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Department of Cardiovascular Medicine内科学(循環器内科学)

循環器疾患は、不整脈、虚血性心疾患、心不全、大動脈疾患、末梢血管疾患、ならびにそれらに関連する救急疾患など、多様な領域を包含します。
日本医科大学循環器内科では、これらの疾患に対して最新のエビデンスに基づく診断と治療を実践し、重症例から慢性期管理まで一貫した高水準の医療を提供しています。さらに、各疾患領域を横断的に統合したチーム医療を推進し、患者一人ひとりに最適化された循環器診療の実現を目指しています。

当教室は、不整脈、虚血性心疾患(末梢血管疾患を含む)、心不全、大動脈疾患、心エコー、集中治療の6つの専門グループで構成され、相互に緊密に連携しながら診療・研究・教育を展開しています。臨床現場で生まれる課題を原点として、臨床研究や基礎研究を通じて新たな知見を創出し、学術的にも国内外に成果を発信しています。
また、これまで多くの医局員が国内外の先進的研究機関で研鑽を積み、世界各地で活躍しています。
私たちは、高度な専門知識と実践力を兼ね備えた循環器専門医の育成に加え、幅広い医学的教養と豊かな人間性を培い、創造的かつ国際的に信頼される臨床医・研究者の育成を使命としています。

淺井 邦也

内科学(循環器内科学) / 循環器内科学
大学院教授 淺井 邦也

  • 分野 (教室) の概要

    循環器内科では、4つの付属病院、派遣病院、関連施設を含む総勢約200名の医局員が、大所帯特有の明るく賑やかな雰囲気のなかで、日々の診療・研究・教育に取り組んでいます。我々の医局の大きな特徴は、それぞれの医師が高度な専門性と研究業績を持ちつつも、専門分野に縛られずに広い視野で一人一人の患者さんの治療が出来るような教育システムを長年にわたり維持していることです。循環器疾患の多くはその前段階として各種生活習慣病が背景にあり、また一方で循環器病の最終形態である心不全では脳、肺、腎臓などの他臓器の病態と密接な関連を有しているため、医師には多くの領域、疾患に対する知識と経験が求められます。それらを幅広く網羅しつつ、起きてしまった心臓病に対しては専門性をいかんなく発揮して高度な治療にあたるこの総合力と専門性のバランスが循環器内科の魅力であるといえるでしょう。卒前・卒後教育ともに主治医としてその診療にあたり、上級医による日々の指導とともに、毎週月曜には病棟ごとの症例検討カンファレンス、火曜日には医局カンファレンスと教授回診を行っています。
    循環器内科には6つの研究グループがあり、グループごとの専門性の高いミーティングを行うとともに、各グループで連携をとりつつ協力しあって患者さんの治療にあたっています。
    当教室は日本循環器学会、日本不整脈心電学会、日本超音波医学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本集中治療医学会、日本高血圧学会等の研修施設として認定されています。

    不整脈グループ

    不整脈グループは、様々な不整脈疾患に対する薬物治療とカテーテルアブレーションやデバイス植込みなどの非薬物治療、および遺伝性不整脈の診断・治療を中心に活動しています。特にカテーテルアブレーションは2019年以降毎年6年連続で500件を超える実績を誇り、都内有数のハイボリュームセンターとして位置づけられています。2024年から保険償還されたパルスフィールドアブレーションは全国に先駆けて実施し優れた治療成績を収めています。心房細動のみならず、致死性心室性不整脈が繰り返し発症するElectrical stormに対する緊急アブレーション、内科的アプローチで治療が困難な症例に対しては、ハイブリッド手術室で内科・外科合同チームによる不整脈外科手術の治療を行い、集中治療・救命救急領域に強みをもつ日本医科大学ならではの不整脈治療を提供しています。またBrugada症候群や早期再分極症候群などの遺伝性不整脈に対するカテーテルアブレーションの実績も挙げています。不整脈デバイス治療は、従来のペースメーカ、植込み型除細動器に加えて、最先端のデバイスである、リードレスペースメーカ、皮下植込除細動器、左脚領域ペーシングの植込みも多数行っています。日本循環器学会発行のガイドライン作成にも班長・副班長・班員として参画し、日本の不整脈診療を牽引する教室として活躍しています。
    不整脈グループから基礎から臨床までの幅広い研究テーマで米国、カナダ、フランスの研究施設・病院に留学者を輩出しています。これにより最先端の研究に携わり、一流の研究者との交流が深まり、幅広い知識と経験を得られるのみならず、国際共同研究へも参加しています。技術の進歩と革新によって多様化する医学研究を推進するために、産学共同・医理工連携での共同研究を積極的に行い、豊富な研究資金を獲得するとともに、当教室のブランド力向上に貢献しています。こうした研究成果は国内外での学会発表はもちろんのこと、英文学術誌へ多数報告しています。先進的な研究テーマによる、文部科学省科学研究費・公的競争研究資金の獲得実績も多くあります。

