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形成外科

熱傷(やけど、火傷)の治療

熱傷(やけど、火傷)について

  熱傷(やけど)とは、熱による皮膚・粘膜の障害のことであり、日常で最もありふれた、誰でもが一度は経験したことのある外傷のひとつです。
 原因として多いものには、熱湯や油(液体)が多く、小児の場合は炊飯器からの水蒸気(気体)やアイロン(個体)などがあります。また、これら高温のものだけではなく、ホットカーペットや湯たんぽに長時間あたっていたことによる低温熱傷もあります。低温熱傷は軽傷に思えて深くまで熱傷が到達し、長期に治療がかかることがあるため要注意です。

熱傷(火傷、やけど)の原因

 熱傷はあとからじわじわ痛みが出現し、場合によっては壊死した組織が感染し、広範囲の受傷ではなくても死に至る場合もあります。さらに、痛みがないから問題がないわけでなく、熱傷が深くまで到達しているため、逆に痛みが全くない場合もあるのです。
 また熱傷の大きな問題点の一つは、整容面や機能面での障害です。異常瘢痕(ケロイドや肥厚性瘢痕)や瘢痕拘縮(ひきつれ)は、かゆみや痛みが強く出る場合があり、機能面の問題を残すことがあります。小児の場合、機能面の障害は正常な発育にも影響を及ぼすため、まずは機能面の回復のための治療が必要になる場合もあります。
 これらの障害が出現するかどうかは、はじめの熱傷の重症度が大きく関与し、治療途中に感染をきたすと上述のような障害が出現しやすくなります。そのため、初期であればあるほど治療の重要性は高く、早期の病院受診が奨められます。
 当院では、患者さんと相談しながら、整容面(見た目)・機能面(動き)共に最適な治療を目指します。

熱傷の症状や深さの分類

  1. 熱傷の重症度は下に示すように、傷害された皮膚の深さと面積によって分類されます。

①Ⅰ度(ED);
 表皮内の熱傷。皮膚の赤み、むくみが生じます。痛みは強いものの、通常、数日で治癒し、傷跡も残りません。

②浅達性Ⅱ度(SDB);
 真皮浅層の熱傷。皮膚の赤み、むくみに加えて水疱(水ぶくれ)が生じます。鋭い痛みを伴い、通常、1〜2週間で跡を残さないことが多いです(色素沈着を生じることがあります)。

③深達性Ⅱ度(DDB);
 真皮深層の熱傷。赤み、むくみ、水疱を生じます。皮膚付属器(体毛、汗腺など)や神経終末も障害されるため、痛みはSDBより強くなります。通常、3〜4週間で治癒しますが、瘢痕形成することが多いです。

④Ⅲ度;
 皮下組織まで及ぶ熱傷。水疱は形成せず、血管傷害によって皮膚は白色(または黒色)になります。また、知覚神経傷害により痛みはほとんどありません。通常、治癒までに1ヶ月以上かかり、肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮(ひきつれ)を起こしやすくなります。

熱傷(火傷、やけど)の深さ

熱傷の重症度

 熱傷は広範囲であればあるほど重症であり、正確に面積を判定する必要があります。面積の判定法は、9の法則(成人)、5の法則(小児)、手掌法などがあります。
 Ⅱ度熱傷が15%以上、Ⅲ度熱傷が2%以上、または特殊な部位(顔のように特に見た目が気になる部位、手足のように繊細な機能が必要になる部位、会陰部など特殊な部位)にあると中等症以上とされ、入院治療が必須です。

  • 手掌法:てのひらの面積を全身の1%として計算します。成人のみ適応されます。
  • 9の法則:体の部位を主に9の倍数で計算します。成人のみ適応されます。
  • 5の法則:体の小さな幼児、乳児に合わせた算定法です。

熱傷(火傷、やけど)の重症度

熱傷(やけど)の治療

【応急処置】

 受傷してしまったら、まずはすぐに冷やすことが重要です。水道水で構わないので、少なくとも20分程度は流水で流すことで、症状が進むのを抑え、痛みを和らげる効果があります。洋服を無理矢理脱ぐことで、傷害された皮膚も共に剥離してしまうため、まずは衣類の上から水で冷却して下さい。

 【初期治療】

 治療の目的は、①熱傷の進行を防ぐこと、②感染を起こさないようにすること、の2点が重要となります。そのためには、湿潤環境を保つための軟膏、感染症に対する抗生剤投与、傷の治りを促進するための薬剤(フィブラストスプレー™など)が用いられます。
 インターネットでの誤った情報や民間療法によって傷が悪化する場合も少なくありません(例;アロエが良いと聞いてアロエの葉を熱傷部位にひもで縛りつけていた、など)。肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮(ひきつれ)などが起こるかどうかは、初期治療によって大きく左右されるため、不正確な知識での治療は禁物です。

 【上皮化した後の治療】

 初めに上皮化(傷が覆われた)した時に終了ではありません。Ⅲ度熱傷や一部の深達度Ⅱ度熱傷においては、数週間から数か月にかけて徐々に創部が肥厚し、かゆみや痛みを発生することがあります。初期においては予防しやすく、治療を自己判断で終わらせることなく、特に親族にケロイド体質のいる方は上皮化数か月後まで治療を続けることが重要です。

急性期のやけどの診察は「一般外来」を受診ください。また、慢性期のやけどの診察は「ケロイド外来」を受診ください。

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