Fields / Departments分野(教室)

Department of Breast Surgical Oncology外科学(乳腺外科学)

日本医科大学付属病院乳腺科は、2008年5月に、初代教授として芳賀駿介先生が招聘され、誕生しました。そして、2012年4月に日本医科大学大学院の再編に伴い、診療、教育、研究という3本柱が揃った乳腺外科学分野が新たに設立され、私が2013年4月より芳賀前教授の後任を引き継がせて頂いております。

現在、日本医科大学付属4病院(付属病院、千葉北総病院、武蔵小杉病院、多摩永山病院)それぞれにて、日々臨床と研究に勤しんでいます。また付属4病院と特定関連病院である北村山公立病院を加えた5病院で、講演会、勉強会、臨床研究などを共同で行っています。

臨床面では、開設以来、手術件数や抗がん剤治療件数は年々増加し、2024年の乳がん手術件数は、付属病院だけでも約312件となりました。

研究面では、日本医療研究開発機構(AMED)からの研究委託により、2015年からは最新機器(磁気プローブ)を用いたセンチネルリンパ節生検及び非触知病変の同定の臨床試験を東京大、昭和大、慶応大、横浜市立大など複数の大学と共に行っています。その他、複数の抗がん剤治療における臨床試験を行い、最新の治療法を検証し、また臨床治験などにも積極的に参加して最先端医療の提供を行っています。

武井 寛幸

外科学(乳腺外科学) / 乳腺外科学
大学院教授 武井 寛幸

  • 分野 (教室) の概要

    日本医科大学乳腺外科教室は、乳腺専門医として臨床、教育、研究の3分野で活躍し、患者さんからも医療従事者からも信頼される医師を育成することを大きな目標の一つとしています。

    乳腺外科学は、手術だけではなく、画像診断、病理細胞組織学的検査、内分泌治療や抗がん剤治療、分子標的治療薬などの全身治療、放射線照射、緩和治療など多岐にわたり、奥の深い分野です。当教室では、前がん研究会有明病院・乳腺センター・乳腺内科・部長 伊藤良則客員教授を迎え、乳癌治療難解症例を検討する勉強会などを定期的に行っており、乳癌の臨床、標準治療を勉強するには格好の環境が整っています。

    1)卒前教育

    3年生の臨床医学コースの中で、すべての乳腺疾患に関して、病理、発生、診断、治療、予後、支持療法について講義します。
    4年生から始まる臨床実習(クリニカルクラークシップ)では必修、選択いずれにおいても、診断および治療(外科的治療、薬物療法)について、指導医と共に患者さんを受け持ち、実地臨床を経験します。

    2)卒後教育

    初期研修の2年間(卒後1-2年)終了後、乳腺外科専修医としての2年間(卒後3-4年)で外科専門医取得に必要な手術経験を中心に研修を行います。乳腺疾患はもちろん、その他の消化器、心臓血管、呼吸器、内分泌、小児、救急などの症例を、出来るだけ希望に添うようにカリキュラムを組み、幅広い診療経験を積みつつ、スムーズに外科専門医を取得出来るようバックアップします。

    その後、3年間(卒後5-7年)で一般外科診療に加え、主な診療の対象を乳腺疾患に移し、日本医科大学付属病院を中心とした日本乳癌学会認定施設および関連施設にて画像診断、病理診断、外科的治療(乳腺良性疾患および悪性疾患の手術・周術期管理・術後管理)、薬物治療(ホルモン療法、化学療法、分子標的薬物療法)、緩和ケアなどを系統的に研修します。この間、がん研有明病院、がんセンターなどでの研修も可能です。卒後6年目に外科専門医、7年目に乳腺外科専門医の取得を目指します。卒後8年目以降は後輩教室員の指導を行いながら、学会発表・論文発表を積極的に行い、診療と研究の両立を目指します。

    大学院乳腺外科学分野に入学し、臨床、基礎、または両者に関わる研究に携わり、医学博士号を取得すること、また2-3年の海外留学や国内留学により、臨床および基礎的研究に専念することも奨励しています。

    女性医師にとっては、特に出産、育児などのライフスタイルの変化もあり、それらの両立が最重要な課題と考えます。当院では院内保育、ベビーシッター派遣病児保育支援、『短時間勤務女性医師制度』など女性医師のバックアップ体制も整えていますが、当科においても勤務継続が可能となるように、状況に応じて可能な限りバックアップします。

  • 主な研究内容

    臨床系研究

    • 磁気ナノ粒子によるセンチネルリンパ節の特定とがん転移の迅速診断法の開発;Magnetic nanoparticle techniques for identifying sentinel lymph node and rapid diagnosis of tumor metastasis

    • HER2 陰性乳癌に対するdose dense EC followed by dose dense PTX の第 II 相試験; Phase II study of dose dense EC followed by dose dense PTX for patients with HER2 negative breast cancer

