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Abstract

第18巻 2022年2月 第1号

全文PDF (1,028K)

■特集〔COVID-19に打ち勝つために:日本医科大学の取り組み(7)〕

COVID-19に打ち勝つために:武蔵小杉病院の取り組み
松田 潔1, 3, 望月 徹2, 3, 小林美奈子2, 谷内七三子2, 八木 孝1, 2
1日本医科大学武蔵小杉病院医療安全管理部
2日本医科大学武蔵小杉病院感染制御部
3日本医科大学救急医学

船内でCOVID-19感染が発生したクルーズ船に対応するため,神奈川県庁の対策本部にDMATを派遣したことが武蔵小杉病院におけるCOVID-19対応の端緒であった.その後,市中感染が蔓延し,神奈川県が設定した「神奈川モデル」の体制下で武蔵小杉病院は重点医療機関協力病院として位置づけられた.すなわち疑似症例を含めた患者搬送を受け入れるが,感染が確認されれば重点医療機関に転送するという対応であった.院内に感染を持ち込まないために種々の感染防御対策を行ったが,院内クラスターを2回発生させてしまった.しかし,迅速な対応から病棟内に封じ込めることに成功し,病院機能は維持できた.
感染拡大とともに神奈川県内の医療崩壊が迫り,「神奈川モデル」は実質的には機能停止し,感染患者の転送はできなくなり,当院でも重症2例,中等症6例の入院治療を請け負うこととなった.
ワクチン接種が開始されると,希望する全職員に院内で接種を行うとともに日本医大学生(2〜6年生)の接種も武蔵小杉病院で行った.川崎市の集団接種にも職員を派遣した.
感染第5波の渦中に新病院移転を行った.ECMO装着した感染患者も含めて安全な搬送を行えた.新病院には陰圧外来診察室4室,ICU個室7室,一般病棟陰圧病室4室を備えており,「神奈川モデル」での武蔵小杉病院の位置づけも高度医療機関に格上げされた.中等症28例,重症10例,妊婦2例,小児2例を受け入れられる体制を構築した.
2019年3月〜2021年12月の期間に武蔵小杉病院では,COVID-19感染患者449例の診療を行い,内196例(143例が中等症,53例が重症)が入院した.

日医大医会誌 2022; 18(1), 37-40

受付:2022年1月9日 受理:2022年1月13日

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