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病院情報の公表

平成27年度日本医科大学武蔵小杉病院 病院指標

年齢階級別退院患者数

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 872 222 355 716 800 828 1285 1701 1184 209

平成27年度の全退院患者数は8,172人でした。幅広い年齢層の患者さんに入院されておりますが、最も多い年齢層は70~79歳で平成27年度は1,701人でした。少子高齢化の時代と言われており、60歳以上の患者さんの割合は53.6%となっています。NICU、GCUを有する当院は小児医療も充実しており、0~9歳の患者さんも10.7%を占めます。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満) 手術・処置等2 なし 65 6.82 5.72 0.00% 2.17  
070560xx99x6xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患 手術なし 手術・処置等2 6あり 31 4.03 32.56 0.00% 16.00  
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 29 7.00 6.31 0.00% 4.93  


様々な小児疾患に対応することを基本的な診療姿勢としております。小児科医は全ての臓器の診療を行うため一般外来とは別枠に専門の医師による特殊外来を設けて臓器別・疾患別に診療を行っております。しかしながら当院では対応できない特殊なケースにつきましては「患者様が第一」との観点から責任をもって他の専門施設にご紹介しています。

救急医療に関しましては、中部小児急病センターを午後7時~11時までの時間ではありますが365日行い一次救急患者を受け入れております。また、救急車を中心とした二次救急患者は川崎市の二次輪番に沿い行っております。

その他、健診等への保健所への医師の派遣、児童の結核検診、ぜん息事業への協力など地域保健事業への積極的な協力も行っております。さらに、川崎市学校児童生徒の心臓病、腎疾患、糖尿病検診にも一次検診から三次検診まで協力し疾病の早期発見に努力しております。

このように、武蔵小杉病院小児科は川崎市の小児医療において地域の中核病院としてその役割を果たしております。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 21 43.24 28.70 38.10% 82.29  
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病 なし 11 9.00 5.70 0.00% 61.18  
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病 なし 10 39.20 21.52 30.00% 77.40  


当科で治療する患者さんは地域内で頻度の高い外傷や疾患の急性期が中心です。早期からのリハビリ介入を行い、機能障害を最小にするよう努めています。

形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし 46 2.09 3.54 0.00% 72.04  
070010xx010x0x 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 14 6.43 6.14 0.00% 58.93  
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1 なし 12 4.50 5.12 0.00% 33.08  


当科における手術数ベスト3は、眼瞼下垂症、軟部腫瘍、皮膚皮下腫瘍です。

眼瞼下垂症とは、生まれつき、または加齢により眼瞼が下がり、物が見づらくなる病態を言います。頭痛や肩こりを伴うこともあります。当科では、眼科と協力しながら、機能面のみならず美容面にも十分に配慮し手術しております。

軟部腫瘍と皮膚皮下腫瘍は、腫瘍の存在部位が皮膚から浅いか深いかで区別され、脂肪の塊と言われる粉瘤(ふんりゅう)や脂肪腫、母斑(ほくろ)などがあります。また、これらの中にはケロイドという赤く盛り上がって拡大するキズあとの異常も含まれます。ケロイドは、いまだに原因不明の疾患であり、強い痛みや痒みを伴うため早期治療がとても大切です。手術だけでは再発率が高く、再発予防治療も合わせて行う必要があります。当科では専門外来を設置し、専門医が継続的にケロイドの状態にあわせた治療をしています。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 23 6.48 7.03 0.00% 28.35  
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 16 3.00 3.15 0.00% 61.13  
010230xx97x00x てんかん 手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 14 24.36 17.70 0.00% 34.71  


てんかん診療拠点病院(全国に8箇所)として指定を受けている当院は、てんかん外科治療や包括的てんかん治療が可能な神奈川県内随一の施設です。てんかん外科・機能的脳神経外科を特徴的領域としており、一般脳神経外科とともに幅広い専門分野をてんかんとしております。

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 なし 37 8.86 13.03 0.00% 69.32  
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 26 7.69 9.68 0.00% 25.23  
040200xx99x00x 気胸 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 10 5.30 8.28 0.00% 29.80  


当科における治療方針として、肺癌を含めたほぼ全例に胸腔鏡を併用した低侵襲手術を施行しており、治療成績の向上と生活の質(Quality of Life)重視の両立を図っています。

特に肺癌症例においては、外科、内科、放射線科、病理部の連携が重要であり、当院では定期的に肺癌症例検討会を行うことにより、迅速かつ適切な診断・治療方針(術式:肺葉切除術・区域切除術・部分切除術の選択)を決定、遂行しております。

また、近年肺癌症例の高齢化に伴い肺気腫・閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎(IP)などの呼吸器疾患を合併する手術症例が増加しております。このような症例において、呼吸器内科及び麻酔科と連携し、術前、術中・術後を通してのきめ細かな管理と、胸腔鏡手術(VATS)による低侵襲治療を徹底し、合併症リスクの低減に努めています。この結果、当科における肺癌手術症例の術後平均在院日数は4.6日(H27年)であり、術前も含めて約1週間の入院治療が可能です(糖尿病や抗凝固療法中など術前コントロールの必要な症例は除きます)。

また10~30代の若年者層が大半を占める自然気胸の手術治療(胸腔鏡下肺部分切除術)においては、術後平均在院日数は2.8日(H27年)であり、退院後早期の仕事・学業への復帰を可能としています。

心臓血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 13 19.69 25.69 0.00% 68.00  
050080xx0111xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 1あり 11 26.36 38.99 0.00% 67.36  
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等2 1あり 10 20.40 22.62 0.00% 71.10  


当科で対象となる疾患は、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞等)、心臓弁膜症、大動脈疾患(胸部大動脈瘤、大動脈解離、腹部大動脈瘤)、下肢閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤等です。これらに対して、冠動脈バイパス術、弁膜症手術(弁置換術・弁形成術)、胸部または腹部大動脈手術(人工血管置換術・ステントグラフト内挿術)、下肢バイパス手術、ストリッピング手術等を行っております。

小児外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 48 3.29 3.32 0.00% 2.90  
060170xx02xxxx 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 23 3.43 8.85 0.00% 2.39  
11022xxx02xx0x 男性生殖器疾患 陰嚢水腫手術等 定義副傷病 なし 22 3.36 4.80 0.00% 2.86  


当科で最も症例数が多いのは、鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の手術患者さんです。DPCの対象から除外されたため表には現れていませんが、平成27年度は61人の患者さんが入院しています。次いで「停留精巣 手術あり」48人、「閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等」(臍ヘルニア(でべそ)の手術)が23人、「男性生殖器疾患 陰嚢水腫手術等 定義副傷病なし」(陰のう水腫手術)が22人となっています。

