精神科におけるがん診療体制について
がんと診断されることは、誰にとっても大きな衝撃です。「なぜ自分が」「これからどうなるのだろう」といった不安や恐れを感じるのは、ごく自然な反応です。実際に、がん患者さんの15~20%が適応障害、5~10%がうつ病を経験されるという報告があります。
当院精神科では、がんと向き合う患者さんとご家族の心のケアを大切にし、治療の各段階で生じる精神的な負担を少しでも軽くできるよう、専門的なサポートを提供しています。
精神科が提供するサポート
1.診断・告知時のサポート
がんの診断を受けた直後は、最も心理的な負担が大きい時期です。不安、混乱、怒り、悲しみなど、さまざまな感情が押し寄せることがあります。私たちは、こうした感情を受け止め、患者さんが自分のペースで病気と向き合えるようお手伝いします。
2.治療中の心のケア
手術、化学療法、放射線治療などの治療期間中は、身体的な辛さとともに精神的な負担も大きくなります。不眠、食欲不振、気分の落ち込み、不安感などの症状に対して、精神療法や薬による治療を行います。
3.療養生活の質の向上
痛みや倦怠感などの身体症状は、心の状態にも大きく影響します。緩和ケアチームと連携しながら、身体と心の両面から患者さんの生活の質(QOL)の向上を目指します。
このような時はご相談ください
- 気分が落ち込んで何もする気が起きない
- 不安で眠れない日が続いている
- 治療について迷いや不安がある
- 家族との関係で悩んでいる
- 死にたいと思うことがある
- イライラして落ち着かない
- 今後の生活に不安を感じる
ご相談の方法
精神科への相談は、主治医や看護師を通じて依頼することができます。「精神科にかかるのは抵抗がある」と感じる方も多いかもしれませんが、がん治療において心のケアは、身体の治療と同じくらい重要です。早めの相談が、より良い療養生活につながります。