診療内容のご案内

当院では外来でのダイビング後減圧症の治療は実施しておりませんので、ご理解ください。

保険診療の適応疾患

2018年4月の診療報酬改定により、高気圧酸素治療の診療報酬が上昇しました。

(1) 減圧症又は空気塞栓に対して、発症後1か月以内に行う場合に、一連につき 7 回 を限度に施行。
(2) 次の疾患に対して行う場合に、一連につき 10 回を限度に施行。
 ア 急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む。)
 イ 重症軟部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)又は頭蓋内膿瘍
 ウ 急性末梢血管障害
  (イ) 重症の熱傷又は凍傷
  (ロ) 広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
  (ハ) コンパートメント症候群又は圧挫症候群
 エ 脳梗塞
 オ 重症頭部外傷後若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫
 カ 重症の低酸素脳症
 キ 腸閉塞
(3) 次の疾患に対して行う場合に、一連につき 30 回を限度に施行。
 ア 網膜動脈閉塞症
 イ 突発性難聴
 ウ 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍
 エ 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
 オ 皮膚移植
 カ 脊髄神経疾患
 キ 骨髄炎又は放射線障害

治療の流れ

治療初回と最終回時に簡単なアンケートに答えていただきます。
治療衣に着替え、装置に入ります。
リクライニングチェアに座り、酸素マスクを装着、100%酸素を吸入します。
ドアを閉めて加圧を開始します。約15分で2.8気圧まで加圧します。加圧中は耳抜きが必要です。
約60分、2.8気圧を維持します。
時間がきたら、減圧を開始します。約15分で大気圧に戻ります。これで終了です。
以上の治療を、連続10回〜30回繰り返します。回数は担当医が判断いたします。

高気圧酸素治療を受けることができない人

閉所恐怖症の人
気胸の既往がある人
肺気腫の人、その他慢性の肺疾患を持っている人 など
耳や眼の手術を受けたばかりの人
喘息治療中の人
その他、医師の判断で治療をお断り、中断することがあります。

受診のしかた

現在治療を受けている医療機関から紹介状(診療情報提供書)を発行してもらい、当院医療連携室にご連絡の上受診の予約をして下さい。
例えば、突発性難聴で他の病院や医院で治療中の外来患者さんは、耳鼻科はもともと通っている病院に通院を継続し、当院には高気圧酸素治療だけ受けに来ることになります。耳鼻科も当院に通院をご希望であれば、今通院している医療機関からまず当院耳鼻科あてに紹介してもらって下さい。その際、高気圧酸素治療の適否は当院耳鼻科が判断いたします。
他院入院中の患者様で、入院を継続する必要がある場合は、その病気について当院の治療担当科が入院受け入れ可能な場合のみ高気圧酸素治療を行うことができます。当院の担当科とまずご相談下さい。
例えば、重症熱傷で入院中の患者さんに高気圧酸素治療を行う際は、まず当院救命センターと現在入院中の医療機関の医療スタッフ同士で相談をしたうえで、当院の救命センターが患者さんを受け入れたら高気圧酸素治療を施行することができます。その際、高気圧酸素治療の適否は当院救命センターが判断いたします。

Q & A

icon_Q.png

高気圧酸素治療は本当に効くのですか。

icon_A.png

適応疾患には有効性が認められていますが、すべての患者さんに一定の効果を保証することはできません。「救急的なもの」に挙げられている疾患については、発症後早期に開始すると効果が高いことが多いです。

icon_Q.png

酸素カプセルとの違いはなんですか。

icon_A.png

一般的に酸素カプセルは空気を1.3気圧程度に加圧するものです。100%酸素を吸入しながら2.8気圧まで加圧する高気圧酸素治療とは、溶存酸素(血液の中に溶け込む酸素)の増加はけた違いです。「健康器具」と「治療用装置」の差とお考え下さい。

icon_Q.png

酸素が充満している部屋で、火事にならないのですか。

icon_A.png

100%酸素を各自マスクで吸入するので、高気圧酸素治療装置内の酸素濃度は外気とほとんどかわりません。しかし、火事を予防するためにさまざまな注意事項を守って頂きます(治療衣の着用、ライターやカイロの持ち込み禁止など)。詳しくは治療前にスタッフがご説明します。

icon_Q.png

耳抜きができませんが、高気圧酸素治療をやりたいです。

icon_A.png

「オトベント」という耳抜きを補助する道具を売店で販売しておりますので使用をお勧めします。また、耳鼻科で鼓膜に穴を開けてもらうこともあります。鼓膜の穴は時間がたつと自然にふさがります。

icon_Q.png

治療中にトイレに行けますか。

icon_A.png

治療途中で装置から出ることはできません。心配な方はパットなどを使用して下さい。

icon_Q.png

何回続けるのですか。毎日やらないといけないのですか。

icon_A.png

減圧症・空気塞栓は7回、連日施行します。最高10回と決まっている疾患は、5回〜10回施行します。最高30回と決まっている疾患は、まず10回程度施行し、効果を確認して最高30回まで適宜延長します。症状が強い間は毎日やったほうが効果的です。突発性難聴や網膜動脈閉塞症の患者さんは、高気圧酸素治療を数回行った後耳鼻科や眼科の診察を受けて、状態が改善したかどうか判断します。症状は安定しているが継続が必要と考えられる場合、担当医の判断で週2〜3回の施行とすることもあります。

icon_Q.png

副作用はありますか。

icon_A.png

もっともよく見られるのは酸素中毒です。治療中に頭痛や嘔気、嘔吐がおこります。症状が出たときは酸素マスクをはずします。耳抜きができないと耳痛や頭痛が強くなります。その際は前述の通りオトベント使用や鼓膜に穴を開けて対応します。

icon_Q.png

ダイビング後の減圧症治療はできますか。

icon_A.png

当院では減圧症の治療は行っておりません。

詳しくは担当医、担当技士にお尋ね下さい。