子宮鏡手術

子宮鏡手術(レゼクトスコープ手術)は、子宮の内腔の病変部を、子宮口からアプローチする手術方法です。お腹に傷ができず、術後の回復が早いなど、さまざまな利点があります。ここでは日本医科大学女性診療科における子宮鏡手術について、患者様から多く寄せられるご質問にお答えする形でご説明いたします。

Q

子宮鏡手術ってどんな手術ですか?

A

まず子宮の内部に液体を注入し子宮を膨らませます。膨らんだ子宮の内部に、子宮口から内視鏡を入れ、子宮の内部をモニターで観察します。そしてモニターを見ながら、子宮内膜ポリープや子宮筋腫を電気メスで切開し摘出します。また止血処理をしたり、癒着をはがしたりすることも出来ます。当院では年間約30例の子宮鏡手術を行っております。

Q

子宮鏡手術のメリットを教えてください

A

子宮口から内視鏡を挿入して行なう手術ですので、お腹に傷がつきません。このため、開腹手術に比べて次のようなメリットがあります。

  1. 見えるところに傷はできませんので美容上大変優れております。
  2. モニターで観察しながら行いますので、安全で的確な病巣部の切除が可能です。
  3. 術後の痛みが軽減されます。
  4. お腹を切って子宮の内腔にアプローチする方法(開腹手術)ですと、子宮の筋肉を切開しなくてはなりませんので、出血が多くなります。子宮鏡手術では子宮口からダイレクトに子宮内腔にアプローチできますので出血も少なく済みます。
  5. お腹の中を操作することがありませんので、癒着による卵管閉塞や腸閉塞の心配がありません。
  6. 入院も短く、開腹手術に比べ早く退院できます。

Q

では子宮鏡手術のデメリットは?

A

子宮鏡は視野が限られているため、どうしても摘出可能な腫瘍の大きさに限界があります。また、子宮自体が収縮しやすいため、摘出操作の最中に手術の続行が困難になることがあります。そのような時には一度手術を終了し、二回に分けて摘出することもあります。子宮鏡は極めて低侵襲なため、このようなことも可能なのです。

Q

どんな病気が子宮鏡手術で治療できるのでしょうか?

A

子宮の内腔の病気が治療の対象となります。ただし子宮の筋肉の部分にくいこんでいる部分が大きい方は、子宮穿孔の危険がありますので出来ません。

  1. 子宮内膜ポリープ
  2. 子宮内膜増殖症
  3. 子宮筋腫(特に子宮粘膜下筋腫)大きさが4cm以下で、子宮内腔へ60%以上突出しているものが対象となります。
  4. 子宮内膜の癒着
  5. 子宮内部の奇形(中隔子)

Q

子宮鏡手術の合併症にはどんなものがありますか

A

まず、子宮に穴が開いてしまう子宮穿孔というリスクがあり、だいたい100回から90回に一度ぐらいの頻度で発生します。子宮腔という狭い空間での手術のため、超音波や腹腔鏡でモニターしながら筋腫などの切除を進めていきますが、子宮壁がうすくなると予期せぬ穿孔がおこることがあるのです。このような場合は、腹腔鏡手術、あるいは開腹手術に切り替えて、穴をふさぐ場合もあります。
もうひとつの合併症は水中毒で、800回に1回程度の頻度でおこります。これは手術時間が長くなると子宮の内部に注入した液体によって血液が薄くなる現象で、その多くは麻酔中に管理が可能です。ですから、一般的に手術時間は2時間を超えないようにした方がよく、手術が完遂しない時には無理せずに後日再び子宮鏡手術を行うようにしています。

Q

手術までの流れを教えてください

A

  1. 手術の説明を受けます。
  2. 手術が行なわれる週を予約します。
  3. 血液検査、心電図、胸部レントゲンを手術前検査として行ないます。
  4. 手術は原則として火曜日、木曜日、金曜日に行なわれます。

Q

入院期間とその後のスケジュールについて教えてください

A

  1. 手術前日までに担当医から手術説明があります。
  2. 手術前日に麻酔科外来で、麻酔法の説明があります。通常は脊椎麻酔が選択されます。
  3. 術後2日目頃までに退院となります。
  4. 術後2週間後に外来受診となります。
  5. 軽い仕事は1週間後、運動や旅行は2週間後に可能となります。

以上で簡単なご説明を終えさせていただきます。子宮内視鏡手術は患者様に優しい手術です。不明な点、確認したい点などがありましたら、遠慮なく外来スタッフにお尋ねください。

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