小児外科の一般的な手術についてはほとんど2泊3日の入院で手術を行っています。

女性診療科・産科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120140xxxxxxxx 流産 105 1.42 2.34 0.00% 35.30  
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2 なし 73 15.85 20.87 1.37% 32.82  
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 59 11.00 10.18 0.00% 44.86  


当院では、NICUの併設もあり積極的に切迫早産及び早産に取り組んでいます。

子宮筋腫、子宮腺筋症に対して、薬物療法及び手術療法の多数の経験を有しています。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼 10 9.90 7.42 0.00% 66.40  
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり 片眼 9.57  
020180xx97x1x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2 あり 片眼 - 11.87  


 当院では、入院による治療は硝子体手術、緑内障手術などを中心に行っているが、白内障手術に関しても遠方から来院の場合などは入院による治療を行っています。しかし、入院治療の場合であっても早期離床を目的とし、外来診療での治療が可能な状態であればなるべく早く退院をし、社会復帰できるように対応している。また、硝子体手術の患者の中で糖尿病などの場合は、内科と連携し、全身状態を考慮した治療を常に行っている。

耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 73 8.73 7.76 0.00% 51.52  
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 70 9.44 8.20 0.00% 19.23  
030428xxxxxxxx 突発性難聴 25 7.80 9.60 0.00% 49.80  
慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎は古くは蓄膿症と言われていた疾患です。最近では平成27年7月に難病に指定された成人型喘息に合併する難治性の副鼻腔炎である『好酸球性副鼻腔炎』が増加しております。当院では厚生労働省の研究班の報告に基づいた正確な診断と、患者さんの症状、生活背景も考慮した治療を心がけております。

扁桃アデノイドの慢性疾患

成人の繰り返す扁桃炎は、増悪時に発熱や咽頭痛でつらいのみでなく、仕事や学校を休まないといけないなど患者さんの生活の質(QOL)を大きく損ない、このような場合は口蓋扁桃摘出術をお勧めします。また、小児のいびき、無呼吸は、成長に悪影響を及ぼし、寝起きの悪さや、イライラなどを引き起こすこともあります。小児の場合、その原因がアデノイドや扁桃の肥大にあることも多く、その場合はアデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術により症状の改善が期待できます。早期発見が大切ですので、お子様のいびき、無呼吸にお気づきの場合は一度ご受診をお勧めいたします。

突発性難聴

急激に発症する難聴で、明らかな誘因がなく、聞こえのセンサーである内耳に原因があると考えられるものを突発性難聴と言います。加療により改善する症例は66%程度と言われており、発症から2週間以上経過すると改善率が低下しますので、早期の受診をお勧めします。当院では保険診療上認められた標準的な治療を行っております。基本的に外来での加療を心がけておりますが、糖尿病などの合併症がある場合は2週間程度の入院加療を要します。

血管内・低侵襲治療センター

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070590xx97x0xx 血管腫、リンパ管腫 手術あり 手術・処置等2 なし 7.41  
050180xx97xx0x 静脈・リンパ管疾患 その他の手術あり 定義副傷病 なし 3.46  
070590xx99x0xx 血管腫、リンパ管腫 手術なし 手術・処置等2 なし 5.87  


当科は様々なIVR(画像下治療)(血管内・低侵襲治療)を行っていますが、そのほとんどが循環器内科、心臓血管外科、消化器科、形成外科、女性診療科・産科などとの連携下でおこなわれております。当センターが直接主科として治療に携わる疾患としては、いわゆる血管腫・血管奇形と下肢静脈瘤に対するIVRが代表的なもので、良好な治療成績が認められています。

神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x099000x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 33 20.52 15.80 15.15% 70.45  
010060x099030x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 3あり 定義副傷病 なし 32 24.00 18.08 34.38% 70.44  
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 7.03  


脳卒中が最も多いが、パーキンソン病など変性疾患、脳炎、髄膜炎、多発性硬化症、視神経脊髄炎など脱髄疾患、ギランバレー症候群など、炎症性末梢神経炎、重症筋無力症など、自己免疫疾患など、幅広い分野の神経疾患を診療している。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 37 8.30 8.97 2.70% 62.59  
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 28 10.50 11.97 0.00% 53.71  
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 10 7.00 10.49 0.00% 72.50  


皮膚科入院で多い疾患としては、帯状疱疹、急性膿皮症(蜂窩織炎、丹毒、糖尿病に伴う感染性膿皮症)、血管炎や膠原病、水疱症などの自己免疫性疾患である。帯状疱疹に対しては、抗ウイルス薬の点滴、痛みのコントロールを主に行っている。急性膿皮症には、原因菌の同定をもとに適切に抗生剤を選択し、必要に応じてテブリードマン、外用治療を施行している。自己免疫性疾患は診断から治療まで期間を要するが、良好な病状コントロールを実施している。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 39 11.05 7.59 0.00% 73.54  
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 23 7.22 5.91 0.00% 59.48  
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術 17 11.47 10.25 0.00% 71.82  


 泌尿器科ではエンドウロロジー(TURisBT、TURisP、TUL)の分野を手術としては得意としております。特に結石治療におけるTULにおいてはレーザーを用いたflexible TULにも積極的に取り組み、難治症例においても良好な成績を得ています。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99100x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 57 4.95 3.29 0.00% 70.84  
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 47 16.23 14.34 4.26% 67.60  
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 21 23.90 21.69 9.52% 76.71  


呼吸器内科の対象疾患で最も多いのが肺がんです。当科では肺がんを疑う症例について、原則として3日間の入院による気管支鏡検査を行っています。さまざまな合併症をもった高齢の方も多く、より安全な検査を心がけています。また気管支鏡による診断が困難な場合は、CTガイド下肺生検を、放射線科の協力の下に施行しています。

肺炎(特に誤嚥性肺炎)や間質性肺炎の場合、薬物療法のみでなく退院後の生活を考えた呼吸リハビリテーションを積極的に行っており、在院期間が全国平均に比べやや長い要因の一つと考えられます。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 212 3.14 3.07 0.00% 66.43  
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 98 4.51 4.87 0.00% 70.00  
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 38 3.11 3.22 0.00% 72.05  


当科では、心不全の予防・治療を最も重要視して日常診療を行っています。なぜなら、循環器疾患は悪性新生物につづく死亡率の高い疾患群であり、また、医療が最も費やされている領域でもあります。その中でも今最も重要な領域が心不全です。その心不全の原因の中で、虚血性心疾患に対する診断・治療は極めて重要で冠動脈造影検査および適応をしっかりとハートチームで検討し冠インターベンションを行っています。

