外来化学療法室

勝俣dr

勝俣 範之
がん診療センター長
腫瘍内科教授/部長/化学療法室長

 近年、各種がんに対する化学療法(抗がん剤治療)は免疫チェックポイント阻害剤をはじめ、新しく開発、承認された抗がん剤の出現により目覚ましい発展を遂げております。更に副作用対策の進歩により安全性も向上し、外来での抗がん剤治療が主流になってきました。このような状況の中、日本医科大学武蔵小杉病院は2021年に新棟に移転し、外来化学療法室を大幅に拡大、増床し、これまで以上に積極的に取り組んでいます。
 外来化学療法室の目的は、入院をせずに外来において安全にがん化学療法を実施することです。各診療科の化学療法を一つの部屋に集中させて行うことにより、安全で効率的な外来化学療法を実施できます。また、がん薬物療法専門医3名、がん看護専門看護師/がん化学療法看護認定看護師の資格を有する専任の看護師1名、緩和ケア認定看護師1名、精神看護専門看護師1名、外来がん治療認定薬剤師の資格を有する薬剤師1名が常勤することで、患者さまのQOL(生活の質)を高く維持するように配慮しております。また、患者さんからの電話等による緊急の相談等に24時間対応できる連絡体制を整備しています。また、緊急時には、患者さんが入院できる体制をとっています。実施する化学療法のレジメンについては、化学療法に携わる各診療科の医師の代表者、業務に携わる看護師、薬剤師、がん相談支援センター職員により構成されている化学療法評価委員会を毎月開催し、治療内容の詳細なエビデンスを審議し、承認されたレジメンのみを行うことにしています。


 当院の外来化学療法室は16台の電動リクライニングチェアと4台のベッドの合計20床を備え、患者さんのプライバシーを遵守するために、各ベッド間はカーテンで仕切られ、音楽を聴く事、読書、飲食などは思いのままに行うことが可能です。スタッフ一同、患者さんがリラックスした環境のなかで落ち着いて抗がん剤治療が受けられるように努力しております。

化学療法室1

化学療法室2

化学療法室3 外来がん化学療法を行う全診療科が対象ですが、現在では腫瘍内科、消化器科、外科、女性診療科、内科、泌尿器科を中心に1ヶ月平均300-350件、年間約4200件の抗癌剤治療を実施しております。対象疾患は胃がん、大腸がん、膵臓がん、食道がん、乳がん、肺がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、リウマチ性疾患など多岐にわたっておりますので、ご利用にあたっては前もって主治医にご相談いただきますようお願い申し上げます。
 当院でのがん薬物療法は、原則初回から外来化学療法としていますので、90%以上が外来通院治療となっています。これは、他のがん専門病院でも珍しいことと思います。外来に専門職を配置することで、病棟で実施するよりもより専門的、かつ安全な対応、すなわち、がん薬物療法の過敏性反応、嘔気・嘔吐、他の副作用に対するトリアージにも対応できることと思います。
 外来化学療法室には、化学療法の実施手順や副作用についての説明パンフレットを用意しておりますので、外来化学療法に関して不安なことやご質問がございましたら、お気軽にスタッフまでお問い合わせください。皆様のご意見をもとに、今後もより安全で快適な外来化学療法の実現のために、更なる環境整備や専門知識の導入に努め、質の高い医療の提供を目指していきたいと思います。


外来化学療法数実績(のべ実数、月ごと)

化学療法室集計


外来化学療法室スタッフ(2025年8月4日)

外来化学療法室スタッフ(2025年8月4日)

化学療法を受ける患者さんの地域別割合

 化学療法総数(患者のべ数) 5620件
 外来化学療法総数(患者数) 5395件(全体の96%)
 入院化学療法総数(患者数)   225件(全体の4%)

 入院患者の地域別割合
 中原区 129件(57%)
 二次医療圏 140件(62%)

 外来患者の地域別割合
 中原区 2646件(49%)
 二次医療圏(中原区、幸区、川崎区) 3015件(56%)
 川崎市北部 1194件(45%)
 川崎市以外の神奈川県 808件(27%)
 東京都大田区、世田谷区 98件(8%)
 東京都 299件(37%)
 その他の地域 79件(1%)


抗がん剤治療に関する相談窓口(保険薬局対象)

治療レジメンや患者さんの状況に関する相談・情報提供については下記へお気軽にご相談ください。

TEL:044-733-5181 (代表) 内線 3414 (月曜~金曜:8:30~16:30、土曜:8:30~15:30)

FAX:044-712-9228 (24時間受付)