日本医科大学乳腺外科教室は、乳腺専門医として臨床、教育、研究の3分野で活躍し、患者さんからも医療従事者からも信頼される医師を育成することを大きな目標の一つとしています。

 乳腺外科学は、手術だけではなく、画像診断、病理細胞組織学的検査、内分泌治療や抗がん剤治療、分子標的治療薬などの全身治療、放射線照射、緩和治療など多岐にわたり、奥の深い分野です。当教室では、日本乳癌学会にて第一線でご活躍されております、土屋眞一客員教授(飯田病院副院長)を迎え、病理との術前合同カンファレンスや、伊藤良則客員教授を迎え、乳癌治療難解症例を検討する勉強会などを定期的に行っており、乳癌の臨床、標準治療を勉強するには格好の環境が整っています。

1)卒前教育

 3年生の臨床医学コースの中で、すべての乳腺疾患に関して、病理、発生、診断、治療、予後、支持療法について講義します。
 4年生から始まる臨床実習(クリニカルクラークシッップ)では必修、選択いずれにおいても、診断および治療(外科的治療、薬物療法)について、指導医と共に患者さんを受け持ち、実地臨床を経験します。

2)卒後教育

 初期研修の2年間(卒後1-2年)終了後、乳腺外科専修医としての2年間(卒後3-4年)で外科専門医取得に必要な手術経験を中心に研修を行います。乳腺疾患はもちろん、その他の消化器、心臓血管、呼吸器、内分泌、小児、救急などの症例を、出来るだけ希望に添うようにカリキュラムを組み、幅広い診療経験を積みつつ、スムーズに外科専門医を取得出来るようバックアップします。

 その後、3年間(卒後5-7年)で一般外科診療に加え、主な診療の対象を乳腺疾患に移し、日本医科大学付属病院を中心とした日本乳癌学会認定施設および関連施設にて画像診断、病理診断、外科的治療(乳腺良性疾患および悪性疾患の手術・周術期管理・術後管理)、薬物治療(ホルモン療法、化学療法、分子標的薬物療法)、緩和ケアなどを系統的に研修します。この間、がん研有明病院、がんセンターなどでの研修も可能です。卒後6年目に外科専門医、7年目に乳腺専門医の取得を目指します。ただし、今後、日本専門医機構によって乳腺専門医の資格が認定されることになった場合、外科専門医取得後、各施設の専門医修練計画に沿って研修することになります。卒後8年目以降は後輩教室員の指導を行いながら、学会発表・論文発表を積極的に行い、診療と研究の両立を目指します。

 大学院乳腺外科学分野に入学し、臨床、基礎、または両者に関わる研究に携わり、医学博士号を取得すること、また2-3年の海外留学や国内留学により、臨床および基礎的研究に専念することも奨励しています。

 女性医師にとっては、特に出産、育児などのライフスタイルの変化もあり、それらの両立が最重要な課題と考えます。当院では院内保育、ベビーシッター派遣病児保育支援、『短時間勤務女性医師制度』など女性医師のバックアップ体制も整えていますが、当科においても勤務継続が可能となるように、状況に応じて可能な限りバックアップします。