腎臓内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
180040xx02x0xx 手術・処置等の合併症 内シャント血栓除去術等 手術・処置等2 なし 22 8.05 3.40 4.55% 76.09  
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 18 16.94 13.64 5.56% 61.28  
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 なし 18 18.44 23.89 0.00% 50.06  


当科では急性腎不全、慢性腎不全、ネフローゼ症候群およびその原因となる膠原病など幅広く診療を行っております。なかでも血液浄化療法(血液透析、腹膜透析など)の診療経験が多く、その導入については手術も含め全て当科で管理しております。

またネフローゼ症候群では腎生検による確定診断を行っており、治療についても一般的なステロイド療法の他に、各種免疫抑制療法、アフェレーシスやIgA腎症に対する扁桃腺摘出術とステロイドパルス療法などを行っております。

救命救急センター

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 101 1.86 3.58 3.96% 36.38  
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 15 14.13 21.69 26.67% 81.27  
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2 なし 12 2.50 3.71 0.00% 42.92  


  • 薬物中毒患者の多くは重度の意識障害をともなっており、呼吸循環を集中治療室で慎重に観察し、不測の事態が生ずれば迅速な処置を行う必要がある。中毒原因物質によっては、解毒剤や拮抗薬の投与、血液浄化療法を要する場合が少なからずあり、当施設では特殊な治療薬を準備している。自殺企図者については、意識回復後に精神科診療を必ず行っている。
  • 高齢者社会の到来により誤嚥性肺炎による呼吸障害患者が増加している。多くの場合は可逆的な呼吸障害なので、抗菌薬投与とともに補助呼吸療法を行い症状の改善を図っている。対象は高齢者が多いことから治療方針については、本人ならびにご家族と慎重に協議しながら治療を進めていく。
  • 外傷症例の多くは事故現場で受傷部位・程度を判断することは難しく、一定の基準を満たした外傷例は重症と考えて当施設に搬入されて来る。迅速な全身精査の上、緊急手術を含めた必要な処置が行われる。
  • 病院外心肺停止を含めた不整脈に対して、人工心肺、脳低温療法を含めた積極的な心肺脳蘇生を行っている。循環器内科と救命救急センターが連携し、迅速な心臓ペーシングや冠動脈血管内治療が行われている。

麻酔科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070350xx99xxxx 椎間板変性、ヘルニア 手術なし 9.53  


消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 31 11.42 11.98 0.00% 70.39  
060280xxxxxxxx アルコール性肝障害 20 18.40 16.76 5.00% 53.75  
060050xx99x00x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 16 7.06 10.55 0.00% 70.81  


肝細胞癌治療:消化器外科、放射線科、血管内低侵襲治療センターと連携し、集学的治療による根治を目指しています。一つの治療法にこだわらず、腫瘍占拠部位、個数、サイズ、背景肝予備能を評価し、最適な治療選択を行っています。

経皮的ラジオ波熱凝固療法:当科で実施します。超音波下に穿刺困難な症例では放射線科と共同でCTガイド下ラジオ波治療を行っています。また微小病変に対しては経皮的エタノール局注を選択することもあります。腫瘍径の大きい病変については焼灼範囲の拡大を目的に肝動脈塞栓療法を先行します。

肝動脈塞栓術:血管内低侵襲治療センターに依頼していますが、治療戦略については術前に協議し、対象病変、治療薬を選択しています。
尚手術可能症例については消化器外科と随時連絡し、検査の重複を避け、手術待機時間を短縮しています。症例によっては全身麻酔開腹下ラジオ波治療も行っています。

肝内胆管癌治療:当科は診断、手術不能例の診療が中心であり、手術不能症例については積極的に各種ステント留置により減黄、検査数値異常の正常化を図り、早期退院、通院治療を心がけています。

アルコール性肝障害の診療:入院管理下の断酒による諸病態、検査異常の改善を図ります。しばしば認められる腹水貯留、特発性細菌性腹膜炎については、腎機能保護を第1に補液、抗生物質投与、利尿剤投与量の調節を行い、腹水穿刺排液は必要最小限にとどめています。また腸内細菌浄化を積極的に導入しています。

消化器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx0200xx 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 43 8.21 7.84 0.00% 58.05  
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 31 13.97 17.41 3.23% 70.39  
060150xx03xx0x 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 定義副傷病 なし 29 5.59 5.56 0.00% 39.03  


表は当科で入院治療される疾患の中で比較的多いものを示しています。

一番上はいわゆる胆嚢疾患、代表的なものは「胆石症」で、胆嚢内部に結石ができることにより、疼痛や炎症を引き起こします。その他には胆嚢腺筋症、胆嚢ポリープ、早期の癌(粘膜にとどまるもの)などが挙げられます。一般にこれらが診断された時点で胆嚢に炎症が無いか軽度の場合は手術に必要な検査ののちあらためて待機手術とします。ところが、なかには急性胆嚢炎と呼ばれる緊急処置を要する状態で来院される患者さんも少なくなく、この際には診療ガイドラインに従い可及的速やかに手術を行います。通常はクリニカルパスと呼ばれる手術の日程表に従い4-5日で退院しますが、当科の平均在院日数が全国平均よりやや長いのは、このような急性炎症を伴う症例や重症例が多いからではないかと考えています。

2番目は結腸癌(大腸癌のうち直腸癌を除いたもの)の手術症例です。当科では多くを腹腔鏡手術で行っていますので、術後の回復が早く在院日数は全国平均より3.4日短縮しています。3番目は一般に「盲腸」と呼ばれている正確には「虫垂炎」に対する手術です。現在当科ではすべての症例で腹腔鏡手術を行っております。

内分泌・糖尿病・動脈硬化内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 32 14.19 15.35 0.00% 61.78  
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 11 5.27 6.55 0.00% 45.00  
100060xxxxxxxx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 14.30  


内分泌・糖尿病・動脈硬化内科では、2型糖尿病をはじめとする生活習慣病や1型糖尿病の血糖コントロールや合併症の検査を行っております。そして患者さんの個々の生活を考慮した生活指導を、医師のみでなく看護師、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーといった多業種のメディカルスタッフが連携をとりながら行っております。また周術期の血糖管理も該当する科と共に行っております。

下垂体、甲状腺、副腎疾患など内分泌疾患に対しても、各種ホルモン負荷試験などの内分泌学的検査や、治療を行っております。外科的治療を行う場合には、脳外科、内分泌外科、消化器センターと合同で治療にあたっています。

乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2 なし 39 6.33 6.79 0.00% 55.79  
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 手術・処置等2 なし 24 10.29 10.37 0.00% 56.92  
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし 19 11.47 11.63 0.00% 56.05  


