会が教務部委員会として学長直下の組織になったのに伴い、医学教育センターも教務部委員会から独立しました。医学教育センターには、医学教育研究開発部門、医学教育支援部門、個別化教育推進部門が設置されています。初代センター長には竹下俊行教授(産婦人科学)、2代目は伊藤保彦教授(小児科学)が就かれ、2024年5月より森田林平教授(微生物学・免疫学)が3代目センター長に就任いたしました。下記3部門にはそれぞれ副センター長を配しています。
1.医学教育研究開発部門(部門長:藤倉輝道教授・専任)
 本部門は以下の業務を行います。
  (1)医学教育学上の研究及び開発に関すること。
  (2)ファカルティ・ディベロップメントの企画運営に関すること。
  (3)教授会及び教務部委員会からの諮問事項並びにその他学長が検討を必要と認めた事項に関すること。
  (4)学内教育における企画、運営及び支援に関すること。
  (5)技術革新に対応した教育及び分野横断的な教育に関すること。
  (6)情報科学教育及びe-learningの実施並びに研究に関すること。
  (7)IR(機関研究)に関すること。
2.医学教育支援部門(部門長:横堀将司教授・救急医学・兼任)
 本部門は以下の業務を行います。
  (1)付属4病院の臨床研修センターとセンターの連携に関すること。
  (2)卒後教育に関する講習会等の企画運営に関すること。
  (3)教授会及び卒後研修委員会からの諮問事項並びにその他学長が検討を必要と認めた事項に関すること。
  (4)看護師他医療従事者の教育に関すること。
  (5)生涯教育、女性医師・研究者のキャリアサポートに関すること。
  (6)スキルスラボ運営に関すること。
3.個別化教育推進部門(部門長:北村義浩教授・専任)
 本部門は以下の業務を行います。
  (1)学生の個別化教育に関すること。
  (2)医師国家試験対策の企画、立案及び実施に関すること。
  (3)教授会及び教務部委員会からの諮問事項並びにその他学長が検討を必要と認めた事項に関すること。

 我が国における、医学教育、大学教育の動向を俯瞰する意味で、あえて中央教育審議会(中教審)の答申に立ち返りたいと思います。2012年、中教審は、「新たな未来を築くための 大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~」という答申を出し、能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換の必要性を説きました。2018年には、「2040 年に向けた高等教育のグランドデザイン」が出され、社会の変化を的確に捉えることが幅広く求められ、2021年には、「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について」という答申の中で、「デジタルトランスフォーメーション(DX)やグローバル化の進展により、世界的規模で激しく社会と価値観が変化している中で、大学は「教育」と「研究」という、その本来的な機能の発揮を通じて、社会の将来的な発展を支え、推進する基盤となるものである。」とも述べています。そして2022年には「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について」という答申が出されました。
 医学教育は、高等教育の中でも特に成熟度が高く、かつ変革の著しい分野であると考えます。実際に他学部の先生方にはよくそのような指摘を受けます。これらの答申に掲げられた項目のほとんどが、常に本学でも議論され改革が進められてきたことがお解りいただけるかと思います。これは、一つには国際水準に準拠した医学教育の分野別評価というものが浸透し、本学も2回の受審を終え、常に改善に努めていることが背景にあると考えます。近年の答申にある「質保証」はまさにこれに繋がる取り組みと言えます。
 このような医学教育変革に即応し、私学の雄として優れた全人的医療人を育成するため、医学教育センターに課せられた課題は山積しています。また期待も大きいものがあると思いますが、こうした期待に応えるため、重要なのは何といっても我々が本学の医学教育の潤滑油であることを忘れないことだと考えます。学内外の情報、国内外の情報に鋭敏に反応し、かつ社会の動向を的確につかみ、その情報を本学に潤滑油として行き渡らせ、本学の教育を潤いのあるものにすることと考えます。
 医学教育が常に変革していく中、「愛と研究心を有する質の高い医師と医学者の育成」の教育理念のもと、教育システムを整備、拡充し、質の高い医学教育を提供してゆく所存です。今後とも教職員の皆様、同窓の皆様、学外の関係の皆様、市民の皆様方のご支援ご協力を賜りたく存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。

スタッフ一覧

  
センター長森田林平大学院教授(微生物学・免疫学)併任
医学教育支援部門 部門長横堀将司大学院教授(救急医学)併任
医学教育研究開発部門 部門長藤倉輝道教授専任
大生定義客員教授
早坂明哲助教専任
藤田恵助教専任
井上千鹿子非常勤講師併任
八木正敏顧問専任
山口邦子課長専任
個別化教育推進部門 部門長北村義浩教授専任
    
IR室早坂明哲助教専任

他、教授(教育担当)5名・准教授(教育担当)5名・講師(教育担当)39名(2024.4.1現在)が併任として所属