    虚血性心疾患グループ

    循環器内科では昭和40年代より心臓カテーテルを導入し、年間1000件以上の心血管カテーテル検査・治療を行っています。具体的には狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に対するカテーテル治療(PCI)、下肢動脈疾患に対するカテーテル治療(EVT)、各種構造的心疾患に対するカテーテル治療を行っています。PCIではさまざまな血管内画像診断装置(血管内超音波,血管内視鏡、血管内光干渉断層法)を用い詳細な冠動脈病変の情報を得ることで最適な治療法を選択しています。構造的心疾患に対するカテーテル治療としては特に閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)は豊富な経験があり他施設から多くの患者さんの紹介を受けています。大動脈弁狭窄症に対する経皮的大動脈弁置換術(TAVI)や心房細動患者における脳梗塞予防のための左心耳閉鎖デバイス(WATCHMAN)植え込みも行っており、卵円孔開存や心房中隔欠損症に対する経皮的閉鎖術についても施設認定を取得しています。治療方針の検討にあたっては、毎週水曜日の心臓カテーテルカンファレンス、火曜日のハートチームカンファレンスにて心臓血管外科を含むハートチームで治療方針の検討を行っています。
    研究面ではPTSMA治療の最適化のための研究や肥大型心筋症に合併した心房細動や微小循環障害に関する研究、各種血管内画像診断装置を用いた研究、重症例に対する最適なTAVI治療に関する研究、また放射線科と共同で心筋血流PETや心筋血流SPECTなどの画像診断装置を用いて循環器疾患の発症機序を解明する研究など、幅広いテーマの研究を行っており、その結果を国内外の学会や著名な雑誌に報告しています。さらに現在数名の医局員が米国に留学しており世界最先端の臨床や研究に携わり活躍しています。

    心不全・心臓リハビリテーショングループ

    当グループは、医師・看護師・臨床検査技師・理学療法士・薬剤師・管理栄養士・医療ソーシャルワーカーからなる多職種チームで構成され、週2回の多職種カンファレンスや地域との密な連携を通じて、年間400例を超える心不全入院患者の診療に取り組んでいます。また、院内における心不全診療の啓発活動や、心不全療養指導士の育成にも注力しています。さらに、薬剤師ネットワークや地域医療連携会など学外での講演活動を通じて、地域全体の心不全診療の質向上を図っています。
    心臓リハビリテーションにおいては、2024年3月に新たな体制を発足。リハビリの重要性を医師のみならず各職種のスタッフと共有しながら、より多くの患者さんに包括的なプログラムを提供できる環境を整備しました。その結果、心臓リハビリの実施件数は2023年の4,017件(384名)から、2024年には8,228件(700名)へと大幅に増加しました。心不全入院患者(パス適用外)に対する導入率も、2023年の26.6%から2024年には63.9%(外来移行率33.7%)へと向上し、高水準を維持しています。外来リハビリでは、理学療法士による運動療法に加え、看護師による生活課題の把握、栄養士による食事指導を定期的に実施しています。得られた情報は外来主治医と共有し、心不全の再入院予防に活かしています。さらに、早期離床リハビリテーションを導入し、心臓血管外科患者に対しても術直後から集中治療室専従の理学療法士と連携し、シームレスな心リハへの移行体制を構築しています。
    研究活動にも積極的に取り組んでおり、心不全のデータベースを構築し、関連する疾患や因子への介入が予後に与える影響を検討しています。2024年には11本の心不全関連論文を発表しました。2024年からは4病院のDPCデータベースを統合し、研究基盤をさらに強化しました。現在では、医師に加え、薬剤師・看護師・理学療法士も参加する「心不全研究会議」を隔週で開催し、学会発表や論文作成を通じて、若手研究者の育成にも力を注いでいます。