乳がんは女性がかかる最も多い悪性腫瘍で、日本では12人にひとりが乳がんになるとされています。しかも働き盛りの40歳代、50歳代に多いという特徴があります。乳がんの治療は癌の進行度(腫瘍量)と癌の性格(サブタイプ)に合わせた治療が行われています。手術を中心とした局所療法と薬物による全身療法の組み合わせで治癒を目指します。

外科治療は乳房の手術とリンパ節の手術となります。当院では乳房における癌の広がりを精密に調べて的確に切除することを心がけています。乳房を温存する乳房部分切除、乳房切除と形成外科と連携した乳房再建、乳頭温存乳房切除など患者さんの意向を尊重して術式を選択しています。

新生児内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 75 4.81 6.17 1.33% 0.00  
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 57 12.21 11.59 0.00% 0.00  
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 2あり 24 20.25 27.54 0.00% 0.00  


当科は地域周産期母子医療センターの指定を受けているので、ハイリスク妊娠として母体搬送されたのちに当院産科で出生に至った早産、低出生体重児の診療が中心となっています。当院外で出生した病的新生児であっても新生児搬送によって積極的に受け入れを行っているので、比較的体格の大きな出生体重2500g以上の場合で転院率に反映されています。平均在院日数は、とくに出生体重が小さく、呼吸管理などの処置を伴った重症度のより高い新生児の場合で全国平均より短縮されており、高度な新生児集中治療が実践されていることの証左となっています。

腫瘍内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120010xx99x60x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 6あり 定義副傷病 なし 23 2.48 5.06 0.00% 60.83  
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 5あり 定義副傷病 なし 19 3.74 5.17 0.00% 55.63  
120010xx99x40x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 16 3.31 5.11 0.00% 59.44  


入院患者数一覧です。当科は外来化学療法患者が中心となりますので、入院患者は限られた患者数となります。

内分泌外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100020xx01x0xx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等2 なし 14 6.71 9.55 0.00% 57.21  
100220xx03xxxx 原発性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺腫瘍 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術 副甲状腺(上皮小体)摘出術等 8.67  
100140xx97xxxx 甲状腺機能亢進症 手術あり 9.92  


2011年11月内分泌外科専門医常勤開始来、手術適応のある甲状腺癌、バセドウ病、腺腫様甲状腺腫、原発性副甲状腺機能亢進症、続発性副甲状腺機能亢進症の症例を年間約30例入院診療している。

診断に基づく予定術式決定、術前評価、インフォームドコンセントを入院1週間前までに外来で終了。入院術前処置を有する特別な合併症等がない限り手術前日入院、術後5日目退院で対応している。

病棟診療は患者説明用も含む上記疾患共通の専用クリニカルパスに基づいて遂行している。

保存的制御困難な甲状腺機能亢進症を伴うバセドウ病では内分泌内科入院→当科転科(各々併診)、続発性副甲状腺機能亢進症の大半を占める慢性腎疾患に基づく腎性副甲状腺機能亢進症では当院血液浄化治療に対する腎内科併診入院で対処。高カルシウムクリーゼを伴う緊急入院後の原発性副甲状腺機能亢進症症例にも内分泌内科と併診協力しながら対応している。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数


  初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 57 11 14 12 1 7
大腸癌 21 30 18 30 1 7
乳癌 40 27 14 1 7
肺癌 27 11 23 33 50 1 7
肝癌 11 53 1 7


※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

【胃癌・大腸癌・肝癌】消化器外科  

消化器外科では5大癌のうち胃癌、大腸癌、肝癌の診断・治療を行なっています。

胃癌は近年検診の普及やヘリコバクター・ピロリ菌の除菌などにより減少傾向ですが、当科は内視鏡センターを併設しており、年間3500例以上の胃内視鏡検査を行っていることから比較的早期の癌を発見し治療に結びつけています。表のStage I (57例) とは癌の深達度(胃の壁を貫く深さ)が粘膜内にとどまり、かつリンパ節転移があっても2個以下、あるいは筋層までにとどまりリンパ節転移のないものをさしますが、これらに対しては内視鏡治療や腹腔鏡手術などの患者さんにとって侵襲の少ない治療が行われます。さらに病気が進行したStage IIやIIIの患者さんには手術に加えて、術前・術後に化学療法(抗癌剤治療)を組み合わせることによって治療成績の向上につながっています。遠隔転移を有するStage IVや再発症例は根治することが困難ですが、QOLを重視した化学療法や緩和治療をそれぞれの患者さんに合わせて個別治療を提供しています。

大腸癌はわが国では食事の欧米化に伴って増加している疾患です。現在女性の癌死亡率の第一位になっています。大腸癌は早期の癌はほとんどが無症状であり、胃癌ほど検診が普及していないこともあり、進行した状態で来院される患者さんも多いのが現状です。表のStage I(21例)とは癌の深達度(腸の壁を貫く深さ)が粘膜内または筋層までにとどまりリンパ節転移のないものをさしますが、このうちさらに粘膜の浅い部分に限局しているものに対しては内視鏡治療が行われます。その他のStage I、Stage II、Stage IIIに対しては当施設ではほとんどの手術を腹腔鏡による低侵襲治療を行っています。胃癌と同様一部のStage II、Stage IIIに対しては術後に化学療法を併用して再発リスクを軽減するよう努めています。また近年Stage IVや再発大腸癌に対する化学療法が著しく進歩し、生存期間が20年前に比べると3-5倍に延長しています。なかには完治する症例も報告されるようになりました。一般に抗癌剤と言うと、長期入院で嘔吐・脱毛・下痢などの副作用に悩まされるイメージがありますが、大腸癌では基本的に外来通院で行います。化学療法室という専門スタッフが配置された治療センターでリクライニングチェアーに座ってリラックスした状態で行います。これに並行して病気の進行による症状に対しては緩和ケアチームがサポートにあたります。

肝癌は大きく分けて原発性肝癌と転移性肝癌(他臓器癌が肝臓に転移した)に分かれます。原発性肝癌も肝細胞癌、胆管細胞癌、嚢胞腺癌など種類が多様です。最も多い肝細胞癌は腫瘍の個数や大きさなどからstageが決定されます。治療法も多岐に渡り、手術療法、血管内カテーテル療法(TACE)、局所療法(アルコールラジオ波、放射線)、全身化学療法が代表的です。治療法の決定はstageと肝臓の状態(肝予備能、ウイルス性肝炎、肝硬変、肝不全など)を考慮して総合的に判断します。当科の特徴は、内科専門医チームと外科専門医チームが診断から治療、治療後の全ての段階において綿密な連携の元、対応に当たっている事です。例えば、C型肝炎を合併した肝細胞癌術後の再発リスクは肝機能の維持と大きな関連があり、内科専門医による術後の肝炎治療がなくては良好な予後が期待できません。手術療法では、腹腔鏡手術も安全を考慮して取り入れております。肝細胞癌の治療成績の向上はこれら集学的治療が滞りなく行える環境が整ってはじめて可能となります。胆管細胞癌や嚢胞腺癌においても術前診断から、術前処置、手術療法、全身化学療法と内科、外科が一体となって対応しています。胆管細胞癌は胆管が詰まる事が原因で起こる閉塞性黄疸も少なくなく、治療前に内視鏡的ドレナージ(排液)、経皮的ドレナージを合同で行っています。Stage4Aまでは手術療法を中心に考えます。手術療法では、拡大肝切除を必要とすることも多く、術前に切除する肝臓の血管を遮断(塞栓)し、残肝を大きくして安全に手術を行う門脈塞栓術や、門脈、肝動脈合併切除・再建術なども積極的に行っています。

