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Department of Analytic Human Pathology病理学(解析人体病理学)

病理学は、主に視覚的基盤から、病気の本態を理解し、病気の診断を確定する、医学にとってとても重要な学問です。臨床診療や病理診断の現場を重視して、実際に観察することから病気の本態や発症・進展機序を解明し理解することをめざしています。実際に目に見える現象を組み立てて、動きのある病態を明らかにすることが重要です。

病理学は、大きく基礎医学としての研究病理学と、臨床医学としての診断病理学を包含しています。近年では両者ともに著しい進歩がみられています。研究病理学では、それぞれの分野で、疾患の発症や進展機序の解明が進んでいます。解析人体病理学では研究病理学と診断病理学を融合した臨床に役立つ基礎研究や臨床研究を進めています。臨床医療や病理診断をしながら生涯にわたり研究を続けて行くことができる臨床医、病理医、研究者の育成をめざしています。

診断病理学では、組織の病理診断が疾患の確定診断になることが少なくありません。研究病理学や臨床病理学からの知見が病理診断に積極的に応用され、臨床診療に生かされています。

そのような背景のなか、解析人体病理学は、それぞれの研究者、医師や病理医が、研究病理学と診断病理学の両立をめざし、研究する人体病理医、疾患を理解した病理学者を理想とし、それぞれ専門領域を持ちながら、研究、病理診断、教育を行っています。病理学に興味のある学生、医師や研究者と一緒に、医学の発展や医療の現場に貢献する楽しい研究、病理診断、教育を進めています。

清水 章

病理学(解析人体病理学) /
解析人体病理学
大学院教授  清水 章

  • 分野 (教室) の概要

    卒前教育

    それぞれの専門分野に応じて両教室、病理部の教室員が協力、分担して行っています。病理学総論、病理学実習、基礎SGL 教育、クリニカル・クラークシップ教育、3 学年の研究配属また長期での研究が可能な後期研究配属を通して病理学の面白さや奥の深さを理解し、医学そのものの考え方に役立つ教育を行っています。文部科学省から公表されている医学生への実践的診療能力に関する学修目標「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に沿った教育を心掛けています。病理学により病気を理解する過程で、正常構造とその恒常性の維持や機能との関連を深める教育を行っています。それらの理解の上に、病気による正常構造の障害、創傷治癒機構とその破綻、瘢痕の形成と機能低下との関連を、視覚的基盤をもとに理解できるように教育しています。

    教育方法およびその特色として、病理学は、病気の本質を形態学的基盤の上に立って解析していくものであるため、肉眼および組織病変の視覚的な理解を深めることを重視し、マクロ標本、ディスカッション顕微鏡やバーチャルスライドシステムを利用した病理組織標本の実際的な観察を行っています。

    研究配属に対しては、指導担当者から毎年テーマが提示され興味を持った学生を受け入れ、実際の研究を行っています。人工知能を用いた画像解析ツールの作成や診断支援システム開発などに実際に携わってもらいながら、医工連携をかなえるための高度医療人材育成を心がけています。

    病理学各論は、基礎医学終了後に、臓器別コース授業の中に組み込まれ、臨床各科との協力のもとに教育を行っています。

    基礎SGL教育では、視覚的基盤にたって病理学の特徴を生かすことができる課題で教育をおこなっています。

    クリニカル·クラークシップ教育では、診療の現場における病理学の役割を、手術検体·生検の病理診断、手術時の迅速診断、病理解剖に実際に参加し学んでいます。剖検の臨床病理学的な検討からは、臓器や組織の変化を、生体内で起こっていた全身の病態のなかから理解できるように考える病理学を進めています。

    卒後教育

    診断病理学を含む人体病理学を修得することに加え、病理学的研究を自ら行えるようにするのが基本方針です。最終的に臨床を目指す医師にも、疾患を病理学的観点から理解し思考することができることを目標としています。

    臨床科から提出される検体の病理診断をおこなうことができるようになることも大切です。病理医をめざす医師には、専門領域を持って臨床診療に生かすことができる病理診断を行い、標本から病態について考察ができ、病理診断から生じた疑問や仮説を研究により解決できる病理専門医になることを目指しています。

    研究病理学は、それぞれの大学院生や医師の興味や情熱を大切にしながらテーマを決め研究を進めています。臨床診療や診断病理学からの疑問点や仮説を研究で解決をしていく、臨床診療や診断病理学と研究病理学を融合した研究を実践しています。生命科学現象を解明し、病気の本態を理解する、病理診断を深め、直接臨床に応用が可能な、診断や診療に役立つ病理学の研究を進めています。そして、臨床科からの大学院生には、臨床科にかえった後も、積極的にサポートし、共同研究や臨床病理学的研究を進められる体制を整えています。

