核医学診断

核医学(Nuclear Medicine)

核医学検査とは、放射性同位元素を標識した薬剤を投与し生体内から発せられるガンマ線を収集することにより画像を得る検査方法です。核医学検査に用いられる薬剤は特定の臓器に対する親和性を有するため、目的とする臓器の生理的な状態を非侵襲的に捉えることが出来ます。また、使用する薬剤の種類は目的とする臓器により異なり、中枢神経、循環器、呼吸器、消化器、泌尿器、内分泌、腫瘍・炎症など広い領域が対象臓器になります。今日のコンピュータ技術の向上により、生理的な生体内の薬剤分布の画像化に加えて、動態解析や統計解析など新たな画像解析法へと発展してきています。

当院では3台のガンマカメラ/SPECT装置が稼動しており、SPECT/CT装置を含む各装置により、SPECT(断層画像)や全身撮像、SPECT/CT融合画像による解剖学的局在診断をはじめ、集中治療室などにおける緊急検査にも対応できる体制を整え、あらゆる条件下での検査に対応しています(図1)。年間を通じて多くの検査を実施しています。当院には核医学専門医が在籍しており、専門医による読影報告や研修指導が行われています。

心電図同期SPECT画像撮像による左室壁運動評価は、現在では標準的な検査となっています。当院でも本手法を用いた検査・解析を行っております(図2)。

近年、心筋SPECTと心臓CTの融合画像により虚血性心疾患の包括的な診断が行われるようになってきています。当院でも融合画像作成ソフトウェアを導入し、一般臨床に用いています(図3)。これにより冠動脈病変の部位と心筋虚血の関係をとらえ、適切な治療法の決定に役立てています。図4は労作性狭心症の症例です。ステントを留置した既往があり、最近になって再び狭心症症状が出てきました。左冠動脈前下行枝におけるステント留置部の遠位に狭窄病変がみられ、これが狭心症の原因となっている病変であることが分かります。

核医学では、統計画像処理による認知症診断や、脳動脈閉塞症に対する脳虚血重症度の評価などにも取り組んでいます。

図1 SPECT(断層画像)専用3検出型撮像装置:PRISM 3000 図1 SPECT(断層画像)専用3検出型撮像装置:PRISM 3000

図2 Quantative Gated SPECT(QGS) による左室壁運動解析 図2 Quantative Gated SPECT(QGS) による左室壁運動解析

図3 心臓SPECT/CT融合画像の作成 図3 心臓SPECT/CT融合画像の作成

図4a 心臓CT図4a 心臓CT

図4b SPECT/CT融合画像 図4b SPECT/CT融合画像

PET(Positron Emission Tomography)

PET-CT装置

PETとは、ポジトロンを発生する放射性薬剤を投与し、薬剤から発生する陽電子が消滅する際に180度対向に放出される511KeVのγ線を検出することで生体内の薬剤の分布像を得る非侵襲的検査法です。PETで使用される代表的な放射性薬剤であるF-18デオキシフルオログルコース(2-[fluorine-18]-fluoro-2-deocxy-D-glucose;FDG)はグルコースと同様に代謝され、癌あるいは炎症などの糖代謝の亢進している組織は正常組織と比べ高集積として描出されます。PETの登場により、CT/MRIなどの形態画像とPETの代謝画像を併せて評価することで、癌を始めとする多くの疾患の診断に活用されています。

当院に隣接する健診医療センターはPET-CT装置2台が稼動しています。さらに同センターには乳房専用PET装置も併設し、乳房疾患の精密診断にも対応しています。健診医療センターでは多くの医療機関から依頼されるPET検査と同時に、健常者のPETによる癌検診も行っています。いずれのPET装置も、検査の終了から画像ができるまでの時間が短く、PET認定医のモニター診断に基づく適切な検査手順の選択が可能となっています。近年、PET像とCT像が同時に得られるPET-CT装置の普及で診断への活用が広がっています。当教室には核医学・PET認定医が在籍しており、PET-CTの臨床利用に取り組んでまいります。

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