東京大学
日本医科大学
東京大学大学院医学系研究科先端循環器医科学講座の野村征太郎特任准教授、同研究科システムズ薬理学の大出晃士講師、日本医科大学統御機構診断病理学の堂本裕加子准教授(2020年3月まで:東京大学大学院医学系研究科人体病理学)らによる研究グループは、重症心不全患者の心臓をプロテオーム解析し、左室補助人工心臓(LVAD)を装着した後に心臓機能が回復するかどうかを予測する因子を明らかにしました。さらにLVAD装着後に生じる心臓の状態変化に関わる因子を見出しました。
具体的には、LVAD装着後に心臓機能が回復する心不全患者さんの心臓では、ミトコンドリアタンパク質(中でもIDH2タンパク質)の量が多く、細胞外基質タンパク質(中でもPOSTNタンパク質)の量が少ない、という特徴があることがわかりました。さらに、IDH2およびPOSTNの量をLVAD装着時に調べることによって、その患者さんの心臓機能が回復するかどうかを事前に予測できることがわかりました。またLVAD装着後には、ミトコンドリアタンパク質は減少し、解糖系タンパク質は増加することがわかり、LVAD装着に伴って心臓の代謝がミトコンドリア代謝から解糖系にシフトすることが示唆されました。
本研究の成果により、LVADを装着する重症心不全患者において、心機能が回復する可能性を事前に予測できると期待され、プレシジョン・メディシンの発展に寄与する可能性が示されました。
※本研究は、科学雑誌『Circulation』オンライン版(11月25日付)に掲載されました。
※論文URLはこちら↓
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.124.073093
報道解禁(日本時間):11月25日 午前4時