【乳癌】乳腺外科

乳がんは女性がかかる最も多い悪性腫瘍で、日本では12人にひとりが乳がんになるとされています。しかも働き盛りの40歳代、50歳代に多いという特徴があります。乳がんの治療は癌の進行度(腫瘍量)と癌の性格(サブタイプ)に合わせた治療が行われています。手術を中心とした局所療法と薬物による全身療法の組み合わせで治癒を目指します。外科治療は乳房の手術とリンパ節の手術となります。当院では乳房における癌の広がりを精密に調べて的確に切除することを心がけています。乳房を温存する乳房部分切除、乳房切除と形成外科と連携した乳房再建、乳頭温存乳房切除など患者さんの意向を尊重して術式を選択しています。また、リンパ節の手術では郭清が必要な症例を除き、アイソトープを用いたセンチネルリンパ節生検を基本術式をして、リンパ浮腫の原因となる腋窩郭清の省略にも取り組んでいます。

【肺癌】呼吸器外科

当科における治療方針として、肺癌を含めたほぼ全例に胸腔鏡を併用した低侵襲手術を施行しており、治療成績の向上と生活の質(Quality of Life)重視の両立を図っています。

特に肺癌症例においては、外科、内科、放射線科、病理部の連携が重要であり、当院では定期的に肺癌症例検討会を行うことにより、迅速かつ適切な診断・治療方針(術式:肺葉切除術・区域切除術・部分切除術の選択)を決定、遂行しております。

また、近年肺癌症例の高齢化に伴い肺気腫・閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎(IP)などの呼吸器疾患を合併する手術症例が増加しております。このような症例において、呼吸器内科及び麻酔科と連携し、術前、術中・術後を通してのきめ細かな管理と、胸腔鏡手術(VATS)による低侵襲治療を徹底し、合併症リスクの低減に努めています。この結果、当科における肺癌手術症例の術後平均在院日数は4.6日(H27年)であり、術前も含めて約1週間の入院治療が可能です(糖尿病や抗凝固療法中など術前コントロールの必要な症例は除きます)。

また10~30代の若年者層が大半を占める自然気胸の手術治療(胸腔鏡下肺部分切除術)においては、術後平均在院日数は2.8日(H27年)であり、退院後早期の仕事・学業への復帰を可能としています。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

  患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 27 9.81 51.22
重症度 1 29 16.17 70.72
重症度 2 19 19.32 73.00
重症度 3 15 23.80 84.27
重症度 4
重症度 5
不明


軽症の方は比較的低年齢であり、重症度3以上で示される重症から最重症の方はより高齢であることがわかります。肺炎はわが国では死因の第3位であり、その多くが高齢者であることを反映していると考えられます。治療は抗生物質などの薬物療法と、呼吸不全の管理が中心です。酸素療法をはじめ、多様な医療機器(ネーザルハイフロー、NPPVなど)を用い、それぞれの患者さんに対応した治療を行っています。

脳梗塞のICD10別患者数等

ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内
その他        
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内        
その他        
I63$ 脳梗塞 3日以内 88 27.56 71.58 18.03%
その他 34 21.88 68.15 5.74%
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内        
その他        
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内        
その他
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内        
その他        


脳神経外科

 脳梗塞については、幅広い疾患群を対象に診療を行っている。

神経内科

川崎市は脳卒中診療の激戦区であり、脳卒中急性期患者の日本医科大学武蔵小杉病院への救急搬送は少ない。しかしながら、クリニックとの連携を密にしているため、外来に直接来院される軽症の紹介患者は多い。詳細かつ迅速な神経学的診察と頭部MRIなどの診断機器を駆使し、軽微な脳卒中も見逃さない。重症の脳卒中患者のほとんどは、在宅復帰は実現するものの、社会復帰は困難な例が多い。しかしながら、当院に搬送されるような軽症の脳卒中患者は、適切な診療とリハビリテーションにより社会復帰できる可能性がある。したがって、いかに軽症であっても入院での加療を原則とし、ほとんどの患者で入院翌日にはリハビリテーションスタッフの介入を依頼している。また患者支援センターを中心とした転院サポートも充実しており、回復期リハビリテーション病院へのシームレスなリハビリテーション環境継続を提供している。認知症を合併している場合、多くの病院で診療拒否・中断を余儀なくされる。当院は、神経内科専門医・認知症看護認定看護師・社会福祉士で構成される「認知症ケアチーム」を創設した。「認知症ケアチーム」は、病棟と連携し、認知症症状の悪化の予防・入院生活の環境整備・認知症患者とスタッフの円滑なコミュニケーション方法に介入する。定期的なカンファレンスを実施し、各病棟を回診して、認知症ケアの実施状況を把握するとともに、患者家族・病院スタッフに助言をする。これにより、認知症患者であっても、必要な脳卒中診療を受けることが可能である。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)

小児科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K300 鼓膜切開術  
K331 鼻腔粘膜焼灼術  
K7151 腸重積症整復術(非観血的なもの)  


様々な小児疾患に対応することを基本的な診療姿勢としております。小児科医は全ての臓器の診療を行うため一般外来とは別枠に専門の医師による特殊外来を設けて臓器別・疾患別に診療を行っております。しかしながら当院では対応できない特殊なケースにつきましては「患者様が第一」との観点から責任をもって他の専門施設にご紹介しています。

救急医療に関しましては、中部小児急病センターを午後7時~11時までの時間ではありますが365日行い一次救急患者を受け入れております。また、救急車を中心とした二次救急患者は川崎市の二次輪番に沿い行っております。

その他、健診等への保健所への医師の派遣、児童の結核検診、ぜん息事業への協力など地域保健事業への積極的な協力も行っております。さらに、川崎市学校児童生徒の心臓病、腎疾患、糖尿病検診にも一次検診から三次検診まで協力し疾病の早期発見に努力しております。

