学校法人日本医科大学 アクションプラン21:新病院建設プロジェクト

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INTERVIEW
“断らない医療”を貫くために
文京区千駄木という地域に根ざし、特定機能病院として高度先進医療を担っている日本医科大学付属病院。より安全で安心できる病院を目指して取り組んできた「アクションプラン21」について、学校法人日本医科大学・坂本篤裕理事長がメッセージをおくります。
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        1876年に長谷川泰により設立された「済生学舎」
       を前身とする日本医科大学では、2006年に創立
        130周年を迎えたことを機に千駄木地区再開発計
       画「アクションプラン21」をスタートさせまし
       た。長い歴史の中で関連施設の老朽化が進んだこ
       とを踏まえて着手されたこの取り組みは順調に進
       み、2017年8月に付属病院の竣工という一つの節
       目を迎えます。
       新病院が目指しているのは、すべての患者さんに
       対して“断らない医療”です。これは日本医科大学
       の建学の精神である「済生救民」の“究極の姿”と
       言い換えることができると考えています。この思
       いを実現するために、新病院では様々な新しい試
       みを取り入れています。
“断らない医療”実現の一つのアプローチとしてご紹介したいのが、総合診療部門の充実です。
総合診療部門においては、総合診療のスペシャリストが常駐し、専門各科と密接に連携しながら、24時間体制の救急対応を行います。症状に応じて24時間・365日、最もふさわしい対応を可能にしていきます。
また、ユニバーサル外来も新たな試みの一つです。
これは各科が固定の診療ブースを持つのではなくて、いくつかのブロックに分かれた診療ブースを共有して利用する外来システムです。例えば新型インフルエンザの症状の急増が疑われる際は感染症のブロックを拡大するなど、患者様のニーズによって診療体制の規模を柔軟に変えることが可能となります。
日本医科大学は伝統的に診療科間の垣根が低く、組織全体がオープンかつフラットで非常に風通しがよいという特徴を持っています。そのため診療科の違いを超えた横の連携が非常にスムーズです。ユニバーサル外来は、日本医科大学の有するこうした風土ならではの試みです。
重症部門の一元化にも取り組みました。
新病院では、手術室を中心に術後の管理を行うSICU、内科系重症患者管理を行うGICUや透析センターなどを一カ所にまとめました。検査部門も同様です。そのためレントゲン検査、内視鏡検査から生理機能検査まで、同じ場所で行うことが可能です。さらにCCUとSCUは救命救急センター内に配置し、一元化しています。このように院内区分けを明確にすることで院内感染等のリスクを最小化するとともに職員の負荷も軽減しています。
無論、医療技術は刻々と進化し、社会の環境も変わっていきます。「済生救民」の“究極の姿”を追究する取り組みに、これでいいという終わりがないのは当然のことです。日本医科大学では「アクションプラン21」に満足せず、今後もさらなる改革・改善を続けていく考えです。
次のステップとしては、新病院の竣工を受けて、“人”という重要な資源の再配置を行うことで、新病院のポテンシャルを最大限に引き出す体制を構築してまいります。さらに社会との連携を今以上に図っていくために、地域や国、さらには海外関係機関との一層の連携も図ってまいります。
今後の日本医科大学の取り組みに、どうぞご期待ください。
坂本 篤裕  ATSUHIRO SAKAMOTO
学校法人日本医科大学理事長
日本医科大学大学院疼痛制御麻酔科学分野 教授
昭和33年10月生まれ 岡山県出身
昭和58年日本医科大学卒業。米国Philadelphia Biomedical Research Institute客員研究員、防衛医科大学校麻酔学講座講師を経て、平成17年に日本医科大学麻酔科学講座教授に就任。新病院運営実行委員長を務め、平成26年から平成29年まで付属病院院長を務める。平成29年に学校法人日本医科大学理事長に就任。現在に至る。 (社)日本麻酔科学会理事等役職多数歴任。