歴史と使命

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救急医学
横堀 將司  大学院教授

 救急医学分野は1975年に本学付属病院に創設された「救急医療センター」、1977年の「救命救急センター」、1983年に開設された救急医学講座が基盤となっています。その後、救急医学講座の大学院であった日本医科大学大学院医学研究科外科系侵襲生体管理学が2012年に本学大学院改革の一環により同救急医学分野に名称変更し、付属4病院や関連施設の救命救急センター、救急部に人材を派遣し、現在に至っています。本分野は重症な救急患者の治療はもちろん、国や東京都、神奈川県や千葉県などの行政組織の指導の下に救急医療の発展に大きく寄与して参りました。また、付属病院救命救急センターは1994年に長年の実績が評価され、全国初の「高度救命救急センター」の指定を受け、日常の救急医療への社会貢献はもちろん、近年頻発する自然災害へのDMAT (Disaster Medical Assistance Team)派遣など災害医療支援にも大きく貢献しております。

 現在の救急医学のスタッフは、救急科専門医や指導医を取得していることを前提に外科、脳神経外科、整形外科、集中治療、外傷、脳卒中、中毒、内視鏡など関連学会の認定医、専門医を有する救急専門医集団です。したがって、当分野に所属する専修医や専門医取得前の医師に対しては救急科専門医取得と、subspecialtyとしての関連学会の専門医取得のため教育体制、プログラム作成やキャリア支援を行っています。<  このような救急科専門医集団が救急医学のスタッフであるが、重症患者の救命、治療のqualityを追及のためには院内各科との密接な連携が必要である。実際、本学付属4病院はもちろん、当救急医学分野が係っている全国の救命救急センターや救急部では院内診療科と野密接な連携のもとに、周辺地域の救急病院や救急隊と協力しつつ質の高い救急医療を提供しています。たとえば、国や東京都、そして地域消防署が毎年主催する災害訓練やセミナーに積極的に参加し、知識や技術の習得・維持に努めています。また、1980年代から国内外の災害に対して積極的な医療支援を行ってきましたが、最近では2016年の熊本地震や2015年の茨城県の洪水への医療支援、2011年の東日本大震災や福島第一原子力発電所事故の医療支援、2008年の秋葉原無差別殺傷事件で東京DMATとしての現場活動や傷病者治療、2004年のスマトラ沖地震津波災害(5カ国、6チーム)が分野全体で医療支援を行っています。2015年度では4月25日に発災したネパール国カトマンズ市での地震災害に日本政府の医療支援のチームの一員として付属病院高度救命救急センターから医師を派遣し、9月11日の鬼怒川堤防決壊での洪水災害では4病院全ての救命救急センターから日本DMATチームとして複数の医師や看護師を派遣しました(https://www.nms.ac.jp/college/introduction/disastersupport/dmat-report.html)。

平成27年9月の鬼怒川堤防決壊・洪水災害に対するDMAT活動

平成27年9月の鬼怒川堤防決壊・洪水災害に対するDMAT活動