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形成外科

皮膚潰瘍や糖尿病足病変(足壊疽)につける治療器械(局所陰圧閉鎖療法)

 このページを読んでいる方は、何かしらの理由で「局所陰圧閉鎖療法(いんあつへいさりょうほう)」をご存じなのではないでしょうか?
 患者さんの場合、病院スタッフから「明日から局所陰圧閉鎖療法を始めますね!」と言われても、いきなり難しい治療の名前を言われて不安になりますね。そんな皆様の悩みを少しでも解決するためのページです。ゆっくり読んでみてください。

皮膚が必要な理由

ヒトの身体は丈夫な皮膚でおおわれています。皮膚の働きは色々ありますが, 特に大切なことは、「怪我などの外的刺激から身を守る」「細菌などの体内への侵入を防ぐ」の2点です。

1皮膚潰瘍や糖尿病足病変(足壊疽)につける治療器械(局所陰圧閉鎖療法)

皮膚がないと血管や神経がむき出しになり、しぶつけただけでも大変なことになります。また、目には見えない細菌が体の中に侵入し放題です。皮膚により体は守られています。

皮膚がなくなったら?~大きな傷を治す方法~

しかし、大きな怪我のあとに皮膚の感染症が起こることがあります。そのような組織は残しても治らないため、切除しないといけません。しかし、 その傷はどうなっていくのでしょうか?2皮膚潰瘍や糖尿病足病変(足壊疽)につける治療器械(局所陰圧閉鎖療法)

予期せず生じてしまった大きな皮膚欠損を治す方法として、以下のような方法が挙げられます。
① 周りの皮膚がどんどん張ってくる.
② 皮膚欠損部の周りの皮膚を縫合する.
③ 体の他のところから皮膚を持ってきて移植する(植皮術)

3皮膚潰瘍や糖尿病足病変(足壊疽)につける治療器械(局所陰圧閉鎖療法)

もちろん①のように手術をしないで治療ができれば一番良いですね。ただ、大きく深い傷の場合は、②のように皮膚を縫合したり、③のように植皮術を行うことで早く傷を治す場合もあります。

治すために肉芽が必要な理由~肉芽(にくげ)って何?~

組織を切除して体が凹んだ時、その部分はどのような変化をするでしょうか? 実は、切除した筋肉や脂肪は元通りに再生しません。その代わりに「肉芽(にくげ)」と呼ばれるコラーゲン(タンパク質)の塊に置き換わります。この肉芽(にくげ)には、コラーゲンがたくさん含まれるだけでなく、細かい血管をたくさん含んでおります。肉芽(にくげ)は, 新しい皮膚のためのベッドのようなものです。

4皮膚潰瘍や糖尿病足病変(足壊疽)につける治療器械(局所陰圧閉鎖療法)

肉芽を効果的に増やすには?~局所陰圧閉鎖療法~

なんとなくイメージしてみてください。傷を吸引すると傷が小さくなる気がしませんでしょうか?局所陰圧閉鎖療法は、簡単に言うと傷を吸引する方法です。傷に掃除機を当てるようなものと考えてください。傷を吸引すると、傷が小さくなるだけではなく、先ほど紹介した「肉芽(にくげ)」を作る細胞を元気にさせて、効率的に肉芽を増やします。その後、出来上がった良い肉芽の上に皮膚が出来てきます。

5皮膚潰瘍や糖尿病足病変(足壊疽)につける治療器械(局所陰圧閉鎖療法)

まとめ

局所陰圧閉鎖療法は傷を吸引する方法で、吸引により効果的に傷を治すことができます。不安なことがあればいつでもご相談ください。