日本医科大学血液内科病棟では現在、スタッフ医師と研修医、合わせて12名以上の体制で日々およそ50人の血液疾患の入院患者さんの診療にあたっています。一般病棟のほか、無菌病室を備えており、造血細胞移植を年間約20例以上を行っています。私たち血液内科は専門性が高く重篤な患者さんも多いため、看護スタッフはもちろんのこと、薬剤部、緩和ケア部門、メンタルケア部門などと緊密な連携をとり、他の診療科とも忌憚なく意見交換を行えるようなチーム診療体制を整えています。診療はグループ制をとっており、1人の患者さんを3~4名の医師が担当します。週1回の部長回診をはじめ、病棟カンファレンス、グループカンファレンス、移植患者カンファレンス、骨髄検鏡カンファレンス、ジャーナルクラブなどを通して、患者さんの状態を多くの医師が的確に把握し、治療方針の決定をおこなうとともに、医師一人一人のスキルアップと知識の向上を日々研鑽しています。

学生教育も当科の大切な任務で、疑問を持ち、自分で調べることの大切さを学び、総合的診察能力を身につける契機になるような臨床実習を心がけています。研修医に対しては広く門戸を開いています。血液内科は腫瘍内科学の主要な柱の一つです。血液内科での研修を通じて、癌治療一般についての知識を身につけると同時に、患者さんの体に起こる一つ一つの問題を詳細にアセスメントし他科と連携しながら的確に解決できる総合診療能力を身につけることを目標としています。重篤な患者さんを診療する機会が多く、大変だと感じることもある半面、つらい治療をくぐりぬけて病気を克服された患者さんが病棟へ訪ねてきてくださったときの喜びは言葉では言い表せないものがあります。

患者さんに真摯に向き合うことができ、豊富な知識と経験を備え、チーム医療の一員として皆と協調して診療にあたることのできる医師を育成することが、私たちの使命であり願いです。

2014年11月に、血液内科の新病棟がオープンいたしました。なかでも無菌室は、移転前のお部屋と比べると、かなり広くなりましたし、お部屋からの眺望も格段に良くなりました。この病棟でスタッフ一同、心機一転、新たな患者さんを迎え、全力で治療にあたってゆく所存です。無菌室は6床あり、現状では、造血細胞移植をはじめとして、急性白血病の寛解導入療法時、重症再生不良性貧血の治療時など、高度な骨髄抑制が危惧される患者さんを中心に使用していただいておりますが、その他、悪性リンパ腫の治療などでも、骨髄抑制が強くなると予測される患者さんにつきましては、必要に応じて無菌室を使用していただいております。一昨年、当科では、移植総症例数が300例を突破しました。これまで積み上げてきた一例一例の症例を礎とし、今後も、一人でも多くの血液疾患の患者さんに元気を取り戻していただけるように、スタッフ一同頑張ってまいる所存です。患者さんに真摯に向き合うことができ、豊富な知識と経験を備え、チーム医療の一員として皆と協調して診療にあたることのできる医師を育成することが、私たちの使命であり願いです。

日々の診療はもちろん、研究と教育に力をそそぎ、一人でも多くの“良き医師”を育成すために私たちは勇往邁進いたします。


専門とする血液内科の主な疾患
• 鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血、悪性貧血など各種貧血症
• 白血球減少症、白血球増加症
• 白血病
• 骨髄異形成症候群
• 悪性リンパ腫、血球貪食症候群
• 骨髄腫、アミロイドーシス
• 多血症、血小板増加症、骨髄線維症
• 出血性疾患(血小板減少症、凝固異常など)