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がん関連遺伝子CHEK2と23種のがん種のリスクを評価
-大規模ゲノム解析により個別化医療へ貢献-

国立研究開発法人理化学研究所
国立大学法人東京大学医科学研究所
国立研究開発法人国立がん研究センター
佐々木研究所附属杏雲堂病院
学校法人日本医科大学

要旨

 理化学研究所(理研)生命医科学研究センター基盤技術開発研究チームの竹原侑里大学院生リサーチ・アソシエイト、碓井喜明基礎科学特別研究員、桃沢幸秀チームディレクター(生命医科学研究センター副センター長)、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターシークエンス技術開発分野の松田浩一特任教授(同大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻クリニカルシークエンス分野教授)、日本医科大学先端医学研究所分子生物学部門の村上善則特命教授、国立がん研究センター研究所ゲノム生物学研究分野の河野隆志分野長、同中央病院遺伝子診療部門の平田真部門長(研究当時:東京大学医科学研究所癌・細胞増殖部門人癌病因遺伝子分野非常勤講師)、佐々木研究所附属杏雲堂病院遺伝子診療科の菅野康吉科長らの国際共同研究グループは、がん関連遺伝子であるCHEK2の病的バリアント[1]が乳がん、前立腺がんの発症リスクを上昇させることに加え、病的バリアントを持つ人におけるそれぞれのがんの特徴を明らかにしました。

 本研究成果は、CHEK2とがんの関連を、共同研究者であるプラハ・カレル大学のズデニェク・クレイブル教授らによる機能解析[2]結果も用いて初めて大規模に評価したものであり、遺伝診療の指針作りにつながることが期待されます。
 今回、国際共同研究グループは、バイオバンク・ジャパン[3]が収集した約11万人のDNAサンプルを用いて、CHEK2について23種のがん種横断的にゲノム解析を実施しました。バリアントの病原性評価に機能解析を加えたことで、日本で頻度の高い遺伝的バリアント[1]があることが分かりました。CHEK2病的バリアントが女性乳がんに加えて前立腺がんのリスクにも関わることが示され、それらのがんについて病的バリアント保持者の臨床的な特徴を明らかにしました。

 ※本研究は、科学雑誌『JCO precision oncology』オンライン版(9月2日付)に掲載されました。


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