本教室のプロジェクトは、臓器別でいうと、循環器・内分泌代謝・神経の三臓器を主に対象とした研究から構成されており、2014年度から始動している。循環器領域では特に、非中枢性非神経性コリン作動系(a non"neuronal cardiac cholinergic system) という新たなシステムを心臓心筋細胞内に見出し、その心臓および心臓以外の新規生理学的機能について探索しており、新規治療戦略の基礎的概念の確立を目指している。内分泌代謝系領域ではDOHaD理論(Developmental Origins of Health and Disease:胎児期までの環境が素因となり、出生後環境との相互作用で疾患が発症する)にもとづき、発育遅延の原因メカニズムの探索とそれに対する治療戦略の研究を行っており、ユニークな介入方法が見つかりつつある。また、神経領域では、現代人にとって避けては通れないストレスとそのCRF受容体を介するストレス応答系等がいかに疾患発症に関わるかを、世界に先駆けて開発した新しいモデル動物を用いて神経変性疾患等への新規介入方法を探索している。
上記のプロジェクトは一見独立したテーマのように見えるが、実は、互いのシステムは密接に関係しており、DNA・細胞レベルのミクロ的解析をしつつ、同時に個体解析を通しマクロ的解析を行い、システム全体の理解を深めるのが本教室のスタンスである。