脊椎脊髄外科
当院では、頚椎や腰椎の椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、頚椎後縦靭帯骨化症、胸椎黄色靭帯骨化症、頚椎症性脊髄症など、幅広い脊椎疾患に対する治療を行なっています。
従来の術式に加えて、小さな開創器や経皮的椎弓根スクリューを用いる事で、より患者さんの負担が少ない低侵襲手術を積極的に導入しています。さらにナビゲーションシステムや術中脊髄モニタリングを使用し、安全性の高い手術を提供できるように努めています。
経皮的椎体形成術(Balloon Kyphoplasty:BKP)
適応:胸椎・腰椎圧迫骨折
脊椎圧迫骨折は強い痛みを伴い、骨がさらに潰れるのを防ぐために、何週間もベッド上での安静が必要となることがあり、寝たきりになる可能性があります。当院では経皮的椎体形成術を早期に行うことで痛みを軽減し、できるだけ早くに普段の生活に戻っていただくことを目指しています。手術は全身麻酔下で20分ほどで終了します。背中から細い針を骨折した背骨に刺し、歯科治療でも使われる医療用の骨セメントを注入して補強します。術後は翌日より歩行を開始し、多くの患者さんは1週間後のレントゲン検査で問題がなければ退院となります。
骨折椎体内でバルーンを膨らませ、空間を作ってからセメントを注入します。
側方侵入腰椎椎体間固定術(eXtreme Lateral Interbody Fusion:XLIF)
適応:腰部脊柱管狭窄症, 腰椎変性すべり症、変性側弯症、腰椎分離症など
この術式は椎間板を取り除いてケージ(背骨を安定させるスペーサー)を設置する方法です。以前は大きな皮膚切開が必要でしたが、開創器や光源の進化により、数センチの傷で手術が可能となりました。日本では2013年に導入され、認定を受けた施設でのみ施行が許可されています。本術式では大きなケージを挿入できるため、曲がった背骨を矯正しやすいなどのメリットがあります。また側腹部から椎間板にアプローチすることで背筋を損傷することがなく、体への負担が少ないのが特徴です。適応となる病態には、この術式を選択しています。術後2日より歩行を開始し、2〜3週間で歩行が安定すれば退院が可能となります。
低侵襲脊椎制動術(Minimally Invasive Spine Stabilization:MISt)
適応:腰椎椎間板症, 化膿性脊椎炎、脊椎転移性骨腫瘍など
この術式は、脊椎の不安定性によって生じる痛みや病態を、小さな皮膚切開から器具を挿入する技術(経皮的椎弓根スクリュー)を用いて安定化させる方法です。具体的には、不安定性により炎症が治まりきらない化膿性脊椎炎、椎間不安定性が強い椎間板性腰痛、脊椎転移性骨腫瘍による腰痛などが適応となります。術後2日より歩行を開始します。
頸椎椎弓形成術(Cervical Laminoplasty:CLAP)
適応:頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア
頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアによる脊髄症に対する方法です。長期成績が安定しており、
多椎間に病態がある患者さんに適した治療法です。術後10-14日程度で退院可能です。
頸椎前方除圧固定術(Anterior Cervical Discectomy and Fusion:ACDF)
適応:頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア
頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニアで1〜2箇所の病変がある場合や、頚椎のアライメント(並び)が後弯している方などに適応されます。頚部前方に約4cmの皮膚切開を加え、顕微鏡を用いて椎間板を切除し神経の圧迫を除去します。椎間板を切除したスペースにはケージを挿入し、プレートで固定します。術後10-14日程度で退院が可能です。
お問い合わせ
日本医科大学千葉北総病院
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