当科の特色

我が国における消化器内視鏡診断・治療学の草分けである常岡健二元学長の就任後、68年には世界に先駆けて内視鏡的胃ポリープ切除術を行うなど、消化器病学の進歩に貢献してきた伝統ある消化器内科です。患者さんの立場に立った心の通った医療を理念とし、食道、胃十二指腸、小腸・大腸、肝臓・胆嚢・膵臓の 4部門が個々の外科、放射線科、病理部との随時連携による集学的診療を目指しています。また、内視鏡センターに常勤医を配置しているため、年間150例を超える重症消化管出血患者に対して常時迅速な対応が可能です。当科では全消化器疾患の診療を担当していますが、その中でも各診療グループの特筆すべき部分をご紹介いたします。

食道グループの特長は最新の21チャンネル高解像度食道内圧測定器を用いた胸やけ、嚥下困難を主症状とする食道運動機能能異常の診断が可能なことです。また食道アカラシアに対するバルーン噴門部拡張術を積極的に実施しています。

胃十二指腸グループでは胃がんに対する内視鏡的胃粘膜一括切除術(ESD)を積極的に行っており、07年は約50例に実施しました。外科的手術不能例には、化学療法チームが病態、患者さんの状態に合わせた治療を行っています。また、ヘリコバクターピロリ菌感染症例に対する除菌療法を積極的に導入しており、除菌失敗例に対する二次除菌も約80%の高い奏功率を得ています。

小腸・大腸グループではダブルバルーン小腸内視鏡検査法を年間100例前後施行しており、カプセル内視鏡検査との併用で、診断困難な消化管出血・小腸病変の診断治療に画期的な成果をあげています。また、潰瘍性大腸炎、クローン病など炎症性腸疾患についてはモノクローナル抗体治療、白血球除去療法などを取り入れた集学的治療を行っています。

肝臓・胆嚢・膵臓グループではB型、C型慢性肝炎に対する最新のエビデンスに基づいたインターフェロン、内服薬併用療法を行っており、治療終了後も専門医によるきめ細かい経過観察を心がけています。さらに重症急性肝炎、肝不全症例に対しては集中治療室、移植外科と連携するなど、あらゆる病態に備えた迅速な治療が可能です。肝がんに対する経皮的ラジオ波熱凝固療法(RFA)は年間約60例に行っており、肝動脈塞栓療法(TACE)と組み合わせて最大の治療効果が得られるように工夫しています。また、胆膵疾患には内視鏡的各種処置を適切に実施、切除不能の悪性腫瘍症例については積極的に外来化学療法を導入しています。