分子生物学
|
分子生物学部門 村上 善則 特命教授 |
がんや生活習慣病は多数の遺伝因子と環境因子に加齢が加わって発症します。従って、それら個々の要因の解明は、個人別、疾患別の予防、診断、治療法の開発に重要です。また、複雑な要因の解明には、大規模で長期的な追跡や分子群の網羅的解析が極めて有効です。私たちの研究室では、長年のがんとゲノム研究の発展として、10万人を超える企業の健康診断データを基盤とし、同意を得て収集したゲノム情報を含む様々な生体情報と統合情報解析することにより、個々人の疾患リスクを予測し、デジタルツインを構築して疾患予防を目指す研究に取り組んでいます。
また、2001年以来、がん関連遺伝子として解析を進めてきた免疫グロブリン・スーパーファミリー(IgSF)分子 CADM1を、小細胞肺がんの新規血清診断マーカー、治療標的として確立する研究も進めています。さらにIgSF研究を発展させて、がんの免疫チェックポイント(IC)に関わる新規分子対を、独自にクローン化した300以上のIgSF分子の網羅的結合解析により同定し、機能を検証して、新規IC阻害治療の開発へとつなげる研究も進めています。
主な研究テーマ:
1. 多層的生体情報の統合による疾患予防デジタルツインの構築
2. 細胞接着分子CADM1を標的とする小細胞肺がんの診断、治療の研究
3. 新規免疫チェックポイント分子の同定と阻害剤開発研究