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難治性皮膚潰瘍【糖尿病性潰瘍、足壊疽、静脈うっ滞性潰瘍】の原因と治療

難治性皮膚潰瘍とは

 きずは、基本的には外力により発生し、自然に治っていきます。しかし足にできるきずは、時に誘因なく生じたり、いつまで経っても治らなかったり、どんどん悪化することがあります。このような傷を『難治性皮膚潰瘍』と呼んでいます。
 難治性皮膚潰瘍にはいくつかの原因があり、治療法が異なります。治療法を誤れば治らないどころか、かえって悪化することもあるので注意が必要です。

どうして潰瘍や壊疽が治らないのか

<難治性潰瘍の出来かた>

通常の創傷治癒は
➀出血凝固器 ②炎症期 ③増殖期 ④成熟期
を経て治癒します。
内的要因、外的要因など何らかの原因で創傷治癒が遷延、もしくは創傷の拡大を伴い、治療を続けているにもかかわらず、なかなか治癒しない潰瘍を難治性皮膚潰瘍といいます。

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難治性皮膚潰瘍の治療では、まず、その創傷治癒を妨げている原因をはっきりさせることが重要です。

難治性足潰瘍の原因と種類

①虚血性(動脈性)潰瘍

 足の動脈の血行障害が原因となる下肢閉塞性動脈閉塞症(ASO)で、糖尿病・透析・喫煙・膠原病や血管炎などが原因となります。血が通わないことが原因ですので、足が冷たくなったり、歩くと痛んだりします。進行すると安静にしていても痛みが出てきたり、さらに進行すると足趾が黒色化しミイラ様になります。糖尿病のある方では痛みを伴わず突然足が壊死することがあります。治療には血行再建(血流を良くする治療)が不可欠です。循環器内科・心臓血管外科と連携して治療を行います。

②静脈うっ滞性潰瘍(静脈瘤による潰瘍)

 足の静脈の働きが悪くなることが原因で、肥満・妊娠・立ち仕事などが原因となる他、体質も大きく影響します。足がむくみ、だるくなります。進行すると皮膚は色素沈着して硬くなり、きずが繰り返しできます。生活の改善が重要ですが、原因となっている静脈(瘤)の治療を要することがあります。静脈瘤の治療は、地域連携クリニックである小杉町クリニックと連携して行っています。

③糖尿病性潰瘍

 さまざまな病態が混在します。血行障害の他、末梢神経障害・易感染性などが問題となります。詳しくは別頁をご覧ください。

④膠原病に伴う潰瘍

 膠原病による血行障害が原因となる他、治療のために内服しているステロイドや免疫抑制剤がきずの治りを悪くします。

⑤放射線潰瘍

 過去に放射線治療を受けた部位に傷が生じ、治らないことがあります。放射線治療を受けた範囲全ての切除が必要となることがあります。また皮膚がんの発生も問題になります。

⑥皮膚がん

 なかなか治らないと思っていたきずが、実はがんだった・・・!ということがあります。治療の基本は広範囲切除です。

原因をどうやって調べるのか

難治性皮膚潰瘍の原因は様々です。
原因としては下記のようなものなどが挙げられ
1)コントロールの悪い糖尿病 2)むくみ 3)血流不全 4)持続的な刺激 5)感染症 6)異物の埋入 7)低栄養 8)その他

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治療では創部の治癒環境を整えると同時に、血液検査、四肢血流測定、レントゲン、CT検査などを行って治癒が遷延する原因を検索します。

<血液検査・創部培養検査>

糖尿病の状態の確認や、全身状態を確認します。また傷から直接培養を取ることで原因となる菌の同定をします。

<ABI : ankle brachial index(足関節上肢血圧比)>

 両側の腕と足首の血圧を測定し、上腕の高い方の血圧と、左右それぞれの足首の血圧の比率を計算する検査です。正常では仰向けに寝た状態では腕の血圧より足の血圧の方がやや高い値を示しますが、動脈に狭窄や閉塞があるとその部分の血圧は低下します。動脈の狭窄や閉塞は主に下肢の動脈に起きることが多いため、上腕と足首の比によって狭窄や閉塞の程度がわかる検査です。しかし高度の動脈硬化がある場合、見かけ上良い値が出るので注意が必要です。