このように、武蔵小杉病院小児科は川崎市の小児医療において地域の中核病院としてその役割を果たしております。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 21 5.81 30.24 33.33% 78.29  
K0463 骨折観血的手術(足) 等 11 1.82 4.73 0.00% 43.73  
K0484 骨内異物(挿入物を含む。)除去術(足) 等 11 1.09 1.45 0.00% 48.82  


武蔵小杉病院整形外科では表記のような四肢外傷全般に対する手術を中心に脊椎外傷及び頸椎症などの慢性疾患に対する手術を実施しています。

形成外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2193 眼瞼下垂症手術(その他のもの) 26 0.00 1.15 0.00% 74.15  
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 21 0.00 1.05 0.00% 73.86  
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(躯幹) 等 17 1.53 3.76 0.00% 58.94  


当科における手術数ベスト3は、眼瞼下垂症、軟部腫瘍、皮膚皮下腫瘍です。

眼瞼下垂症とは、生まれつき、または加齢により眼瞼が下がり、物が見づらくなる病態を言います。頭痛や肩こりを伴うこともあります。当科では、眼科と協力しながら、機能面のみならず美容面にも十分に配慮し手術しております。

軟部腫瘍、皮膚皮下腫瘍は、腫瘍の存在部位が皮膚から浅いか深いかで区別され、脂肪の塊と言われる粉瘤(ふんりゅう)や脂肪腫、母斑(ほくろ)などがあります。また、これらの中にはケロイドという赤く盛り上がって拡大するキズあとの異常も含まれます。ケロイドは、いまだに原因不明の疾患であり、強い痛みや痒みを伴うため早期治療がとても大切です。手術だけでは再発率が高く、再発予防治療も合わせて行う必要があります。当科では専門外来を設置し、専門医が継続的にケロイドの状態にあわせた治療をしています。

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K154-2 顕微鏡使用によるてんかん手術(側頭葉切除術) 等 15 5.20 28.47 6.67 34.73  
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 13 1.31 37.54 23.08 66.15  
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 等 13 2.08 16.31 15.38 77.85  


てんかん診療拠点病院(全国に8箇所)として指定を受けている当院は、てんかん外科治療や包括的てんかん治療が可能な神奈川県内随一の施設です。てんかん外科・機能的脳神経外科を特徴的領域としており、一般脳神経外科とともに幅広い専門分野をてんかんとしております。

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの)) 30 4.63 3.43 3.33 29.00  
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 25 4.00 4.84 0.00 68.08  
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除)  


当科における治療方針として、肺癌を含めたほぼ全例に胸腔鏡を併用した低侵襲手術を施行しており、治療成績の向上と生活の質(Quality of Life)重視の両立を図っています。

特に肺癌症例においては、外科、内科、放射線科、病理部の連携が重要であり、当院では定期的に肺癌症例検討会を行うことにより、迅速かつ適切な診断・治療方針(術式:肺葉切除術・区域切除術・部分切除術の選択)を決定、遂行しております。

また、近年肺癌症例の高齢化に伴い肺気腫・閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎(IP)などの呼吸器疾患を合併する手術症例が増加しております。このような症例において、呼吸器内科及び麻酔科と連携し、術前、術中・術後を通してのきめ細かな管理と、胸腔鏡手術(VATS)による低侵襲治療を徹底し、合併症リスクの低減に努めています。この結果、当科における肺癌手術症例の術後平均在院日数は4.6日(H27年)であり、術前も含めて約1週間の入院治療が可能です(糖尿病や抗凝固療法中など術前コントロールの必要な症例は除きます)。

また10~30代の若年者層が大半を占める自然気胸の手術治療(胸腔鏡下肺部分切除術)においては、術後平均在院日数は2.8日(H27年)であり、退院後早期の仕事・学業への復帰を可能としています。

心臓血管外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)(2吻合以上のもの) 17 9.29 15.65 0.00% 70.82  
K5551 弁置換術(1弁のもの) 15 10.87 16.80 0.00% 67.53  
K5606 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。)(腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)) 11 6.82 13.18 0.00% 71.36  


当科で行っている手術は、冠動脈バイパス術、弁膜症手術、胸部または腹部大動脈手術、下肢バイパス手術、ストリッピング手術等を行っております。

冠動脈バイパス術は、ほとんどの症例において人工心肺を使用しないオフポンプ手術で行い、弁膜症手術に関しては、自己弁を温存する弁形成術を積極的に行っております。また、胸部または腹部大動脈手術に関しては、人工血管置換術のみならず、血管内・低侵襲治療センターと協力の上、カテーテル治療(ステントグラフト内挿術)を行っております。

小児外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 ヘルニア手術(鼠径ヘルニア) 61 1.26 1.10 0.00% 3.64  
K836 停留精巣固定術 48 1.25 1.02 0.00% 2.90  
K6333 ヘルニア手術(臍ヘルニア) 23 1.43 1.00 0.00% 2.39  


鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)、陰のう水腫、停留睾丸、臍ヘルニア(でべそ)など小児外科の一般的な手術だけでなく、新生児(赤ちゃんの)外科疾患、呼吸器・消化器・泌尿器外科疾患、悪性腫瘍など幅広い小児疾患が対象となります。また手術の傷が目立たないように腹腔鏡下手術や小切開手術に積極的に取り組んでいます。

最も多い手術は、鼠径ヘルニア(脱腸)で平成27年度61人です。次いで、停留精巣(48人)、臍ヘルニア(23人)となっています。

女性診療科・産科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9091 流産手術(妊娠11週までの場合) 103 0.05 0.30 0.00% 35.58  
K861 子宮内膜掻爬術 78 0.12 0.67 0.00% 44.12  
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(開腹によるもの) 65 1.88 9.55 0.00% 40.72  


当院では卵巣腫瘍に対して十分な術前検査を施行後、手術に取り組んでいます。卵巣腫瘍に対しては内視鏡専門医による腹腔鏡を用いた手術も積極的に行っています。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 712 0.00 0.20 0.00% 74.96  
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他のもの) 17 1.06 2.35 0.00% 65.24  
K2821イ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(縫着レンズを挿入するもの) 等 15 0.67 0.27 0.00% 79.07  


手術治療の中で白内障が大半を占めているが、手術時に挿入する眼内レンズの種類は患者の生活スタイルに大きく影響するため、手術前によく理解していただき、それぞれの生活様式にあった眼内レンズを選択するようにしている。また、超音波を使った白内障手術は安全性が高く世界中で広く普及しているが、当院ではその安全性をさらに高める為に様々な基礎的な実験を繰り返し検証し、目に優しい手術を提供している。また、先進医療認定施設でもあり、多焦点眼内レンズも行っている。

