“攻めの救命救急センター”として先駆的な取り組みを続ける。 救命救急センター 部長 松本 尚

千葉県全体の救急医療、災害医療をリードする中核拠点が北総救命です。
ドクターヘリで知られ、重症外傷診療にも大きな実績を誇ります。

ドクターヘリを活用した重症外傷診療

現在、千葉県内には13の救命救急センターがあります。北総救命はその中で7番目の施設として認可を受け、現在は千葉県全体の救急医療をリードする救命救急センターとして地域の皆様から圧倒的なご信頼をいただいております。
北総救命の大きな特徴としては、「ドクターヘリ基地病院」と「重症外傷診療」の2点が挙げられます。

◎ドクターヘリ基地病院
累計1万3千回以上の出動実績を誇る北総ドクターヘリは、2001年に導入されました。当時はドクターヘリそのものに対する社会的認知はまだ低く、まさに全国でも先駆的な取り組みでした。ドクターヘリの導入により救命救急センターとして対応可能なエリアは一気に広がり、千葉県を中心にした東関東地域の重症外傷患者さんの救命に大きな貢献を果たしています。また、救急専従医の数がドクターヘリ導入当時の約3倍に増員されるなど、救命救急センターの規模もドクターヘリの活躍に歩調を合わせて順調に拡大してきました。

◎重症外傷診療
多くの救命救急センターがER型施設にシフトする中、北総救命は三次救急患者、特に重症外傷を中心に扱っています。外傷の診療では診療科が複数にまたがるために迅速な診療体制が取れない救命救急センターが多くあります。その点、北総救命では初療から外科治療、集中治療を一貫して救命救急センターの医師が対応しており、“より専門的で、より深い”治療が可能になっています。

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ドクターヘリの導入によって、早期の診療開始と広いエリアから患者さんを集約できる体制が整ったことで、必然的に緊急性の高い重症外傷に対する診療体制を確立できたことから、北総救命は外傷に特化した救命救急センターとしての性格を強く打ち出すことになりました。それが医療技術の向上、優秀な人材の確保という側面にも結びついています。まさに北総救命ならではのアドバンテージがここにあると自負しています。

ドクターヘリ3 ドクターヘリ4

大規模災害から自力で千葉県を護る

ヘリポートなどの施設や広大な敷地と優秀な救急専従医を擁する北総救命は、災害時の医療提供や搬送、被災地内の病院支援などを行う専門の医療チームであるDMATの指定施設として、様々な災害での出動実績を持っています。東日本大震災時にも被災地へのDMAT出動を行いました。
このときの経験を経て北総救命では、“外から内へ”と体制をシフト。現在は、地元である千葉県の広域災害医療搬送拠点として“千葉を護る”ことに注力しています。西に江戸川、北に利根川が流れ、太平洋に面している千葉県は、大規模災害に見舞われると支援物資の届かない陸の孤島となる可能性が指摘されています。その危険性に備え、県外からの救助に頼らずとも自力で災害医療が行える体制を整えなくてはなりません。北総救命がその体制作りのリーダーシップを取って、広域医療体制を整えていきます。

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より盤石な経営基盤作りにも力を注ぐ

救命救急センター 部長 松本 尚 さらに新たな取り組みとして北総救命では、千葉県警との連携のもと、事件現場での被害者や容疑者、警察官などへの緊急処置を目的に派遣される医療チーム・IMATを発足させました。これは本学の付属病院に次ぐ全国でも2番目となる取り組みです。
また、防衛省との連携のもと、自衛隊医官等への研修・教育を通じて、有事に備えた医療体制作りも進めています。万一の際には防衛省のカウンターパートナーとして、医療の民間活用を推進していく考えです。
これら2点の取り組みは、社会貢献性の高い、非常に有意義なチャレンジであると考えています。
こうした取り組みを進めていく上でも財政基盤をさらに盤石なものにしていく必要があります。重症外傷を診療の軸にすえながらより広域の多くの患者さんに、より質の高い医療サービスを提供することは極めて重要だと考えています。そのため今後は、従来の医療機関の概念を超えた大胆なPR活動も含め、“攻めの救命救急センター”として積極的な情報発信に努めていきます。AIやロボットの活用をキーワードとする今後の医療の革新に向けても、それは非常に重要なチャレンジとなるでしょう。

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プロフィール

松本 尚教授(救急医学)

日本医科大学救急医学 教授
日本医科大学千葉北総病院 副院長/救命救急センター 部長

1987年3月 金沢大学医学部医学科卒業
1995年4月~ 日本医科大学付属病院 高度救命救急センター助手
1996年4月~ 恵寿総合病院(石川県七尾市) 救急部副部長
1997年4月~ 金沢大学医学部附属病院 救急部・集中治療部助手
1998年4月~ 金沢大学医学部附属病院 救急部・集中治療部講師
2000年4月~ 日本医科大学救急医学医員助手
2004年4月~ 日本医科大学救急医学講師
2008年10月~ 日本医科大学救急医学准教授
2014年4月~ 日本医科大学救急医学 教授
2017年9月  Anglia Ruskin University Lord Ashcroft International Business School (UK) 修了