日本医科大学医学部長
小川 令
創立150周年の歴史を背負って
2026年、本学は1876年の済生学舎の設立から創立150周年という大きな節目を迎えました。この長い歴史の中で受け継がれてきた建学の精神である「済生救民」と学是「克己殉公」は、単なる理念にとどまらず、日々の教育・研究・診療の現場において脈々と息づいています。すなわち、医療を通じて人々を救うという社会的使命と、自己を律し公に尽くすという医師としての倫理観は、現代医療が高度化・複雑化する中にあってこそ、その重要性を増しています。本学はこの建学の精神と学是を未来へと継承しつつ、新たな時代にふさわしい形で実践し続けています。
革新的な医学教育
本学医学部はこれまで、アウトカム基盤型カリキュラムの導入やICT・AIの積極的活用、国際基準に基づく教育認証の取得などを通じて、医学教育の質的向上に取り組んできました。現在はこれらをさらに発展させ、単なる知識や技能の習得にとどまらず、「自ら課題を発見し、解決できる医師」を育成する教育へと深化させている段階です。個別最適化された学修環境と、実臨床に直結した教育を融合させることで、次世代の医療を担う人材を育てる革新的な医学教育を実現しています。
日本医科大学から世界へ
「日本医科大学から世界へ」という理念のもと、本学は国際社会との連携を強化してきました。海外大学や医療機関との交流、留学機会の拡充、英語による教育環境の整備を進めることで、学生が早期からグローバルな視点を身につけられる体制を構築しています。本学医学部の学生は、最近締結した協定により米国スタンフォード大学、米国ジョンズホプキンス大学、英国サウサンプトン大学、豪州シドニー大学などで臨床実習を行うことができるようになりました。医療はすでに国境を越えた学問であり、国際的な協働なくして発展はあり得ません。本学は世界に開かれた医学教育・研究拠点として、国際社会に貢献できる医師・研究者の育成に力を注いでいます。
創造する医学研究
医学研究は未来の医療を切り拓く原動力であり、本学は「創造する医学研究」を重要な柱として位置づけています。基礎から臨床までを横断する研究体制の強化に加え、産学連携を推進し、研究成果を社会実装へとつなげてまいります。また、若手研究者が自由な発想で挑戦できる環境を整え、研究マインドを早期から育成することにも力を注いでいます。本学から生まれる新たな知見が、医療の進歩と社会の発展に着実に貢献していくことを目指しています。さらに、日本医科大学には、スタンフォード大学とエルゼビアによる「標準化引用指標に基づく科学者データベース(世界トップ2%研究者)」に選出された医師が多数在籍しています。こうした実績を礎に、今後も研究力の一層の向上と国際的な評価の深化を目指しています。
先進医療の力と革新
本学はこれまで、救急医療、集中治療、がん医療をはじめとする高度な臨床領域において、我が国をリードする役割を担ってきました。この確かな臨床力を基盤に、最先端の医療技術と革新的な治療法の開発・導入を進め、より質の高い医療を提供しています。患者一人ひとりに寄り添う医療の実践と、科学的根拠に基づく先進医療の推進を両立させることで、社会から信頼される医療機関としての責務を果たしています。
学生の皆さんへ!
在学生の皆さんには、本学での学びを通じて、医師としての確かな知識と技能だけでなく、人としての深い倫理観と使命感を身につけていただきたいと願っています。受験生の皆さんには、本学が持つ歴史と革新の両輪の中で、自らの可能性を大きく広げてほしいと思います。そして保護者の皆様には、大切なお子様を安心して託していただける教育環境を整えていることを御理解いただきたいと思います。日本医科大学は、志ある皆さんとともに未来の医療を切り拓いていく場であり続けます。