硝子体手術も施行しており、大学の総合病院である強みを生かし、全身麻酔による手術から局所麻酔による手術まで対応可能である。

耳鼻咽喉科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 74 1.42 7.32 0.00% 16.24  
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 38 1.50 6.68 0.00% 54.68  
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 27 1.70 6.74 0.00% 50.41  


扁桃摘出術

成人の繰り返す扁桃炎は、増悪時に発熱や咽頭痛でつらいのみでなく、仕事や学校を休まないといけないなど患者さんの生活の質(QOL)を大きく損ない、このような場合は口蓋扁桃摘出術をお勧めします。また、睡眠時無呼吸の原因が扁桃肥大にある場合は、口蓋扁桃摘出術とともに、軟口蓋形成術を行いのどの空間を広げる手術を行います。特に小児のいびき、無呼吸は、成長に悪影響を及ぼし、寝起きの悪さや、イライラなどを引き起こすこともあります。小児の場合、その原因がアデノイドや扁桃の肥大にあることも多く、その場合はアデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術により症状の改善が期待できます。早期発見が大切ですので、お子様のいびき、無呼吸にお気づきの場合は一度ご受診をお勧めいたします。

内視鏡下副鼻腔手術3型、4型

顔の中の副鼻腔という空洞に、細菌などが貯留している状態を慢性副鼻腔炎(蓄膿症)といいます。副鼻腔は、副鼻腔換気排泄路と呼ばれる狭い交通路を介して鼻腔と連結しており、正常な副鼻腔は空気で充たされています。しかし換気排泄路がうまく機能せず副鼻腔に空気が入りにくくなると、副鼻腔内に炎症をきたし粘性鼻汁の貯留やひどい場合は鼻茸と呼ばれる炎症性のポリープが発生します。この状態が慢性化したものを慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と呼びます。鼻汁、後鼻漏および鼻閉などを生じます。通常、2、3ヶ月の薬剤治療を施行して改善のない場合や鼻茸が多発しており薬剤では改善が見込まれない場合手術加療となります。

内視鏡下鼻副鼻腔手術とは鼻の内側から内視鏡という約直径4mmのカメラを入れて閉鎖してしまった換気排泄路を開放し、病的な粘膜や鼻茸、貯留物(鼻汁)を除去していきます。なお手術前の画像所見などを参考に病変の範囲を確認して開放する副鼻腔の数によって3型と4型に分類されます。従来の手術に用いられていた口腔粘膜あるいは前額部皮膚の切開が不要であり、副鼻腔粘膜の大部分が保存されることから、低侵襲で後遺症も少なく、現在副鼻腔炎の手術療法として最も行われている手術です。しかしながら、眼や脳の副損傷という合併症もあり、最近の米国、そしてわが国の報告でも、耳鼻咽喉科における医療事故の中で副鼻腔手術の合併症がトップに上がっているほどです。そのため、若手医師は積極的に学外の講習会や学会のプログラムなどに参加させ、複雑な手術に対応できるスキルや最新の手術方法を習得し、より安全で低侵襲な手術に取り組んでおります。

血管内・低侵襲治療センター

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの)  
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術  


当科は様々なIVR(画像下治療)(血管内・低侵襲治療)を行っていますが、そのほとんどが循環器内科、心臓血管外科、消化器科、形成外科、女性診療科・産科などとの連携下でおこなわれております。当センターが直接主科として治療に携わる疾患としては、いわゆる血管腫・血管奇形と下肢静脈瘤に対するIVRが代表的なもので、良好な治療成績が認められています。

神経内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術  
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。)  
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(開腹によるもの)  

神経内科では、脳神経外科に依頼して、パーキンソン病における脳深部刺激術を行っており、術後の刺激装置の調節ならびに薬物療法の調節を担当する。

皮膚科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 18 0.22 4.56 0.00% 74.50  
K0053 皮膚腫瘍摘出術(露出部)(長径4cm以上) 等  
K013-21 全層植皮術(25平方センチメートル未満)  


皮膚科の主な手術は良性腫瘍から悪性腫瘍(基底細胞癌、有棘細胞癌、ボーエン病、悪性黒色腫など)まで広範囲に及んでおり、ダーモスコピー、超音波検査、皮膚生検での確実な診断のもと、適切な治療を選択している。病変により、植皮や皮弁、人工真皮などで対応している。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 39 1.82 8.23 0.00% 73.54  
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザーによるもの) 24 3.00 4.54 0.00% 59.21  
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用のもの) 17 1.35 9.12 0.00% 71.82  


泌尿器科ではエンドウロロジー(TURisBT、TURisP、TUL)の分野を手術としては得意としております。特に結石治療におけるTULにおいてはレーザーを用いたflexible TULにも積極的に取り組み、難治症例においても良好な成績を得ています。

呼吸器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術  
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。)  
K331 鼻腔粘膜焼灼術  


呼吸器内科の手術数は非常に少なく、かつ在院日数が非常に長いのが特徴です。すなわち、手術を目的とした予定手術ではなく、呼吸器疾患の経過中に必要に応じて行われた手術であるためと考えられます。呼吸器外科、耳鼻咽喉科、消化器科をはじめとした各診療科の協力の下、手術を行っています。

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 78 3.90 4.67 2.56% 72.18  
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 38 2.18 3.16 0.00% 72.84  
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞に対するもの) 29 0.07 25.07 13.79% 66.79  


循環器疾患の中で、血管病は患者さんのQOLや予後に大きく影響を与えます。当科では、ハートチームとして外科との連携をしっかりと取り、患者さんにとって最も良い適応を判断したうえで冠インターベンションを行っています。また、末梢血管疾患に対しても、その背景にある疾患も含めてしっかりとした内科的治療を行い、それでも効果が不十分で患者さんのQOLを改善し得ない場合には、適切な血管内治療を行っています。

腎臓内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 24 1.13 5.50 4.17% 75.75  
K610-3 内シャント設置術 23 9.57 19.39 0.00% 71.78  
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 14 7.14 35.64 7.14% 72.86  


当科の特徴として腎臓内科医が血液透析、腹膜透析に必要となる内シャント造設術、人工血管移植術や腹膜透析カテーテル留置術を行っております。

また、導入後のブラッドアクセストラブルに対する経皮的シャント拡張術や血栓除去術、さらに腹膜透析カテーテル整復術も当科で行っております。導入時だけでなく導入後も全て当科で管理する事が可能となっております。

救命救急センター

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 20 12.35 44.65 55.00% 74.05  
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) 11 1.18 20.00 27.27% 61.45  
K654 内視鏡的消化管止血術  