    剖検、生検の診断病理学は、人体病理学そのものであり、初期教育として重視しています。剖検、生検、細胞診ともにスーパーバイザー制度をとり、指導しています。その中で、重要症例は症例報告を行い、また、臨床とのCPC において病理サイドを自ら 担当し、臨床的問題点と病理所見の整合性を学んでいます。

    また、将来の進路に合わせた指導を重視しており、大学院生には本人の希望を考慮して研究課題を決め、研究遂行のためのバックアップをしています。研究課題に基づき、スタッフのうち適任の一人がアドパイザーとして担当し、方法論については、必要に応じて専門領域の教室員が直接指導しています。大学院の修了後の国内および国外の専門施設への留学の機会を準備し、臨床医療や病理診断をしながら生涯にわたり研究を続けて行くことができる臨床医、病理医、研究者の育成を目指しています。

  • 主な研究内容
    • 肺疾患、特にびまん性肺疾患、リンパ増殖性肺疾患、肺骨化症、肺癌、肺気腫の臨床病理学的、分子病理学的、実験病理学的研究
    • 各種疾患の酸化ストレス、アポトーシス、細胞遊走(特にケモカイン受容体会合分子 FROUNT 関連)、細胞外マトリックスの病理学的研究、マクロファージなど免疫細胞の刺激応答性制御による疾患治療法の開発研究
    • 人工知能(AI)を用いた病理診断支援および研究支援システム開発研究
    • 創傷治癒過程、特に角膜での研究
    • 組織、細胞診断病理学への分子病理学の応用研究、特に婦人科領域、泌尿器科、肺での研究
    • 実験的肺移植モデルと腎臓移植モデルにおける移植免疫や移植病理学的研究
    • 腎疾患、特に糸球体腎炎や尿細管間質性疾患の臨床病理学的、分子病理学的、実験病理学的研究
    • 疾患発症モデルとしての各種臓器の胎生期発生の研究

    研究は病理学の醍醐味であり、種々の対象で行われています。人体病理学的研究は、肺臓、婦人科領域、リンパ増殖性疾患、心臓、腎臓の病理を中心とし、さらに人工知能、眼病理、結合組織病理に及んでいます。

    炎症の傷害·修復機転、臓器の線維化機序、病変の形成や進展機構について、血管·リンパ管·結合織の関わりや酸化ストレス、アポトーシスの病態にも着目し、病理学的解析を基盤に広く研究を進めています。

    これらの研究過程で解決困難なテーマは、実験病理学、細胞培養などを実施しています。正常および病的な機能動態をも含めた疾病概念のとらえかたを指向しており、電子顕微鏡、低真空走査電子顕微鏡、免疫組織化学、分子病理学、画像解析、共焦点レーザー顕微鏡、マイクロダイゼクションとリアルタイムPCR、マイクロアレイ、質量分析などを用いて病理所見と機能、遺伝子や蛋白の発現の変化を検討しています。また培養細胞や動物モデルを用いターゲット因子の機能抑制、過剰発現実験を行い、病態への関与を解析し、病気の発症機序や進展機構を明らかにしています。各研究者と技術員が、チームを作って研究するスタイルを取り入れ、高度な分子病理学的技術は、PhD の特殊技能により遂行しています。

    研究内容からみた当教室の特色は、糸球体疾患および間質性肺炎に関する分野にみられ、これらの分野における主導的存在として認められています。学外、国外の研究者との共同研究も積極的に行っており、国外、国内からの留学生も在籍し研究しています。また最新技術の病理領域の応用として、人工知能を用いた主に細胞診を支援するシステムや研究時に定量化を行えるツール開発などの研究を行っています。

  • 診断病理

    診断病理学は病理学の要であると同時に、臨床診療に直接反映されるとても重要な臨床医学です。さらに、病理医にとっては、疾病の成り立ちを具体的に学ぶ実際の場でもあります。日々の病理診断の過程で多くの疑問点が生じますが、それらを研究テーマとして、研究することにより解決する醍醐味も持ち合わせています。

    病理診断を行いながら、病理診断と研究病理学を融合した研究を展開し、実際の臨床診療に役立つ研究も進めています。

    各診療科との臨床病理カンファランスを日常的に行っており、臨床側、病理側の診断、治療における問題点を議論し、臨床所見と病理所見の整合性を確認し、診断の質を高めています。剖検例に関しては、内科合同CPC、卒後教育と関連した研修医CPC、マクロ·ミクロ検討会が行われており、診断、直接死因、治療効果などの検証をおこなっています。学外の各分野の診断、病態の勉強会、講習会にも積極的に参加しており、病理·細胞診断の標準化、精度管理にも力を注いでいます。また病理Dxを叶える病理診断効率化ツールの開発も同時に行っています。

    活動性を有するIgA腎症

    解析人体病理学 私設ホームページ: https://pathology-nms.org/