    大動脈疾患グループ

    循環器疾患における大動脈疾患の占める割合は、集中治療室(CCU)における年間入室患者の約5%ですが、大動脈疾患は緊急性、重症度がともに高い重要な疾患です。当院循環器内科では、大動脈解離、大動脈瘤などの大動脈疾患の診断と治療にも積極的に取り組んでいます。治療方針は、心臓血管外科、放射線科、循環器内科の三科で合同カンファレンスを行い、個々の症例に最適の治療方針を決定しています。主な研究テーマには、大動脈解離、大動脈瘤、マルファン症候群およびEhlers-Danlos症候群などの結合織障害であり、学会発表・論文発表など積極的に国内外に情報発信をしています。
    外来は「大動脈疾患外来」で特殊診療を行っています。亜急性期以降の大動脈解離のフォロー、大動脈瘤の侵襲的治療の判断、遺伝診療科と協力してマルファン症候群をはじめとする遺伝性動脈疾患の遺伝子診断、およびその内科的管理、など大動脈疾患に特化した外来を行っています。

    心エコーグループ

    心エコーは、循環器疾患すべての領域において診断・治療に不可欠な検査法です。ルーチン検査は、経胸壁心エコー、経食道心エコー、負荷心エコーを含めて年間約10,000件行っています。臨床では多彩な症例を経験することが可能であり、実際の臨床現場において診断・治療に役立つ心エコーのとり方を修得することを目標としています。毎週月曜日に症例検討会を行い判断に困る症例や複雑な症例の検討を行っています。心臓血管外科とのコラボレーションも積極的に行っています。また近年は心不全症例や肺高血圧に対する運動負荷エコーも積極的に取組んでいます。教育面では、当院は超音波研修施設に認定されており、研修医、専攻医には超音波専門医・指導医、技師は超音波検査士の資格がとれるような指導プログラムを実践しています。また、定期的に技師との勉強会を行っています。研究対象疾患は循環器領域の多岐にわたり、心不全領域では、心・肺疾患による左右心不全の軽症から重症例の右心機能評価、左心室と右心室のスペックルトラッキング法によるdyssynchronyの解析を行っています。

    集中治療グループ

    付属病院集中治療室(CCU/ICU)は1973年に開設され、我が国でも有数の歴史と実績を誇り、循環器集中治療分野において指導的立場にあります。現在では大学病院の心臓血管集中治療科(CICU)を標榜し、循環器内科から出向した専任のスタッフが心原性ショック、急性心筋梗塞、急性心不全、緊急大血管、重症不整脈疾患などの循環器救急疾患の治療を行っています。さらに併存する呼吸不全、腎不全、敗血症などの非心血管疾患に対しても、人工呼吸、補助循環、急性血液浄化法など機械補助を駆使し救命にあたっています。当院CICUは日本集中治療医学会認定専門医研修施設で、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士、栄養士などの多職種と連携しチーム医療に則した集学的治療体系が充実しており、全身管理を学ぶには絶好の場です。また当院CICUは、急性心筋梗塞および心原性ショックの患者を多く受け入れていることが大きな特徴で、急性心筋梗塞の治療実績は都内でも有数であり、心原性ショックに対してはImpella🄬などの循環補助装置の使用において、日本国内でもトップクラスの実績を有しております。
    循環器集中治療の場においては、心血管疾患だけでなく、非心血管疾患の管理の重要性が叫ばれており、循環器集中治療専門医の育成が課題となっています。我々も集中治療医の育成、教育に積極的に参画し、他施設からの専門医研修に門戸を開いています。臨床研究としては、東京都CCUネットワーク、Cardiogenic Shock Working Group、SAVE-J IIIといった多施設共同研究にも参画し、国内外で多くの成果を学会発表、論文報告などで発信しています。

