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脂肪腫と「良性悪性の判断」と手術

脂肪腫とは

脂肪腫とは  

 脂肪腫は脂肪細胞の良性腫瘍で、柔らかく痛みのない、通常1から10㎝ほどの腫瘍です。正常な脂肪細胞が存在する部位のどこにでもできますが、体幹に多く見られます。軟部腫瘍では最もよく発生し、1000人に1人以上が罹患すると考えられています。わずかに男性に多く、40〜60歳に多く見られます。通常は1つですが、5〜10%の方には複数の脂肪腫ができるとされます。
 また、慣習的に「粉瘤」という良性腫瘍を「脂肪の塊(かたまり)」と表現する先生がいらっしゃるようです。したがって、「以前、他の病院で脂肪のできものと言われた」とおっしゃる患者さんの中でも脂肪腫ではない疾患の場合があります。そのような場合だと、「自然消滅した、消えた」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、脂肪腫は基本的に消えてなくならないので、おそらく脂肪腫ではなかったと考えられます。

脂肪種の原因は?

 脂肪腫発生の正確な原因は不明です。一般的な個発の脂肪腫は、肥満、高脂血症、糖尿病をお持ちの方にできやすい傾向があり、外傷との関連が推察されています。また、ストレスなどの心理的要因の関与は特にありませんが、多発している腫瘍は後述するように、遺伝や飲酒との関係性を認める場合があります。

脂肪腫と症候群

 複数の脂肪腫が存在する場合、家族性脂肪腫症または以下の遺伝性疾患に関連する可能性があります。

①家族性多発性脂肪腫症

周囲の組織と癒着のない脂肪腫が数百個できます。

②プロテウス症候群

脂肪腫の他、表皮母斑、血管腫、掌蹠脳結合組織母斑、表皮母斑および頭蓋骨の過骨症、および脊柱側弯症を呈します。

③ドロローサ脂肪症

体幹と四肢に痛みを伴う脂肪腫が複数でき、皮膚の知覚異常を伴うことがあります。精神疾患を有する閉経後の女性に多く見られます。

④対称性脂肪腫症(マデルング病)

頭、首、および肩にびまん性、浸潤性、対称性の無痛性脂肪腫性増殖を来します。中年のアルコール依存症の男性に多く見られます。

⑤ガードナー症候群

ほとんどすべての患者が胃腸管の腺癌を発症します。脂肪腫の他、線維腫、網膜の色素上皮の先天性肥大、頭蓋骨の骨腫、上顎および下顎、過剰歯、および乳頭状甲状腺癌、副腎腺腫、および肝芽細胞腫を含むさまざまな悪性腫瘍が発生します。

⑥多発性内分泌腫瘍症(MEN)1型

副甲状腺の過形成または腺腫、膵島細胞・下垂体の腫瘍を特徴とします。皮膚には複数の脂肪腫の他、コラーゲン腫、血管線維腫、カフェオレ斑ができます。また脂肪腫は内臓部位でも発生する可能性があります。

⑦カウデン症候群

口腔乳頭腫、顔面毛細血管腫、点状掌蹠角化症、および乳房腺癌、甲状腺濾胞癌(TFC)、子宮内膜癌、消化管の過誤腫性ポリープなどの悪性腫瘍にも関連しています。

⑧Bannayan-Riley-Ruvalcaba症候群(BRRS)

腸の過誤腫、巨頭症、精神遅滞が見られます。

症状

 柔らかい腫瘍を触れる以外にほとんどありません。まれに腫瘍が隣接する神経を圧迫し、しびれなどの症状を来すことがありますがごく稀です。したがって、「硬い」「痛い」などの症状がある場合は他の疾患を疑う必要性があります。

脂肪種はどこにあるの?

 脂肪腫は心臓、眼窩内、腸管など、脂肪組織の存在する部位にはどこにでも出現する良性腫瘍です。体表面から分かる脂肪腫は、皮下脂肪腫、筋層間脂肪腫、筋肉内脂肪腫などが挙げられます。
 皮下の脂肪腫は比較的切除が容易ですが、脂肪腫の存在する部位で問題となるのは、筋肉内脂肪腫です。筋肉内脂肪腫は稀ですが、皮下の脂肪腫とは違い周りの筋肉内に浸み込むように浸潤します。そのために再発する場合があり、周囲の正常な筋肉を含めて切除する事があります。
 従いまして、脂肪腫が「どの場所・深さに」「どのくらいの大きさで」存在するのかを確認し、悪性良性の大まかな区別をつけるために、後述するような画像検査が必要となります。

診察と検査

 脂肪腫と「良性悪性の判断」と手術(診察の流れ)多くのものは外来診察によりおおまかな診断が可能です。より正確に把握するためには、CT検査・MRI検査などの画像検査を行うことがあります。また、以下の特徴を持つ腫瘍に関しては、画像検査に加え、手術の前に腫瘍を一部取って調べる検査を行うことがあります。

・巨大なもの(10センチメートル以上)
・硬いもの
・急速に成長したもの
・痛みを伴うもの
・下層の組織にくっついているもの
・深部組織や大腿のもの

脂肪種の手術(入院手術か外来手術か、全身麻酔か局所麻酔か)

 脂肪腫と「良性悪性の判断」と手術(手術の流れ)  脂肪腫は良性腫瘍なので、徐々に大きくなりますが、放置しても命に関わることはありません。しかし大きくなってから手術をすると、手術のリスクが高くなる、傷跡が大きくなる、もし悪性だった場合には治療の遅れが問題となる、などのリスクがあります。したがって、ある程度の大きさになったものでは手術をする方がよいでしょう。

大きさや部位により、局所麻酔または全身麻酔で行いますが、

・後頚部などの癒着が強い事が疑われる
・大きい
・神経や血管が近くを走行している

等の場合は、全身麻酔下に入院で行うのが安全です。小さく、皮膚直下にあるものは局所麻酔で日帰り手術が適していると思われます。

脂肪腫と「良性悪性の判断」と手術(短い傷になるようにデザイン)

 手術はなるべく短い傷になるようデザインして、腫瘍を摘出します。摘出した後の空洞に血液などがたまらないよう、ドレーンという管を入れることがあります。
ドレーンは術後1〜3日程度で抜きますが、抜ければご自身での処置が可能で、抜糸は術後1〜2週間で行います。その後はテーピングなどを行い、きれいな傷あとを目指しケアします。

脂肪種の病理検査

 手術で摘出した検体は病理検査という細胞の検査に提出します。
 脂肪腫の組織学的特徴は、成熟した大小不同の成熟した脂肪組織からなり、腫瘍細胞は正常の脂肪細胞と区別できません。また、脂肪腫の亜型には、血管脂肪腫、血管筋脂肪腫、線維脂肪腫、骨髄脂肪腫、褐色脂肪腫、紡錘細胞脂肪腫、多形性脂肪腫、軟骨脂肪腫などがあります。


 通常の診察は「ほくろ・粉瘤・脂肪腫外来」を受診ください。

他院で悪性の疑いを指摘された方は、「軟部悪性腫瘍外来」を受診ください。

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