<TcPO2 : transcutaneous oxygen tension(経皮的酸素分圧比)>

 末梢組織に供給される酸素量をみて,末梢の血液循環を評価する検査です。痛みのない検査ですが、角質が厚いところや浮腫みがあると低く測定されてしまいます。

<SPP : skin perfusion pressure(皮膚灌流圧)>

 血圧を測るようにカフに空気を入れて膨らませ、一旦血流を遮断します。徐々にカフから空気を抜木、血流が再び戻るポイント(皮膚灌流圧)を測定する検査です。圧による痛みを感じることがあります。毛細血管を調べることができ、動脈硬化が進行している方でも有用な点がABIと異なります。

<下肢動脈超音波検査>

 超音波の機械を当てるだけなので、痛みや侵襲のない検査です。ある程度太い血管の狭窄などが簡便に分かります。

<造影CT検査>

 血管に造影剤を注入し、下肢の動脈に辿り着いたところで撮影します。足関節くらいまでの太さの動脈が観察可能です。造影剤を用いますので、腎臓の機能が悪く透析をされていない方・造影剤のアレルギーがある方は行えないことがあります。

<下肢動脈造影検査(カテーテル検査)>

 入院が必要な検査となります。カテーテルを鼠径などから挿入し、下肢動脈に直接造影剤を注入して撮影します。より詳細な血管の状態がわかる他、同時に治療を行うことがあります。循環器内科で行っています。

<画像検査>

 単純レントゲン撮影・C T・M R Iなどの検査です。骨の状態(骨折や骨髄炎の有無)・異物が混入していないか・膿が溜まっていないかなどが分かります。超音波検査では上述の動脈の他、静脈の検査も得意です。静脈の逆流や静脈弁の様子はこの検査で分かります。

どんな治療をするのか

<軟膏治療>

主な治療は軟膏治療です。現在皮膚潰瘍の治療に使われる軟膏は多数あり、抗菌作用のあるもの、肉芽・皮膚の盛り上がりを促進するもの、ダメになった組織(壊死組織)を取り除くものなど、傷の状態を見ながら軟膏の種類を変えていきます。

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<創傷被覆材>

それ自体で創部の湿潤環境を維持してくれる働きを持つ素材です。抗菌作用を持つものや、皮膚に対して優しい素材でできているものがあり、処置が簡便で負担も軽減されます。すべての傷に適応があるわけではなく、やや高価なものが多いです。

<原因に対する治療>

糖尿病が傷の治りを遅くしている場合は、まず、厳格な血糖値のコントロールが必要です。内分泌・糖尿病内科の先生と連絡を取りながら治療を行います。
血管が硬い・細い・つまっている場合は、血行を改善することが必要です。循環器内科と連携を取り、細かな検査、治療を行います。
足のむくみが原因の場合は、うっ滞性皮膚炎の状態を改善することが重要です。弾性包帯や弾性ストッキングを用いて足がむくまないように圧迫を継続していただきます。また静脈瘤がむくみの原因となっている場合は、放射線科や血管外科と協力して静脈瘤の治療を行います。

<入院治療>

※手術(植皮・皮弁術など)

他の部位から皮膚組織を採取して潰瘍部に生着させることで、治癒を促進させる手術治療です。皮膚の採取部には別の傷ができ、また難治性潰瘍の場合は生着率があまりよくないため適応は限られます。

※外科的デブリードマン

壊死組織を取り除くことをデブリードマンといいます。軟膏によって取り除くことが難しい場合は、器具を用いて表面を物理的に削ることで壊死組織を取り除く場合もあります。

※周期的自動洗浄機能付き陰圧閉鎖療法(V.A.C-Uluta®)

傷に陰圧刺激を加えることによって、創傷治癒を促進させる装置です。当院でも自動洗浄機能の付いた最新の機器を導入する予定であり、適応を見きわめた上で使用します。

日常生活で気を付けること

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難治性皮膚潰瘍の治療では、病院に通うだけではよくならないことが多く、患者さんご本人の生活環境を改善することが非常に大事です。

長距離を歩くことは控える
立ちっぱなしの状態を控える
弾性包帯などをしっかりと付ける
傷をよく洗って正しい処置を行う
禁煙をする

など生活の中で気を付けるべきことが多くあります。難治性潰瘍は様々な原因が複合的に関与しあっている疾患です。そのため、医療者だけではなく、患者さん、周りの方々がチームになって治療を行うことが大切です。かいよう5

うったい性潰瘍


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