    • 原発性乳癌に対するNab-paclitaxel followed by FEC 療法の第Ⅱ相試験

    • 進行再発乳癌におけるエリブリン治療後のエリブリンとカペシタビン併用療法における臨床試験

    • 薬物療法における効果判定のためのサロゲートマーカーの解析

    • 温熱療法の基礎的、臨床的研究

    基礎系研究

    • 薬物療法におけるリキッドバイオプシーを用いた有効性の解析

    • 薬物耐性乳癌の耐性克服の臨床的および基礎的研究

    • 薬物療法による画像所見および病理学的所見に及ぼす影響の解析

    • 薬物療法または手術療法のQOLへ及ぼす影響の検討

    • 乳癌悪性度の臨床的および基礎的解析

    • 針生検標本による診断能向上の方法の解析

  • 教室メンバー

    常勤

    武井 寛幸(大学院医学研究科乳腺外科学大学院教授・付属病院乳腺科部長)
    藤井 孝明(臨床教授・千葉北総病院乳腺科部長)
    柳原 恵子(教授(教育担当)・多摩永山病院乳腺科部長)
    栗田 智子(准教授(教育担当)・付属病院)
    保科 淑子(講師(教育担当)・武蔵小杉病院乳腺外科部長)
    鈴木 えりか(助教・千葉北総病院)
    眞鍋 恵理子(助教・付属病院)
    佐野 恵美(助教・付属病院/社会人大学院生)
    山川 珠実(助教・多摩永山病院)
    田村 美樹(助教・付属病院)
    内海 ほたる(助教・付属病院)
    小林 光希(助教・千葉北総病院)
    片山 結美香(助教・付属病院)
    草彅 華(助教・多摩永山病院)
    村里 梨咲(助教・武蔵小杉病院)

    非常勤

    土屋 眞一(飯田病院特別顧問)
    伊藤 良則(客員教授)
    蒔田 益次郎(嘱託医)
    飯田 信也(非常勤講師)
    二宮 淳(嘱託医/大学院研究生)
    久保 和之(非常勤講師)
    越智 友洋(非常勤講師)
    林 祐二(非常勤講師)
    范姜 明志(非常勤講師)
    佐藤 あい(嘱託医/大学院生)

  • 大学院入学について

    日本医科大学乳腺外科学教室では、日常臨床の場で生じたClinical questionを大切にし、研究を行うようにしています。臨床的研究としては、乳癌は診断から治療、終末期医療までと幅広く、特に治療においては外科的手術療法から内科的薬物療法までさまざまな領域が研究の対象となります。また基礎的研究としても、薬物療法の作用機序、耐性機序、転移形成機序など、多くの課題が研究の対象となります。外科専門医、さらに乳腺外科専門医の取得は大きな目標の1つでありますが、それと並行してこれらの研究を行い、大学院に進学することも可能です。

    大学院乳腺外科学分野に入学し、臨床、基礎、または両者に関わる研究に携わり、医学博士号を取得することのほか、また2-3年の海外留学や国内留学により、臨床および基礎的研究に専念することも奨励しています。海外留学先として、米国ノースウエスタン大学やイエール大学、イリノイ大学、国内留学先として、がん研有明病院、埼玉県立がんセンターがあります。希望があればその他の機関への留学も可能と考えています。他施設にて、専修医としての修練が終了している方、また、乳腺専門医をすでに取得している方にとりましても、大学院進学、留学にて、ある期間、研究に没頭する機会を得ることは、医師としてのキャリア形成に非常に重要であると考えます。

  • 臨床 (診療) のご案内

    各病院における活動については、以下のリンクより詳細がご覧になれます。

    付属病院

    診療については乳腺疾患すべての診断と治療を行っています。
    付属病院を例に実際の診療について概説します。
    当院乳腺科では、検診要精査や乳房のしこり・痛みといった自覚症状に対して、受診当日に画像検査を行い、必要であればその日のうちに病理検査を行うようにしています。また穿刺吸引細胞診はその場で顕微鏡による細胞の採取の有無の確認を行い、検体不適正率を低下させるなど、不安を持って来院される患者さんに対して、何度も足を運ばせることなく、スピーディーかつ正確な診断と治療を行っています。
    乳癌と診断された場合には、患者さんの背景や希望なども踏まえてよく相談し、ガイドラインに則っとり最適な治療を選択していきます。
    乳癌には、ホルモン療法の効果があるタイプ、化学療法が必要なタイプ、分子標的治療薬の効果があるタイプなど、それぞれのサブタイプに適した治療法が存在します。また、乳癌の治療は常に更新されており、新しく、かつ、正確な情報を持って患者さんの診察にあたる必要があります。当院では、診断から治療、さらには緩和ケアまで、放射線診断・治療科、病理部、薬剤部、看護部、緩和ケア科など様々な領域のスタッフと連携をもち、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー等とともに、患者さん中心のチーム医療を行っています。
    乳癌手術は、臨床上明らかなリンパ節転移がない症例に対するセンチネルリンパ節生検や、乳房温存可能症例に対する乳房温存手術に関しては、病理医との連携のもと術中迅速診断を行い、可能な限り複数回の手術を回避し、患者さんの負担の少ない治療を選択しています。
    乳房再建手術を希望される患者さんには、形成外科との連携のもと、乳房同時再建(自家組織再建、組織拡張器挿入、インプラント挿入)を行っています。
    また、昨年度からは当院主体で新しい機器を用いたセンチネルリンパ節生検の臨床試験が始まりました。その他、臨床試験、臨床治験などへの積極的な参加による先端医療の提供を行っています。
    授乳期乳腺炎、女性化乳房症、線維腺腫などの良性疾患の診療経験も豊富です。月曜日から土曜日まで毎日、初診を含めた外来診療を行っています。