  • 主な研究内容
    • 慢性心房細動に対する至適な高周波カテーテル焼灼術の開発

    • 三次元マッピング機器を用いた開心術後心房頻拍の機序解明と治療法の開発

    • 器質的心疾患に合併した重症心室性不整脈の薬物療法および非薬物治療(高周波カテーテル焼灼術、デバイス治療)の検討

    • 遺伝性不整脈疾患(QT延長症候群、ブルガダ症候群など)の遺伝子診断とこれに基づいた薬物および非薬物治療

    • 次世代シーケンサを用いた網羅的全エクソン(Exome)解析、全ゲノム解析、ゲノムワイド関連解析(GWAS)による遺伝性不整脈の新規遺伝子同定

    • iPS細胞を用いた遺伝性不整脈の病態解明とテーラーメイド治療

    • 心電図Wavelet解析を用いて心サルコイドーシスの病態進行評価経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)治療の最適化に関する研究

    • 肥大型心筋症に合併した心房細動に関する研究

    • 肥大型心筋症に合併した微小循環障害に関する研究

    • 冠動脈と大動脈の血管内視鏡所見の関連に関する検討

    • 冠動脈CTで評価された冠動脈周囲脂肪組織と血管内画像所見の関連についての検討

    • 重症大動脈弁狭窄症に対する最適な経皮的大動脈弁置換術(TAVI)治療に関する検討

    • 心筋血流SPECTを用いた早期心不全の発症機序解明に関する研究

    • 心肥大・心不全進展過程におけるβ3アドレナリン受容体情報伝達系の心保護作用に関する検討

    • エリスロポエチンによる心筋保護効果に関する研究

    • 心疾患病態・血管内皮機能関係に影響する因子の検討

    • 運動療法による心疾患病態に対する改善効果の機序

    • 心疾患合併高血圧症における中心血圧と病態との関連

    • 組織ドプラ、スペックルトラッキング法を用いた心機能評価:心臓再同期療法、大動脈壁の硬さ、左右心機能

    • 超高齢心不全患者における obesity paradox

    • 心不全患者における NSAIDs を起因とした処方カスケード

    • 入院中の心不全患者を対象としたせん妄発症時期に関する検討

    • 心不全症例におけるポリファーマシーと転倒転落・予後への関連性について

    • ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を中止した慢性心不全患者の臨床背景と転帰

    • 心不全患者における不眠症治療薬使用の実態-経年的変化を踏まえた検討

    • 多剤内服中の心不全患者における総抗コリン負荷がせん妄発症に与える影響

    • 肝線維化マーカーである FIB-5 index の心不全患者における予後への影響

    • 急性心不全患者における尿酸変動と予後への影響

    • 高齢心不全患者における CT を用いたサルコペニア・オステオペニアの予後への検討

    • 尿中の推定塩分摂取量から心不全患者の栄養指導を強化する意義に関する検討

    • 肝線維化のマーカーFib-4/Fib-5 index を用いたアミオダロン副作用解析

    • 心不全クリニカルパス導入による包括的管理の促進

    • 循環器疾患併存患者におけるサルコペニアの有病率と予後への影響-性差を踏まえて

    • 機械学習を用いた心不全患者における予後予測

    • 左室駆出率の保たれた心不全患者における SGLT2 阻害薬のフェノタイプ別治療戦略の検討

    • 心臓リハビリ導入中のサルコペニア患者における包括的プログラムの実践に関する検討

    • 急性心筋梗塞に合併した心原性ショックに対する Impella を含む至適補助循環法とタイミングの検討

    • 心室細動患者の脳灌流改善を目的とした機械的補助循環の有用性の検証

    • TTR (Time to therapeutic range)を用いた Impella の適切な抗凝固管理の検討

    • 生体吸収性動脈グラフトの血管リモデリングにおける石灰化の機序解明

  • 臨床 (診療) のご案内

    臨床については、日本医科大学付属の4つの病院を中心に診療・教育・研究活動を行っています。各病院における活動については、以下のリンクより詳細がご覧になれます。