  • 気管切開術は、救命救急センターでは救命後の遷延する意識障害や呼吸障害の患者を対象に行っている。経口気管チューブを用いた呼吸管理に比べて安全で患者の負担も軽減すると考えているが、実施にあたっては患者自身、家族と患者の将来について慎重に考えた上で決定している。
  • 外傷による大量出血例に対して血管塞栓術が用いられる。骨盤骨折や肝臓や脾臓といった実質臓器損傷に対する止血処置としては、旧来の手術療法に対して血管塞栓術は優位な点が多い。救命救急センターと血管内低侵襲治療センターが連携することにより迅速な処置が24時間体制で可能になっている。
  • 消化管出血例に対して救命救急センターと消化器科が連携することにより迅速で確実な内視鏡的消化管止血術が行われている。大量出血により血圧低下している重症例に対する内視鏡的止血術は危険を伴うことが多いが、救命救急センター医師が全身管理を行いながら、消化器科医師が止血手技に集中できることから安全な実施が可能である。

消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 49 0.20 1.00 0.00% 63.10  
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 21 3.71 7.14 0.00% 70.43  
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) 12 5.08 10.58 0.00% 64.42  


  • 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術
    1泊入院で大腸ポリープ切除を実施しています。通常ポリペクトミー、コールドポリペクトミー、粘膜切除を病変に合わせて選択します。
  • 血管塞栓術
    肝硬変に合併する食道・胃静脈瘤など門脈系副血行路増生が原因となる諸疾患について、病態に合わせて食道静脈瘤硬化療法、バルーン閉塞下逆行性血管閉塞術、選択的脾動脈塞栓術、経皮径肝門脈塞栓術を実施しています。当科では血管造影検査、造影CT検査を用いて血行動態評価を十分に行い、病態に合わせた治療の選択ないし組み合わせることで術後の腹水増大、肝不全増悪などを回避しています。
  • 内視鏡的消化管止血術
    上下部消化管出血性疾患について、消化器外科と共同で随時救急入室を受け入れ、豊富な経験を持つ専門医を含む複数のスタッフで緊急内視鏡検査を実施し、出血源同定、止血を行っています。

消化器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 227 0.19 1.07 0.00% 66.55  
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 100 1.43 3.00 0.00% 63.21  
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 58 2.41 5.93 0.00% 58.50  


表は当科で行われている手術の中で多いものを示しています。

1番上は大腸ポリープに対する内視鏡治療の数を示しています。当科では年間2500例の大腸内視鏡検査を行っており、大腸ポリープも多く見つかります。大腸ポリープの中には早期癌も含まれており、拡大内視鏡や、NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光法)と呼ばれる最新の技術で正確な診断を行い、最適な治療を提供するよう努めています。

2番目は鼠径ヘルニア、いわゆる「脱腸」に対する手術で、当科では基本的にすべての手術を腹腔鏡手術で行っています。腹腔鏡手術は手術創の整容性や疼痛の少なさなどのメリット以外に、複数のヘルニアが併存する場合に(対側ヘルニアや大腿ヘルニアの合併など)これらを見落とすことなく同時に行えるという点で優れています。再発率も1%以下と従来法より良好です。平均在院日数も3日と以前に比べて著しく短縮し、早期の社会復帰が可能となりました。

3番目は胆石症に対する腹腔鏡手術で、胆嚢に炎症が無いか軽度の場合は手術に必要な検査ののちあらためて待機手術とします。ところが、なかには急性胆嚢炎と呼ばれる緊急処置を要する状態で来院される患者さんも少なくなく、この際には診療ガイドラインに従い可及的速やかに手術を行います。

内分泌・糖尿病・動脈硬化内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K241 眼球摘出術  
K654 内視鏡的消化管止血術  
K462 バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉)  


乳腺外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) 39 1.13 4.21 0.00% 55.79  
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) 22 1.09 8.59 0.00% 56.05  
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの) 14 1.00 9.71 0.00% 57.50  


乳がんは女性がかかる最も多い悪性腫瘍で、日本では12人にひとりが乳がんになるとされています。しかも働き盛りの40歳代、50歳代に多いという特徴があります。乳がんの治療は癌の進行度(腫瘍量)と癌の性格(サブタイプ)に合わせた治療が行われています。手術を中心とした局所療法と薬物による全身療法の組み合わせで治癒を目指します。

外科治療は乳房の手術とリンパ節の手術となります。リンパ節の手術では郭清が必要な症例を除き、アイソトープを用いたセンチネルリンパ節生検を基本術式として、リンパ浮腫の原因となる腋窩郭清の省略にも取り組んでいます。

新生児内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2762 網膜光凝固術(その他特殊なもの(一連につき))  
K7322 人工肛門閉鎖術(腸管切除を伴うもの)  


腫瘍内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) 10 5.30 3.00 10.00% 60.20  
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 等  
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合)  


がん診療必要な中心静脈ポート手術、胃ろう造設などが主な内容となります。

内分泌外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4632 甲状腺悪性腫瘍手術(全摘及び亜全摘) 10 1.20 8.30 0.00% 55.10  
K4641 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術(副甲状腺(上皮小体)摘出術)  
K462 バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉)  

甲状腺癌に対しては術前診断に基づき、「甲状腺片葉切除術、気管周囲リンパ節郭清術」から「甲状腺全摘除術、両側外深頸リンパ節に到る郭清術」まで適宜施行している。手術適応のバセドウ病に対しては基本的に残置量2g以下のいわゆる甲状腺超亜全摘除術を施行している。これらの手術では全例超音波メスを使用し、少出血量、2時間半程度を目指している。

原発性副甲状腺機能亢進症では「小切開、focused approach1時間半程度の手術」、続発性副甲状腺機能亢進症では「2時間半程度の副甲状腺全摘除術、副甲状腺自家移植術」を基本にしている。

いずれの手術も安全性、低侵襲性を重視。入院中、術前・術中・術後をとおして専用のクリニカルパスを使用して診療している。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)


DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 25 0.31%
180010 敗血症 同一 22 0.27%
異なる 39 0.48%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる    
180040 手術・処置等の合併症 同一 39 0.48%
異なる - -


  • 救命救急センターには外傷や消化管出血などによる出血性ショック症例が多く搬入され治療を行っている。また、心肺停止症例や敗血症といった重篤な症状を呈する症例も多い。これらの症例は救命できても多臓器不全を呈することが少なくなく、特に播種性血管内凝固症候群を合併し、血液凝固障害を呈する例は高頻度に認められる。
  • 救急患者の高齢化に伴い、肺炎や尿路感染といった感染症により救急搬送されて来る症例は増加している。重症感染症の中には臓器障害が進行している敗血症症例も少なくない。感染治療とともに臓器補助を含めた集中治療を行い救命している。

更新履歴

2016年09月30日初版