子宮筋腫

子宮筋腫は子宮筋から生じた良性の腫瘍です。卵巣ホルモンであるエストロゲンによって発育し、生理がある女性の40~60%にみられるといわれる最も多い病気のひとつです。その治療法にはさまざまなものがあり、日本医科大学女性診療科ではそれぞれの治療法の特徴を十分に患者さんにインフォームドコンセントをして、最適な治療法を選ぶようにしています。
それでは以下に患者さから寄せられるご質問に答える形で当科における治療指針をご説明いたします。

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どんな症状があるのでしょうか?

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代表的なものとして、生理の出血量が増加してきます。症状が進むと出血の中にレバーのような血の塊が交じるようになり、貧血がみられるようになります。筋腫がさらに大きくなってくると、膀胱や腸を圧迫するようになります。また、不妊症や流・早産の原因にもなるといわれています。

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治療の方法と、指針について教えてください

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子宮筋腫の治療方針をたてるにあたり、まず考えなくてはならないのは、症状の有無とその程度です。筋腫が存在しても、貧血になったり圧迫症状が出たりしなければ、経過観察でいいのです。症状が軽ければ薬による対症療法が中心になってきます。一方、生活に支障をきたすほど症状が悪化したら、妊娠の希望の有無や子宮温存の希望の有無を考えながら、ホルモン療法などの薬物療法または手術、子宮動脈塞栓術などの治療法を選んでいきます。また、上記症状がなくても、筋腫が主な原因と思われる不妊症や流・早産の経験がある場合にも、積極的に手術が選ばれます。手術は条件が整えばなるべく腹腔鏡手術を薦めています。子宮温存を希望される方で、手術を希望されない方には子宮動脈塞栓術も行っています。以上をまとめると下図のようになり、日本医科大学女性診療科ではこの指針に従って治療を進めております。

治療方針

  • ※1:必要に応じて⼿術の前に⽤います。
  • ※2:⼦宮筋腫の⼤きさや数、癒着の有無により、腹腔鏡⼿術か開腹⼿術かを選択します。

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診断にはどんな検査が必要ですか?

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まず内診で子宮の大きさや可動性、痛みの有無をみます。そして超音波検査で腫瘍の性状を診断します。治療が必要な筋腫の場合にはMRIでさらに細かく診断していきます。貧血の有無や子宮癌との鑑別のため、血液検査や子宮癌検診も行います。

MRI画像

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お薬で治せますか?

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薬物療法は大きく2種類に分けることが出来ます

対症療法

貧血に対しては、止血剤と鉄剤を内服します。鉄剤はむかむか感などの胃腸症状が出ることがあるので、そういう時は胃腸薬を飲むか注射に切り替えます。
下腹部の痛みや生理痛に対しては、消炎鎮痛剤を用います。この時は生理開始前から飲み始めるとより効果的です。
漢方薬として、生理の量が多いときには桂枝茯苓丸が、生理痛には芍薬⽢草湯が有効です。

GnRH療法

GnRH作動薬という、卵巣から分泌されるエストロゲンというホルモンを抑え、筋腫を縮小させる作用のあるお薬を使います。鼻に毎日スプレーする方法と、皮下に月一回注射する方法があり、患者さの希望で使い分けています。使用している間には生理は来ないことが多いのですが、使い続けるとエストロゲンの低下による更年期障害がおきたり骨がもろくなってくるので、半年間しか使うことができません。使用終了後には生理は戻りますが、子宮筋腫もまた元の大きさに戻ってしまいます。したがって、GnRH作動薬は手術を受ける前、出血などの手術のリスクを下げるために用います。


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手術について教えてください

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手術は薬で症状をコントロールできない場合に行います。大きく分けて筋腫だけを取り子宮を残す筋腫核出術と、子宮をすべて摘出する子宮全摘出術とがあります。筋腫核出術は子宮を残せ、妊娠することもできますが、再発のリスクがあります。一方、子宮全摘出術は再発することはなく子宮癌に将来なることもなくなりますが、妊娠することはできなくなります。ただ、卵巣は摘出しないので、ホルモンバランスが崩れることはありません。このように核出術と全摘出術とは一長一短があるので、患者さの妊娠希望の有無やライフスタイルに合わせて選択していくようにしています。

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腹腔鏡手術がいいって聞きましたが

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腹腔鏡手術は腹部に小さな穴をあけ、そこから手術をする方法です。痛みが少ないので早く退院できる上、美容上も優れているので、近年すごく増えてきました。当科でも筋腫核出術、子宮全摘出術ともに腹腔鏡手術を積極的に行っています。ただ、筋腫の大きさや数によっては開腹手術を選択せざると得ないこともありますので、ご承知おきください。

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子宮動脈塞栓術について教えてください

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子宮へ栄養を供給している子宮動脈という血管にゼラチン様の物質を詰めることにより、子宮筋腫の血行を妨げ縮小させる方法で、放射線科の医師の協力により行われます。施行直後には痛みがあるので、通常2泊3日程度入院していただきます。手術ほどの効果はありませんが、手術を受ける体力のない方や受けたくない方にはお薦めです。欠点として卵巣機能や子宮内膜も障害されることが多いので、これから妊娠を考えられている患者さには行うことができません。また、現時点では保険適応となっていない点についてもあらかじめご承知おきください。当科では50万円を患者さにご負担いただいております。

お問い合わせ

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